一章/7話 お嬢の過去 お嬢の街
なんやかんやでローズさんと話しながら馬車は進んでいった。
「ローズさんは今いくつですか?」
ラメが聞いた。女性に年齢聞くのは失礼…いや、そういえばラメも女性だった。
「むむむ!サクラくんのほうが失礼じゃん」
うう、たしかに。
「ふふふ、私は19です。今年で20歳になります」
へ~19歳かぁ…え!?若!!
「サクラくん失礼よ…」
「あ、えと、えっと、あの、ごめんなさい…でもそういうことじゃなくて、えっと、19歳で領主なんですか?」
やっぱりラメ以外の人に話すときは緊張するなー人見知りなおったと思ったのに…
「たしかに!なんでそんなに若いのに領主やってるんですか?」
ラメも気になるみたい。
「2年くらい前だったかしら、ライネリーの街が大きな竜に襲撃されてしまって、お父様もお母様も…」
ああ、あまり触れべきる話題じゃなかったかも。
「えっと、ごめんなさい!つらい話にしてしまって…」
ラメがしっかり謝ってる、僕は喋るのだけで精一杯なのに。
「あ、あの、僕も、ご、ごめん、なさい」
やっぱりうまく声が出ない。僕たちが謝るのを聞いて、ローズさんは優しい表情をしていた。
「大丈夫ですよ、お二人とも。確かにお母様たちが死んでしまったのは悲しいし寂しいけれど、もう2年前のことですし、泣いてばかりではいけないし、私の屋敷の者も大半生き残っています。いま御者をしているボルジアもそのひとりですわ」
なるほど、あの男の人はボルジアさんっていうんだ。
「あ、そういえば、さっき『商都ライネリー』って言ってましたけど、商業が盛んなんですか?」
ラメがなにやら質問してる。
「はい!2年前の事件で、一度は不況に陥っていたのですが、そこから私が領主になってから、なんとかしてもとの商業が盛んな状態に立て直しましたの!」
ええぇ…!なんとかしてって、2年くらいでできるようなことじゃないだろ…
「ええぇ!若いのに凄いです!!実は私、ライネリーの街ってどんなところかあんまり知らなかったんです」
いや、どんな街だか知らなかったんかい。というよりラメってどこからきたの?
「え~っとね~…秘密!」
いや秘密って…あ、でもそういえば…
「でも、この道の先に街があるのは知ってたんだ」
「そりゃーあっちの方向に私の故郷があるもの」
あたかも当然のように言ってるけど、それなら僕と会う前にここ通ったんじゃないの?
「いや~ここら辺、なかなか道が長いし、木が多いから箒でびゅーんって飛んできちゃった☆」
あ、そう。てかそれにしても来た方向を逆戻りしてるよね。
「う、うるさい!勇者のサクラくんを探せたからいいの!」
はぁ、そうですか。
「てかその勇者っていうの、まだ納得できてないんだけど」
「それは絶対間違いないよ!私の住んでたところの伝承通りだもん!」
伝承って、最初に言ってたやつか、あの『背が低い』とか言ってた。
「そう!その通りでしょ?」
ぐぬぬ…あ、たしかローズさんも占い師がどうとか言ってたような…
「先日から私の屋敷に、この辺りでは有名な占い師がお越しになっていまして、その方が申していたのです――」
ふむふむ…
「――『世界が魔に支配されんとするとき、1人の勇者が現れ、魔を打ち払うであろう』…と」
え?それって…
「それって、私の故郷の伝承とほとんど同じです!」
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