第5話 王都ホーズと令嬢たち
王都ホーズ
ど田舎(辺境)のアルハカに比べて、メチャクチャ洗練された都市です。
街を取り囲む長い城壁の中に三箇所に分かれた街があり、中央にはさらに高い城壁があって、その中に王家が住むお城があります。
モモナたちはハリーの案内で、城下町の中央道路を抜け、城の門に向かっていました。
モモナは見るもの全てが珍しくて、始終キョロキョロ大きな瞳で見回しています。
「カルディア!すごいねー!お家がたくさん、お店もたくさん、あ、あんな大きな立派な武器屋さんや酒場もあるよーー!」
モモナの希望で馬車には乗らず、街を歩いているのですが、歩くというより跳ね回っています。
ぴょんぴょんと跳ねるたびに、モモナのたわわな胸が上下に揺れまくるのでハリーは目のやり場に困るのでした。
(女の子の胸とは、あのように弾力があるものなのかぁ…)
ハリーの身分高く、さらにあの冷血セオ王子の側近が務まるほど気が利くイケメンなのでモテモテでしたが、
なにせ男だらけの騎士隊での訓練歴が長いので意外と女性に慣れていませんでした。
ので、フレッシュな、弾けるようなモモナのお胸が眩しすぎたのです…
さらに、モモナは見れば見るほど可愛らしく、
侍女カルディアがやたらと推すのも無理はない、と思いました。
(しかし、モモナ様を連れてはきたものの、セオ王子が花嫁に選ばれることはないだろう。
見かけが子供みたいだし、セオ王子とは身長差がすごいから釣り合わない。
王子の好みは知らないけど、きっとタイプじゃないよな…。
あの2人じゃ犯罪だー。
⭐︎セオ王子187センチ、モモナ150センチそこそこ⭐︎
夜のコトだって、どうやって…)
ハリーは2人のコトを想像して少し顔を赤くしました。
(モモナ様のご滞在は1か月、王子の目に止まらなければ、私が…。私が?)
そんなことをハリーが考えている間に、一行は城門の前に到着しました。
「モモナ様、こちらです」
ハリーが振り向くと、モモナは両手いっぱいにお菓子を持っていました。
「ハリーさん、こんな美味しそうなものがたくさんあったんですよ!」
超嬉しそうです。
「とくに!噂には聞いたことがあったのですが、チョコレートがかけてあるクッキーなんて初めて見ました!」
口の周りにはその初めてが付いています。
「モモナ様、あまり一度に買われますと、お父上様からいただいたお小遣いがなくなってしまいますよ」
とカルディアはモモナの口元をふきふきしながら注意していますが、彼女はモモナが欲しがると“ダメっ”と言えないのでした。
城門を抜けると馬小屋があって、そこにはたくさんの馬や馬車がありました。
「いつもより多いな。
そうか、花嫁募集の文書の効果があって、
ご令嬢がたくさん城に来てくださったのだな。」
ハリーが思った通りでした。
令嬢が集まった城の中はとても賑やかで、華やかでした。
いくつかある来客用のサロンは満室御礼状態です。
ど田舎では決して見かけないような、
シュッとした美女がシュッとしたドレスに身を包んで優雅におしゃべりしていました。
「明らかに異質だ…」
そう呟いたのはカルディアです。
美女の群れの近くにモモナが立っていると、
白鳥の中にヒヨコが迷い込んだような、
薔薇の中にオオイヌフグリが落ちているような、
なんか違う感がスゴイのでした。
「だが、ウチのモモナ令嬢がイチバンカワイイ」
カルディアにとっては絶対でした。
「モモナ様を冷血王子などに嫁に出す気はないが、
モモナ様が他の令嬢に見劣りするのは癪に触る」
という理屈で、カルディアはハリーが用意してくれた部屋にモモナを連れて行き、
綺麗なドレスに着替えさせることにしました。
用意させられ部屋もなんだか小綺麗でした。
「王都ってすごいなぁ!」
モモナは大きな花瓶を触ったり、綺麗な彫刻を施した銀の燭台を眺めたりはしゃいでいます。
「あ、ねぇカルディア、さっき買ったお菓子食べていいー?」
「ダメですっ!!
持ってきた素敵ドレスが入らなくなりますっ」
「うえー」
モモナはチチもでかいのですが、その可愛いおへそ周りも少しもっちりしていたのでした。
(少しです!らしいです…)
「あー、なんてことでしょう!」
カルディアは、持ってきたトランクケースを開けて唸り声を上げました。
「良いドレスが、ないっ!」
確かに、辺境の街アルハカを出る時には、1番良いドレスを見繕ったはずなのに、
いざ他の令嬢たちのドレスを見てしまうと、どれも田舎くさく感じてしまうのでした。
「これじゃぁモモナ様の魅力を100%引き出せなーい!
モモナ様、私、先ほどの街まで戻り、ドレス屋で良い仕立て人を探してきます!
それまでお留守番していて下さいね!
1人でこの部屋から出てはダメですよ!」
カルディアはモモナにそう言うと全速力で駆けていきました。
(モモナ様を1人残すのは心配だけど、部屋から出なければ大丈夫でしょう!)
と思いながら。
ちょっと彼女の誤算だったのは、
1人になったモモナが大きな花瓶を倒しかけて、
大量の水を頭からかぶってしまった、ということ…
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