第41話 彼女の同僚

 ジーワ、ジーワ、と押し寄せるような暑さだ。


 いま俺は、クーラーの効いた家のリビングにいるけど。


 ふと、思う。


 こんな真夏日には、コンビニがオアシスとなりうる。


 だから、来店客が増える。


 そして、リナちゃんの、あのギャル可愛さと、ギャル巨乳を狙う、エロオヤジどもが……


『ウケケケケケケケケェ!』


『はあああああぁ~ん! あたちはショータだけのモノでいたいのに~!』


 俺は立ち上がっていた。


 サッと支度を済ませて、家を出る。


 案の定、その暑さにクラッとしかけるが、明確な意志を持って熱気を放つアスファルトを歩いて行く。


 俺がこの暑さにひるんでいる間にも、リナちゃんがスケベオヤジどもに狙われているかもしれない。


 そう思うと、着実にゴールへと向かっていける。


 いや、そこはゴールじゃない。


 むしろ、スタートだ。


 こういう時のために、俺は体を鍛えて来た。


 リナちゃんを狙うクソエロオヤジどもを、成敗してやる。


 ピポパポ~ン♪


 自動ドアを抜け、俺はキッとレジの方を睨む。


「ひッ」


 怖がられてしまった。


「……あっ、加瀬先輩?」


「……って、星宮さん?」


「お、お疲れさまです」


「そ、そちらこそ……あれ、リナちゃんは?」


「あ、今日はお休みです。この時間は、わたしと店長がバックにいるだけです」


「そ、そっかぁ……いや、ごめんね、驚かせちゃって。何か、リナちゃんが、エロオヤジどもに狙われていないかって、ふいに心配になって……」


「ああ、まあ、リナ先輩は可愛いし、胸も大きいですから。男性のお客さまに人気ですけど……」


「ぎりっ」


「でも、あしらい方が上手ですから、大丈夫ですよ。最近、レジもセルフ式ですから、手を握られることもありませんし」


「そ、そっか……ちなみに、星宮さんは大丈夫なの?」


「わたしですか?」


「うん。だって、星宮さんも可愛いし、狙われるんじゃないの?」


「そんな、わたしなんて……」


 星宮さんは、何だか頬を赤く染めて、顔をうつむけてしまう。


 しまった、これってちょっと、セクハラだった?


 ていうか、リナちゃんがいたら、この浮気者ぉ~って言われちゃうかも。


「ごめん、星宮さん。変なことを言っちゃって」


「いえ……嫌な気持ちはしないので」


「そ、そっか」


 と、話していると、レジ奥の引き戸が開く。


「由香ちゃん、そろそろ上がりの時間よ~……って、あら? もしかして、彼氏?」


「ち、違いますよ、店長。この人は、リナ先輩の彼氏です」


「ああ、里菜ちゃんの?」


「ど、どうも。いつも、彼女がお世話になっています」


「いーえ、こちらこそ。あの子のおかげで、売上アップしているわ~。もちろん、由香ちゃんも貢献してくれているし。我がコンビニの美女ツートップが並ぶ時間帯は、エロオヤジどもでフィーバータイムよ~」


「マ、マジっすか……」


「ちょっと、店長。あまり、先輩を不安にさせないで下さい」


「あら、ごめんなさい。お詫びに、好きなアイス1つあげるから。星宮ちゃんと一緒に食べたら?」


「い、良いんですか?」


「ええ、もちろん」


 と、何だかノリが良く、優しい店長さんの好意に甘えることにした。




      ◇




 涼しい店内のイートインスペースでアイスを食べ終えると、


「じゃあ、星宮さん。気を付けて帰ってね」


「あっ……」


「んっ?」


 彼女が何か言いたげなので、俺は立ち止まり、小首をかしげる。


「……その、加瀬先輩って、この後、何か予定はありますか?」


「いや、特には……」


「そう、ですか……」


 星宮さんは、何やらモジモジとしている。


「もしかして、何か困りごと? 俺で良ければ、相談に乗るよ?」


「本当ですか?」


「うん。いつも、リナちゃんがお世話になっているし」


「加瀬先輩……」


 星宮さんは、胸の前で、キュッと両手を握った。


「……お願いがあるんです」


「うん、何かな?」


「えっと、その……」


 彼女はすぅっと、息を吸い込んだ。


「……わたしのおっぱい、揉んでくれませんか?」


「…………はい?」







次回予告


 マジで、ハーレム王への第1歩!?


 後輩であり、リナのバイト先の同僚、由香と……?


「はっ、あぁん……加瀬先輩……本当にすごいです」


 ハーレムOKみたいなこと言われたけど……


 この現場を見られたら、怒られる? 殺される?


 でも、何だか止められない!?


 次回もお楽しみに!


 *予告はあくまでもノリである、内容は異なる場合があります。


  あらかじめ、ご了承ください。







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