マキナ・リベラティオ 政府軍中尉マグナ・アンジェリキの話

平たいみかん

中佐との日常

「こんな時間まで訓練か?少しは休んだらどうだ。」



訓練場で狙撃の練習をする私にそう語りかけて来たのは、上官であり恩師のジャック・スチュアート中佐だった。



「はい、まだ狙撃の精度に納得がいかないので。ところで中佐は何故ここに?」


「おう、ついさっきまで説教食らってたんだよ。中将から「お前いつも会議中に寝てんじゃねぇ」ってな。んで、まだ訓練場から音がするから寄ってみたんだ。」



笑いながら私の問いかけにそう答える。

中佐は普段からかなり忙しそうにしていて、いつ寝ているんだろうかと思っていたが、まさか会議中に寝ていたとは知らなかった。



「そうでしたか。それは自業自得ですね。というか、会議中に寝ていたんですか?普段の訓練からは考えられない所業ですね⋯。」


「戦術会議とかなら全然大丈夫なんだがなぁ⋯。やっぱり、予算やら人事やらの会議は眠くて堪らんな。ガッハッハッ!」



全く呆れる。その歳で中佐という立場にもなって、会議中に寝るなんて。

しかもそれを全く悪びれていないらしい。

一体どういう神経をしているのだろう。



「訓練は悪いことじゃねぇが、それなりにしといてちゃんと帰れよ?そもそもお前、狙撃含めて今期の訓練兵の中で一番の成績じゃねぇか。何をそんなに焦ってんだ?」


「別に、焦ってる訳ではありませんよ。ただ納得がいかないだけです。」



そう伝えると、中佐は「そうか⋯。まぁ、程々にして、気ぃつけて帰れよ。んで飯食って寝ろ!じゃあな!」と言い、手を振って帰って行った。

きっと心配されているのだろう。

確かに、既に時刻は0時を過ぎようとしている。

少し夢中になり過ぎたし、中佐にも言われた事だ。今日のところは切り上げて帰ろう。

翌日の講義中、私は訓練兵となって初めて居眠りをしてしまった。

どうやら、あまり人の事は言えないようだ。

次からはもう少し自重しようと思った。

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