凶星(マガツボシ):Exorcist in the Metropolis
ケン・シュナウザー
序章
時は1920年代、所は
「狂騒の時代」と呼ばれる程活気に満ち、現代文明渦巻くこの
「暴走車だ!」
ある時周囲が騒然となった。一台の車がまるで狂ったかのように縦横無尽に走り回る。人や他の車は暴走車から逃げようと慌てふためいていた。
その時である。
「止まれ!」
暴走車に向かって一人の男が立ち塞がった。全身黒ずくめの若い日本人だ。
一人の若い命が暴走車に奪われそうになる。誰もがそう思っていた。ところが、青年が手を前に突き出すと、不思議なことに車が前に進もうとしなくなった。
それからして、車を運転していた男が現れた。男は羅刹のような形相で、青年に掴み掛ろうと迫ってきた。
「この男に取りついた悪しき魂よ、その姿を現せ!」
青年はそう叫んで呪文を唱えると、男の体から不気味な化物が現れた。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!
悪魔よ、朽ちて滅べ!」
青年はそう言いながら両手で印を結んだ後、化物に向かって指を突き出した。すると化物は真っ二つに切り裂かれ、醜い断末魔をあげながら消滅した。
一連の騒動の後、悪魔に憑かれた男は警察に取り押さえられ、野次馬たちは悪魔を倒した日本人青年についてのひそひそ話をし始めた。
「なあ、アイツが噂の・・・」
「そう、日本から来たという若き
青年の名は
彼はある事情でこの紐育に来た、若き陰陽師である。
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