6:ハーフ&ハーフ
リナは異空間からバカでかい剣を呼び出して俺に襲いかかってきた。あまりに急すぎて反応が遅れるが、なんとか回避する。
「人殺しっ! 死になさい!」
「言ってることとやってることが真逆だろ!」
俺は拘束魔法でリナの足を地面に接着したが、彼女はそれを思いきり引き
「なんで私を転生させたのよ!」
「俺が選んだわけじゃない! お前がたまたまタイミングよく向こうの世界で死んだだけだ! 不幸だったと思って諦めろ!」
「この死体はなんなのよ!」
リナは叫びながら雷撃を飛ばしてくる。それを防御魔法の光陣で受け止める。こいつ、なかなか戦えるようだ。
「こいつが俺の親父を殺そうとしたんだ!」
「そうやって言い訳するのね! 最低!」
リナは手の中に光を集めた。マズい、破局魔法だ。
「こいつはシリウス! 魔王の手下だ!」
俺が叫ぶと、彼女は目を丸くした。
「へ? 魔王の手下?」
「そうだ。俺は親父を守るためにこいつを倒したんだよ」
リナはその場に
「そのわりには綺麗な顔してるじゃない。死んでるんでしょ?」
なかなか鋭い奴だ。だが、魔王との契約のことは隠しておいた方がいいかもしれない。
「訳あって魔王軍にスパイとして潜り込んでるんだ。だから、今の段階でシリウスが死んだことが魔王にバレるのはマズい。それで、俺はこいつの身体を魔法で作ったんだが、魂の作り方が分からん」
「じゃ、魔王に
「は? なに言ってんだ?」
「私の
そう言って彼女はシリウスの身体をひょいと担ぎ上げ、「さ、案内して」と言いいながら勝手に歩き出した。こいつどんな切り替えの速さしてるんだ?
また面倒なことになってきたぞ……。
***
強引なリナのせいで魔王城の近くまで来てしまった。とりあえず、シリウスの身体を隠し、魔王城の玉座の間に向かった。
魔王が玉座から
「ん? 誰だ、この女は?」
「ええと、彼女は……」
「リナといいます。私、魔王様が大好きなんです!」
「ほう」
にやけるのを隠して魔王が
「だから、魔王様の手下にしてほしいなと思いまして!」
「人間の中にも理解のある奴がいるものだ。アーガイルよ、さすが私が世界の半分を与えた奴だ。こんな
リナの耳がピクリと動く。これはマズい。
「ねえ、ちょっと、どういうこと?」
リナが俺に小声で話しかけてきた。バレてしまったからには仕方ない。俺は洗いざらいを打ち明けてしまった。リナは小声で怒る。
「あんたバカじゃないの。なに契約してんのよ? 人間の敵ね」
「仕方ないだろ。魔王には勝てん」
リナは何かを
「世界の半分の半分を
「はあ? ふざけんな。ポッと
「何を話している?」
魔王が怪しそうに俺たちを見る。俺は愛想笑いを返してリナを睨みつけた。彼女は小さな声で俺に脅迫めいたことを呟いた。
「断るなら、シリウスのことバラすよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます