第16話 カポー

 ダブルデートを初体験した感想。


 まあ、何かリア充っぽいし、憧れていなかったと言えば、嘘になるだろうし。


 でも、実際に味わってみると……何か、疲れた。


 もちろん、それなりに楽しかったけど。


 それ以上に、疲れてしまったかも。


 リナちゃんと隼士がずっといがみ合っていて。


 俺は苦笑するばかりだったし。


 佐伯さんがいてくれなかったら、本当に終わっていたかもしれない。


 何だろう、この気持ちは。


 彼女が言ったように、俺の気持ちはもう、完全にリナちゃんにある。


 でも、改めて、かつて憧れ、恋をしていた彼女と話してみて。


 尊敬の念が湧いて来る。


 陽キャなギャルでコミュ力が高いリナちゃん。


 でも、決して誰とでも仲良くする訳ではない。


 自分が認めた相手としか、話さない。


 そんなリナちゃんが、あんな風に楽しそうに話して、笑って。


 佐伯さんは、本当にすごい人だと思う。


 正直、もし付き合っていたら、劣等感でいっぱいだったかも……


 って、こんな風に言うと、まるでリナちゃんの方がスペックが劣っているみたいな感じになっちゃうけど。


 もちろん、決してそんなことはなく。


 特に、胸部装甲に関しては、リナちゃんの方が何枚も上手で……


「……あっ、ブラのサイズ、聞いてなかった」


 アホすぎる。


 こんなだから、いつまでも冴えないやつなんだ。


 でも、どうしたって、いつも遠慮なくアピールされる、あのたわわんとしたお乳のことが……頭から離れない。


『あたしの直搾り、飲む?』


 ……キモいことを承知で言うけど。


 ぶっちゃけ、飲んでみたくないと言ったら、嘘になる。


 何ていうか、彼女のミルクに執着している訳ではなく。


 本当に彼女のことが好きだから。


 どうしたって、ぜんぶ自分のモノにしたくなる。


 恐れ多くも、あんな可愛くてスタイル抜群のギャル子ちゃんの、初めてをもらった訳だし。


「…………」


 俺はベッドに寝転がりながら、おもむろにスマホをいじる。


 ポチポチ、と……


『リナちゃん、こんばんは。ちょっと、良いかな?』


 すると、


『ショータ、どうしたの?』


 秒で返って来た。


 さすが、ギャル……


『いや、その、聞きたいことがあると言いますか……』


『うん、なに?』


 やばい、いくら付き合っているとはいえ、改めてブラのカップ数を聞くとか……


 冷静に考えて、キモ過ぎだろ。


 リナちゃんが俺に甘々とはいえ、もしかしたら、嫌がられて、そのまま嫌われたりしたら……


 ああ、そんなの嫌だ。


『……ごめん、何でもないよ』


『もしかしてだけど……あたしのブラのサイズが知りたいの?』


『な、何で分かったの!? まさか、リナちゃんって……エ、エスパーなの?』


『ぷひゃっ……ショータ、文字面だけでもウケるわ~(笑)』


『ど、どうも』


『で、どうなの?』


『ま、まあ……ご明察です』


『ふふ~ん。もう、ショータってば。すっかりあたしのおっぱいのトリコだね?』


『そ、そりゃあ……デカいし』


『ちなみに、君の予想は?』


『えっと……前から、推定Fカップかなって』


『ファイナルアンサー?』


『ファ、ファイナルアンサー』


『では、答え合わせをします』


『ドキドキ……』


『……ぶっぶ~』


『ぬわあああぁ!?』


『正解は……Gです』


『…………』


『おーい、ショータ?』


『……予想よりも大きいだと!?』


『ふふん、興奮しちゃう?』


『そ、そんな女子高生が、いるんですか?』


『ここにいます♡』


『……冴えない俺の彼女がGカップギャルな件』


『何それ?』


『ラノベっぽいタイトルにしてみた』


『ラノベってなに?』


『まあ、オタク向けの、イラストがある小説かな』


『ふぅ~ん? ショータ、そういうの読むの?』


『ま、まあ、たまに……』


『じゃあ、あたしと付き合う前は、それでシ◯っていたんだ?』


『シ◯っ……そ、そんなことはしていないし』


『じゃあ、動画か。もう、おませさんなんだから♡』


『か、勘弁してくれ……』


『そーだ、愛するショータのために、とっておきのオカズ写真を送ってあげようか?』


『えっ?』


『あたしのGカポーを遠慮なくアピールする感じのやつ』


『……い、良いんですか?』


『うん。ちなみに、これは浮気防止だから』


『う、浮気なんて……しないよ』


『どーだか。本当は、佐伯ちゃんへの想いが再燃したんじゃないの?』


『いや、何ていうか……彼女に対しては、もはやリスペクトだよ』


『まあ、確かに。同じ女子としても、普通に尊敬しちゃう』


『そっか』


『だからこそ、何でクソ大貫と付き合っているのか分からないよ』


『それは……佐伯さんが言ったように、顔が良いから……でしょ?』


『ぷはっ! 思い出したら、またツボって来た』


『はは、あまりからかわないであげてよ』


『大丈夫だよ、佐伯ちゃん、大人で器が大きいし。お胸も、スレンダーに見えて、意外とありそうだし。まあ、あたしには及ばないけど~♡』


『それはね……でも、隼士も言っていたけど、あまり変に刺激しないでね? ほら、佐伯さんも笑顔の下では、傷付いているかもしれないから』


『うん、そうだね。あたし、佐伯ちゃんとはもっと仲良くなりたいし。あ、そういえば、また誘われたってか、約束したんだよ』


『え、何を?』


『ほら、もうすぐ中間テストでしょ? あたし、おベンキョ苦手だからさ』


『うん、だろうね』


『こら?』


『ご、ごめん』


『それで佐伯ちゃんにちょっと泣きついたら、勉強会を開いてくれるって』


『へぇ~、そうなんだ』


『ちなみに、ショータも一緒にどうかって』


『えっ、俺も良いの?』


『うん。ちなみに、カス大貫もいるけど』


『じゃ、じゃあ……また、ダブルデート的な?』


『そだね~。まあ、ちゃんとおベンキョするけど、あたち♡』


『本当かな~? のっけのテストでつまづきたくないから、俺も勉強に集中しないとだから……また変な色仕掛けをしないでよ?』


『もう、変とは何よ。ボッ◯しまくりのくせに』


『えっ、俺ってば、立っていた!?』


『ぷはっ!……ショータって、本当に可愛いね』


『うぅ……男としては、カッコよくありたいけど』


『大丈夫だよ、ベッドの上では、勇ましいから……お◯ん◯んが』


『リナちゃん、いくらカップル同士のやり取りだからって、下ネタは控えようよ。今のご時世、流出とかあるし』


『確かにね……じゃあ、直接、エッチなことしちゃおうかな~?』


『……刺激が強過ぎるので、やっぱりオカズ写真で我慢しておきます』


『って、何だかんだ欲しがっているじゃん。ちなみに、ポーズのリクエストはある?』


『とりあえず、乳を寄せてもらえば……』


『ちょい待ち』


 数十秒後、


『こんな感じ?』


『……やばい、今夜は眠れないかも』


『えへへ~♡ 愛するかれぴを、不健康にしちゃうぜ~♡』


 もう、このギャル彼女がエロ可愛すぎて、俺の人生が終わるかもしれない。




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