シンデレラの魔女
モル101。
第1話
魔女の魔法で変身したシンデレラは
王子と会い結婚をした
それは魔女の気まぐれで起こったことで、ただシンデレラの運が良かっただけ。
というわけでもない
魔女には魔女の事情がある
これはそんなシンデレラに出てくる魔女の物語
シンデレラの生まれるよりはるか昔、ある農村にその娘は生まれた。
そして場面は村の中心に佇む聖堂から始まる
一人の村娘が
月明かりを七色に通したステンドグラスの前で歌っていた。
その声も、まるでそのステンドグラスのように透き通って七色に煌めくような歌声だった。
そしてその終わりに少女は軽く祈りを付け加えた。
「神様、今日は具合が悪かったおばあさんが元気になって一緒にご飯を食べることもできました。ありがとうございます。アーメン。」
「やあ、ジゼル、祈りに来たんですね。」
「ロイ修道士様!こんばんは!」
「ジゼルいつも言ってるじゃないですか、僕は修道士見習いであって、まだ修道士ではないって。」
「ふふ!でも時間の問題でしょ!神様に仕える立派な人。」
ジゼルはいつものようにはぐらかした。その修道士とジゼルは幼い時から知ったような仲だった。
「本当はもっと立派なお祈りできればって思うんだけど、いつも歌うことしかできなくて。。でも今日は特別!
大好きなおばあちゃんの具合が良くなって嬉しくって。だから家じゃなくて、聖堂に感謝のお祈りしに来たの。」
「それは良かったですね。ジゼルはおばあさんと二人暮らしだったから。
最近、暖かくなって来たし病気も、もしかしたら良くなったのかもしれませんね。」
ロイとそんな何気のない会話を続けているとステンドグラスの煌めきが、弱くなってきた。
「もうこんなに暗く...。ジゼル、よければ、空き部屋が一つありますよ。」
「夜は魔物が出るかもしれないですし、心配で。。」ロイは本当にいい人だ。
「ふふ、ありがとう。でも、おばあちゃんがうちで待ってるから帰らなきゃ。じゃあ、またロイ修道士様」
「ジゼル!!」
なんの変わり映えもなく、なんの変哲もない村だった
そして変わらない日常。
しかし、その日は違った。
帰り道、村の中心に聖堂はあるが、ジゼルの家は村の端だった。村は家家が離れて点々とあり、薄暗くなっている今は月明かりも十分でないし、視野が利きにくい。
夜道を歩いて帰るジゼルの後をカサカサと草が擦れ合う音が鳴った。
(なんかついて来てる?)
ジゼルが振り返るか振り返らないか
その瞬間に 何かがジゼルに飛びかかった
地面に打ち付けられたジゼルはそれを何か確認した。
魔獣だ。時々出会う魔物とは違う。1周り大きい
成人男性ほどの大きさで、犬のような、狼のような姿。足は鳥の脚のように鋭い爪が伸びていた。
「きゃー!誰か!助けて!!」
出来るだけ大きな声で叫んだ。
ジゼルはこうゆうとき叫びなさいと教わっていた
きっと、誰かが助けてくれるから。
おばあさんはジゼルに日頃からそう教えた。
でも、ここは村の端
闇に中に声はくぐもった。
魔獣はどうだかわからないが獣は必ず急所の首を狙ってくる。飼っていた鶏が野犬にやられたとき、首から血を出して死んでいた。それを思い出した。
馬乗りにされている状況でジゼルは必死に首を守って抵抗した。
誰も助けは来ない。
ジゼルは咄嗟におばあさんのことを考えた。
魔獣が出たということは、どこかで人が亡くなったんだ。魔獣は神の導きで、それを送りにくる。
そしてときに、生者が誤ってその魔獣に会うと襲われてしまう。
ジゼルは悟った。このところ具合の悪かったおばあさんが
今日急に元気になったのだ。それは、外が暖かくなったからでも、病気が治った訳でもなく
・・・それはきっと。
魔獣が来た道の先にはジゼルの家だけしかない。
そんなこと考えたくなかった。
それはこの世界に一人きりになってしまったということだからだ。
しかし、ジゼルはそれを確信したとき、もう抵抗しなくて良いような気になった。
力がなくなった瞬間を見計らっていたかのように魔獣も飛びついた。
首に痛みが走った。
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