(二)-16

 遊園地は、入間湖のほとりにあった。そのスワンボートに乗った二人が、湖にこぎ出した。

 園子と高野は同じくらいの身長であった。しかし、高野の方が脚力があるようだった。左右の席の足元のペダルはつながって連動しているので、ペダルを通じて高野の足の動きが園子にもわかるのだ。

 その力強い動きを、園子はたくましく感じた。さっきまであんなに意地悪してきたのに、今は自分で足を動かさなくてはいけなくて、高野は真面目な顔をしているのだった。ときどき園子の方をチラッと見てくるが、ペダルを足で漕ぐ運動には慣れていないらしく、すぐに真顔戻ってしまう。

 園子はそんな高野の表情に、少年のような趣を感じ、同時にかわいらしさを感じずにはいられなかった。


(続く)

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