あとがき

あのころと再会の夏 気がつけば恋を詠んでた夏だった

 今にして思えば、それが2019年の夏だったというのも、めぐり合わせだったのかもしれないな……なんてことを考える。

 翌2020年は例のパンデミックがあって、世界は感染症対策に追われた。古本まつりも送り火も中止になり、光の祭典のようなイベントはもちろん、図書館やカフェで話すのさえ不要不急扱いされた。もし私たちが再会したのが1年でもズレていれば、それだけで神さまの振るサイコロの出す目は変わってしまったのかもしれない。


 感染症も予測できなかったけれど、人生もまた予測できないものだ。

 私は2つの恋をともに諦めたつもりだったのだから。ここまで読んでくれた読者も、この物語を悲恋のストーリーと受け取った人が多いかもしれない。けれどもお話はここからさらに旋回する。私たちの関係は続いているし、多様な家族のカタチが認められるようになってほしいねなんて、話し合ったりもしている。

 もちろん、全部がぜんぶ順風満帆だったわけではない。あれからもいろんなことがあった。すれ違いも衝突も、ディスタンスも濃厚接触も含めていろいろなことがあった。

 そのいろいろを全部書き記すには長いので、今回はとりあえずここで一区切りとしよう。もしもまた別の機会があったら、ぼちぼちと書いていくことにしたい。


 気づいた人もいるだろうが、本作の舞台は京都をモデルとしている。ただ、あくまでフィクションとして記したので、固有名詞はあえて手を加えている。

 執筆のきっかけとなった出来事は2019年のことだけれど、小説という一つの形にまとめるのには時間がかかった。回想で書いている部分もあるので、もしかしたら誤っている箇所もあるかもしれない。

 実をいうと当初は一般向けに公開しようとは考えていなかった。ただ、当時のことから数年が経って、過去をそれなりに突き放して見つめることができるようにもなった。カクヨムの存在は昔から知ってはいたので、ここを発表の場に選ぶのも悪くないと感じた次第である。


 本作のどこか一部でも、読者の心に刺さってくれることを願う。




あのころと再会の夏 気がつけば恋を詠んでた夏だった



















※この物語は「あとがき」も含めてフィクションです。

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あのころと再会の砌 白早夜船 @shirabaya_yofune

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