第6話 黒マント
黒雲に包まれた空に浮く数多の赤い物体は、黒いマントを羽織った者へと吸い込まれていく。
「おろろ? 食べちゃいましたね……」
「あの赤い物体を吸収しているのか?」
一体何をしているんだ……。
黒マントは遥か上空から、こちらに視線を向けると物体の吸収を止めた。
「おや? 随分と可愛らしい姿になったものですねぇ」
奴の声が耳元で語りかけられているように聞こえる。
気色わりーぜ……。
「あの時は、よくも派手なものをぶち込んでくれたなぁー、黒マント! そんな高いところにいないで降りてこいよ、ぶっ潰してやるからよ!」
「フフフ、お元気そうで何より……わたしの
「うっるさいですねー! その話し方、耳元がモゾモゾしますからー!」
そう言えば無限石は武装と共に俺の腕からは消えてしまったんだった。
今までのことから推測するに、恐らく無限石はミギテの眼となっている可能性が高い……そう、あの真紅の眼だ。
「欲しけりゃ降りて俺を倒すんだな!」
「そうしたいのですがね……困ったことに何故だかわたしの身体はこの世界に降り立つことが叶わないようなのです」
「はぁ? そこにいるのは何だってんだよ?
「ジンタイ様、やりましたね! 降りてこれないなんてラッキーじゃないですか! からかってやりましょう! やーいやーい、全身真っ黒コーデだっさ!」
「……」
「そこのお嬢さんは随分と威勢がいいですねぇ……わたしが何も出来ないとでも?」
「あなた降りて来られないんでしょ? うわぁ、可愛そー、ジンタイ様が出るまでもないですね。わたしのパンチで一発よ! ほいほいほーい!」
ミギテは黒マントに向かって殴るような動きをして見せる。
おいおい……。
「いいでしょう……それでは少し遊んでいただきましょうか」
「おろ?」
「わたしが降りることは叶いませんが……こういったことは出来るのですよ」
黒マントは両腕を天に掲げると勢いよくミギテに向かってその腕をふり降ろした。
「なっ!? ミギテっ! 避けろ!」
上空に浮いていた赤い物体は細く長く形状を変え、それはまるで大量の槍のようにミギテに向かって降り注がれた。
「いやぁーーーーっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます