無形の愛

月見トモ

第1話 目覚め_私

眩い光で目が覚めると

私は白い箱の中にいた。


腕に繋がれた透明な糸は、

私の体に栄養を入れている様だ。


真っ白な部屋には、

日めくりカレンダーのゴミが溢れかえる。


私は、此処で何をしているんだろう。


ふと、目線を入口付近やると、

青年が立っているのが見えた。

私に微笑みかける彼は

まるで私を知っているかの様に話しかけてきた。


「おはよう」


彼の右手には一輪の花が握られている。

この部屋を見渡すと、

花瓶には色も形も違う様々な花が飾られている。


知らない世界に、

知らない青年。

私は、一体。


頭をフル回転させて、

記憶を辿ってみる。


私が覚えていることと言えば、


自分の名前と、


明日には記憶がリセットされること。


たったそれしか、

私の脳には記憶されていないみたいで

彼のことは、なにひとつ思い出せなかった。

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