第38話 笑顔になってほしくて
社内食堂……別に大きい場所でもなく、味が良いわけでもない。近くにあるから食べるだけ。ただそれだけ。値段が安いからありがたいけれど。
「ついたよ」私は
「は、はい」
……奢ったりしたほうがいいのかな……いや、でもそんなことにお金を使っている暇はない。どうせ
……そういえば私の周りの人は一文字の人が多いな。
そのまま食券を渡して、それぞれ注文した品を受け取る。私はカレーライスと、
そして……成り行きのまま私と
私は……他人と食事するのが苦手だ。
だけど……今目の前にいる
少しの間、気まずい沈黙が流れた。「いただきます」という言葉を言ってから、しばらくどちらも言葉を発していなかった。
……このままだと胃に穴が飽きそうなので、聞いてみる。
「
「あ……えっと……」
立派な理由だった。私みたいになんとなく流れ着いたわけじゃなかった。だから
……なんか自分が恥ずかしくなってきたな。大した理由もないままおもちゃ会社に就職してしまった。そして大した理由もないまま今の仕事を続けている。そして、大した理由もないままこれからも続けようとしている。
……もうちょっと就職頑張ったほうが良かったかな……まぁ後悔したところで後の祭りだけれど。
また沈黙。本当に私は会話が続かない。こんな私を会話してくれる
というか
……その小さな体のどこに入っているのだろう……まるで魔法みたいだ。美味しそうに食べる人が近くにいると、こっちの食事まで美味しくなってくる。
……もう少し喋りかけたほうがいいのかな……いや、でも会話が苦手な人かも知れないし、そもそも食事中に喋りまくるのもマナー違反かも知れないし……
ううむ……どうしたものか。話しかけようにも話題がないし……そもそも私も会話は苦手なのだ。
……結局無言か。それしかない。別に
よし……そうしよう。そもそも私が後輩に好かれる要素なんてないのだから、ここ2、3日の辛抱だ。そうすれば私はまた
申し訳ないけれど……
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