一章/5話 悪者退治とその報酬
お腹すいた。結局朝から何も食べないでもう太陽は頭上真上にいらっしゃる。
今僕達は長老と話してから、村の門を出て街の方への道を歩いている。
「お、サクラ君お腹すいたーって顔してるね〜」
わお、バレてるね。でもしょうがないじゃん朝から何も食べてないんだもん。
「ていうか、ラメはお腹すいてないの?」
「私はさっきの酒場でちょっと食べましたからね〜」
う、確かにさっき酒場では ラメの座ってた席には食べ終わったお皿がテーブルに置いてあったかも。
あ、そういえば、
「なんでラメは酒場なんかにいたの?」
ちょっと気になってたんだよね。
「あ〜それはね、酒場って人がいっぱい集まるから情報収集しやすいのよ。私は勇者を探してたから情報収集は大切なの」
ふーん。でもそれなら夜の方がいいよね?
「う、うるさい!とにかく、お目当ての勇者くんは見つかったからいいの!!」
この人って案外頭悪いのかな?勢いが強いだけで。
「……ぅぅ」
あ、へこんじゃった。ごめん。
それからしばらくして、
「あ、前の方に馬車みたいなのが見えたかも!」
おお!人がいるとなんか情報得られるかもね。
早速行ってみよ―――
盗賊的な方々が数人いた。7人ほど。馬車の周りに。
「えと、こ、こんにちは?えーと、いい天気ですね〜?」
あまりにも唐突に登場したラメに流石の悪者たちも困惑、じゃないよ!走ってきちゃったから盗賊さんたちこっちみてるよ!
「ああん?なんだぁお前ら?」
「おいお前ら!なんか走ってきやがった奴らがいるぞ!」
ああもうこの人たち怖い!え、ちょっと?ラメさん?なんか杖構えて、呪文唱えようとしてらっしゃるけど、一体何を……?
「もちろん!私たちは正義の勇者御一行(2人)だからね!悪者は成敗しないと!」
えぇ!こんな怖い人たちと戦うなんてやだやりたくな―――
「おお!女が2人じゃねぇk」
んだと!って、あ、思わず伝説の剣(仮)で殴ってしまった。まあ布は巻いたままだし、元々錆びてるから、大丈夫!……だよね?
「痛っ、小娘が調子に乗りやがっt」
だから女の子じゃねぇよ!!あ、今度は思いっきり振り回しちゃった……って!?今ので3人?いや4人弾き飛ばしちゃった!
もしかして、僕強い?
「あー、えっとー、盗賊さんたち〜私は女の子だけどこの子は男の子だからね〜忠告だよ〜」
あ、ラメが敵に忠告してる。
「はん!たかが4人ぶっ飛ばしたくらいでいい気になるな!」
!?後ろに回られてた!避けられない!――――
「――ちなみに私も女の子だけど、”強い”女の子だから気をつけた方がいいよ♪」
後ろにいた盗賊に、植物のつるが巻きついて動きを止めた。
「おお、それが魔法?」
いいな~かっこいい。
「まあそうだけど、今それどころじゃないかもよ!」
つるが巻きついて身動きを取れない盗賊はひたすらにもがいているが、抜けられる気配はなし。
ということで残り2人なわけだけど、なんか厄介なことになってる。
「動くなお前ら!これ以上近づいたらこの女を刺すぞ!」
人質として、馬車に乗っていた人をだしてきちゃった。
「……やばいかもね……」
ラメは何も言わない。ずっと残った盗賊の2人を見つめている。
さっきの魔法で(魔法とか魔力とかわかんないけど)魔力を使ったのか、杖の下を地面につけて両手で持って体を支えているような体制で。
「おい!魔女!わかったか!」
盗賊のリーダーっぽい男が怒鳴る。
「わかった、もう動かないわ――――私は、ね♪」
その声と同時に、2人の盗賊の足元の地面が揺らいだ。
「ぐっ!?なんだ!?」
「地面が、溶けた!?」
2人の盗賊は沼のような地面から足を引き抜こうと暴れ、余計に沈んでいく。
そして、腰あたりまで埋まって、やっと沈むのが止まった。
「これも魔法?さっきから杖を地面につけてたのはこれのため?」
「そうだよ〜!私ってばやっぱり天才!」
多分本当に天才な人は自分のこと天才って言わないよ。
「うっさい!とにかく、馬車の人達を盗賊から守れたんだし良し!」
そういうものなのかな?
とりあえず、剣で悪者さんたちをぶっ叩いて気絶させる。(身動きが取れない相手に卑怯だって?相手が凶悪な盗賊なので暴れないようにしただけだよ…)
「あの、助けていただきありがとうございます」
さっき人質にされてたお嬢さんが近づいてきて、お礼を言った。
「ええ、本当にありがとうございます!」
男の人も出てきてお礼を言う。(こっちは御者の人かな?)
「いえいえ、私たちは勇者として、魔王討伐を目指してるので、困っている人くらい助けますよ〜」
ラメが調子にのって勇者のこと話しちゃってるよ……
「なんと!!貴女、勇者だったのですね!どうりで魔法がお強いわけですわ!最近、うちの占い師が『もう時期新しい勇者が生まれる』なんて言っておりまして、私はてっきり男性の方がなるのかと思ってましたし―――」
おい!ラメが勇者って話になってるじゃん!
「いや、勇者はこっちの子なんです。まあ、まだ修行中なんですけども。私も含めて」
おお、ラメが、あのラメが、自分が勇者ってことを訂正してる!!
「あら失礼!そちらの素敵な髪の色のお嬢さんの方でしたか」
おいおい!『お嬢さん』っていわれてるんですが?あ、ラメもしかしてさっき『この子が』ってわざと男子ってこと隠したな!
せっかく訂正してる〜ってなって認識改まってたのにな〜
「えあえと、ぼ、僕は男です」
「あら、これまた失礼しました」
何とか声に出せた。やっぱり話すの苦手だなー。
「ところで、貴女たちはどこへ向かう予定で?」
御者の男が聞いてくる。
「あ、この道を道なりに行ったところに確かちょっと大きめの街がありましたよね?そこに行く予定で……」
「ああ!商都ライネリーですね!」
「らいね?……うん、多分それだと思います!」
多分ってなんだよ。ていうか、行く都市の名前も知らなかったの?
「まあ、地理苦手だし!」
さいですか。
「……実は私、ライネリーの領主でして…………さっきはちょうど帰っているところでして……」
え!このお嬢さん、何を言い出すかと思えば……!
「それで、せっかくですし、私1人しか乗ってませんしでしたし、まだ街まで距離もありますし……どうです?馬車、乗ります?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます