(二)-20

 観覧車から降り、園子は歩いていった。気持ちが落ち着かないので、帰ろうと思ったのだった。高野は後からついてきた。

 地元の駅に着くと、別れ際に彼は「送っていくよ」と言った。

 園子は首を振った。

「でも……」

 再び園子は首を振った。

「俺のこと嫌いか」

 園子は首を振った。

「そうか……。じゃあな、気をつけて帰れよ、またな」

 高野がそう言うと、園子はずっと下を向けていた視線を高野の方へ上げた。

 彼は立ち去るために身を翻すところだった。そのとき、彼の唇がわずかに動いたのに園子は気づいたが、何を言おうとしているのか聞き取れず、わからなかった。


(続く)

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