第105話 戴冠式

 戴冠式の当日は、好天に恵まれた。


 雲一つない快晴の空に太陽が輝き、芽吹き始めたばかりの木々の葉がほどよい木漏れ日を作り出す。


 戴冠式の会場で、例の大岩の玉座の前に佇立した俺は、居並ぶ獣人たちを見渡した。


 二千、いや三千人はいるだろうか。


 奥多摩ばかりではなく、関東一円からやってきた、アコニ族とエシュ族が一同に会している。


 カニスの話では、戴冠式に呼ばれたのは主だった獣人で、これでもまだ全員ではないということだから、最終的に俺が治めることになる異世界人たちは、その数倍にも及ぶらしい。


 俺は改めて自分が負う責任の重さを痛感し、手の平から噴き出す汗を隠すように拳を握りしめた。


(『ザイ=ラマクカ』のみんなは……遠いな)


 俺は目を細め、遠くを見つめた。


 この場にいる地球人は、俺を除けば瀬成と由比と礫ちゃんだけだ。


 それも、あくまで異世界人が主体の戴冠式においては彼女たちはオブザーバー的な立ち位置だから、用意されたのは末席で、俺のいる玉座からは顔もよく分からないほどの距離感がある。


 これでは、今日この場にいない石上と大して変わらない存在感しかないじゃないか。


「みんな、今日はよく集まってくれたにゃ! 早速戴冠式を始めるにゃ!」


 俺の右側に控えたマオが、大きな声でそう宣言する。


 今日のマオは、いつものラバースーツではなく、虎柄の皮で仕立てた民族衣装を着ていた。


 かなり露出度が高く、俺からすれば、ビキニの水着みたいに見える。


「ここにおわすヤマト=ツルガオカ様は、類まれなる英雄ですー。ヤマト様はその機知と勇気を持って伝説の災厄である邪竜を退けー、同胞を救っただけではなくー、今なお続く世界の終わりの脅威から、私たちを守護し続けてくださっていますー。『世界が混沌に満ち、大いなる災厄が襲う時、希望の糸を紡ぐ勇者が現れる。彼の者は、全て導く王となり、我らに再び平安をもたらすであろう』。皆さんもご存じのこの伝説においてー、古の賢者が予言していた勇者。ヤマト様こそがその御方なのですー。よって、私、カニスは、伝統と正義に基づき、神聖なる巫女の権限ににおいてー、ヤマト様をエシュ族の王として推挙しますー」


 マオの反対側――つまり、俺の左手に立ったカニスが厳かに言った。


 カニスは、マオとは対照的に肌の出ていない、萌黄色の貫頭衣を身に着けていた。


 おそらく、これが巫女シャーマンの衣装なのだろう。


「マオも、ヤマト様をアコニ族の王に推薦するにゃ。ヤマト様は異種族出身にゃけど、そんなことは関係ないにゃ。アコニ族で偉いのは、一番強くて、仲間を腹いっぱい食べさせられる奴にゃ。今のマオたちが無事なのは、ヤマト様が築いた壁のおかげにゃ。飯が食えてるのは、ヤマト様が仕事を持って来てくれるからにゃ。だから、ヤマト様以上に王にふさわしい奴はいないにゃ!」


 マオは同胞に向けて、簡潔にそう言い放つ。


「以上をもって、エシュ族とアコニ族双方の代表者による、推挙の弁を終了します。今から、王冠を回します。ヤマト様が王となることに、異論のない方は、この無垢なる冠に彩りを加え、新しい王の誕生を祝福してくださいー」


 カニスがそう言って恭しく懐から取り出したのは、緑の木の枝で編まれたシンプルな王冠だった。地球でいうところの、オリーブ冠に近い感じだ。


「じゃあ、まずはお前からにゃ!」


 マオがカニスから受け取った王冠を、目の前の黒い毛並みのアコニ族に手渡す。


「にゃ。おめでとうにゃー。新しい王様には、できればもっと肉をたくさん食べられる生活ができるように頑張って欲しいにゃー」


 黒い毛のアコニ族は、そう言って王冠に背の低いひまわりのような黄色い植物を挿した。


 それが終わると次のアコニ族に王冠を手渡す。


「おめでとうにゃー。王様の力で領土が広がって、海でも漁ができるようになったら最高にゃー」


 次のアコニ族は薔薇に似た鮮やかな赤い花を王冠に挿した。


「おめでとうにゃー」


 その後も次々と他のアコニ族に王冠が渡っていき、俺への期待を込めた祝辞と共に、冠がどんどん豪華になっていく。


 やがてアコニ族の手から、エシュ族の手に冠が移った。


「王よ。賢明であれー」


 耳の長いエシュ族が、そう言って冠にスミレのような小さな花を添える。


「王よ。誠実であれー」


「王よ。壮健であれー」


 今度はエシュ族の間で冠のリレーが始まった。


 エシュ族の祝辞は、物静かで、冠に活ける花も落ち着いた冷色系のものが多い。


 その違いが、何となく二つの部族の違いを象徴している気がした。


 やがて、エシュ族の面々も祝辞を終えて、再び冠がカニスの手に戻ってくる。


 始めは無味乾燥だった草の冠は、今や一つの植物園のような豪華な花冠へと変貌していた。


「ヤマト様―。お聞きの通りですー。どうかー、私たちの願いを聞き届け、この王冠の所有者とおなりくださいー」


「マオたちの王様になってにゃ」


 カニスとマオが二人で王冠を持ち、俺の眼前に掲げる。


「謹んで承るよ。この非才の身の全身全霊をもって、あなたたちを庇護しよう。それが、みんなの望みなら」


 俺ははっきりと決められた言葉を口にして、跪いた。


 頭を下げ、地面とにらめっこする。


 そんな俺の頭に、ふわりと王冠の重みが加わった。


「さあ、ヤマト王。玉座へ」


「みんなにご尊顔を見せてやって欲しいにゃ」


「ああ」


 マオとカニスの言葉に、俺は顔を上げて立ち上がる。


 振り返れば、そこには玉座へと続く木製の階段があった。


 前ははしごで昇り降りしていた玉座だったが、わざわざマオとカニスたちが用意してくれたのである。

 一段一段踏みしめるように、階段を登っていく。


 やがてその終わりに辿り着くと、俺は目の前の玉座に深く腰掛けた。


 景色が一変する。


 先ほどまではそこにいる誰とも同じ高さだった視線が、どうしたって見下ろす形となり、俺は否が応にでも自分が人の上に立つ存在になったことを実感させられる。


 不思議な感覚だった。


 焦燥感と、恐怖感と、それを上回る緊張感がごっちゃになっている。


 世界がカロンファンタジアと融合してしまったあの日、初めてあのチワワの怪物と対峙した時の感じに、ちょっと似ているかもしれない。


「俺こそが、汝らの王。ヤマト=ツルガオカである!」


 それでも俺は、微笑んで右手を挙げた。


 言葉ははっきりと。


 振る舞いは堂々と。


 少しでも、みんなが安心できるような、頼りがいのある王様に見えるように。


 一度引き受けた以上、責任は果たさなければならないから。


「ヤマト王、万歳!」


「エシュ族とアコニ族に栄光あれ!」


 万丈の拍手が、俺を包み込んだ。



『特殊条件を満たしたため、プレイヤー鶴岡大和に称号『レガリア』が付与されました。

 称号獲得に伴い、システム上の一部制限が解除されます』



 こんな時でも、しっかり俺の視界には、システムメッセージがホップアップしてくる。


 新しい運営様プレネスは何でもお見通しということらしい。


「さあ、みんな! 王様の戴冠のお祝いにゃ! じゃんじゃん貢物を持ってくるにゃ!」


「エシュ族の方はー、こちらに並んでくださいねー」


 マオとカニスの号令で、玉座の前に行列ができる。


 マオは貢物と言っているが、実態はこの後のお祭りで皆に提供する食べ物や酒を集めているだけであることを、俺は知っていた。


 もちろん、この後の流れも決まっている。


 俺が一応、全ての献上品を検め、全てを受け取る建前を取ってから、それを独り占めせずにみんなに返す形をとることによって、祭りの開催を宣言し、王の器の大きさを演出するらしい。


 後は、前にリハーサルした通りに会場をセッティングして、そのまま宴に突入という訳だ。


「ではまず私からー。一族に伝わる二百年ものの薬酒ですー。とっても身体にいいんですよー」


 カニスが部下らしき別のエシュ族が持ってきた甕を受け取り、俺の前に置くと、その蓋を開いた。


「ありがとう」


 黒色の酒から、アルコールの匂いと共に、独特の薬品臭が漂ってくる。


 といっても嫌な香りじゃない。ドク○―ペッパーみたいな癖になりそうな匂いだ。


「干し肉にゃ。火喰い鳥の一番おいしい所だけ集めたにゃ」


 マオとは別の、黒い毛をしたアコニ族がネックレスのように紐で数珠つなぎにされた乾燥肉を俺の前に置く。


「どうも。おいしそうだね」


「初摘みのアンブローシアの実であーる。一本に木に一つしか生らない、貴重な果実であーる」


 男のエシュ族が甘い香りのする、りんごを小さくしたような果物を捧げてきた。


「感謝する」


 その後もアコニ族とエシュ族が代わる代わるやってきて、その献上品が俺の前にうず高く積み上げられていく。


「大体終わったかにゃ? じゃあ、最後はマオからにゃー!」


 列が途切れたところで、マオがここぞとばかりに進み出てきた。


 手には、段ボールサイズの木箱を抱えている。


「中身は?」


「開けてみるにゃ! とってもいいものにゃ!」


 マオが俺の前に木箱を降ろして、得意満面な笑顔で言う。


「へえー。何かな」


 俺はわくわくしながら木箱の蓋をずらす。


 瞬間――


『ピギャー!』


 何かが俺に跳びかかってくる。


 俺は反射的にそれを払いのけた。


 全長10cmくらいの、つちのこにも似た横長の蛇だ。


 地面にベチャりと落ちたそれが、瞬く間に森の奥に姿を消す。


 え?


 なにこれ。


 どっきり?


「な、中々、個性的な献上品だね」


 俺は引きつった顔で言った。


 周囲にざわめきが広がる。


 小さいかったし、詳しく観察した訳じゃないからはっきりとは断言できないけど、さっきのは地球の蛇じゃなく、モンスターだった気がする。


 俺は別に気にしないけど、王様にモンスターをけしかけるって、結構ヤバい事態なんじゃないか?


「マオー。一体、どういうつもりですかー? 悪戯にしてはシャレにならないんですけどー?」


 カニスが耳と尻尾を逆立てて、マオに詰め寄る。


「ち、違うにゃ! 違うにゃ! マオはただ、ヤマト王においしいスニークスネークの卵を食べて欲しかっただけにゃ!」


 マオが首と手をぶんぶん振って、弁解するように言った。


「それにしてはー。中にあるのは卵の殻だけなんですけどー?」


 カニスが箱の中を覗き込み、目を細める。


 彼女の言う通り、箱の中には割れた白い卵の殻が山積みになっている。


「――にゃ!? にゃにゃにゃ!? 本当にゃ! 箱の中の卵が全部割れてるにゃ! まさか卵が孵化したにゃ!? おい、お前ら! ちゃんとマオの言った保管方法を守ったんだろうにゃ!?」


 箱の中身を見て、目を見開き、声を震わせながら、マオは後ろを振り向く。


「もちろんにゃ!」


「ちゃんと冷暗所に保管したにゃ!」


「風通しにも気を付けたにゃ!」


「お日様の光にも定期的に晒したにゃ!」


「……ごにゅごにゃ」


 マオの子分らしきアコニ族の少女たちが次々と潔白を主張する中、その内の一人が視線を逸らす。


「アルセ。何か心当たりがあるのかにゃ? 怒らないから言ってみるにゃ」


 マオが張り付いたような笑みを浮かべながら、視線をそらしたアコニ族の少女に近づいていく。


「じ、実を言うと、卵をお日様に晒す時に、ちょっと箱の中に入ってお昼寝したにゃ」


 アルセと呼ばれた少女が頭をぽりぽりと掻いて白状する。


「にゃー。わかるにゃー」


「狭い所は落ち着くにゃー」


「にゃー。とっても気持ちよさそうだにゃー」


 他のマオの子分が同情するように言った。


「お前ら、アホかにゃー! 人肌で卵を暖めちゃだめにゃー! 温度と湿度と暗さの三つが揃ったら、孵化するに決まってるにゃ!」


 マオがアルセのこめかみを握りこぶしでぐりぐりする。


「にゃー! 怒らないって言ったにゃー!」


 アルセが目に涙を浮かべながら、抗議するように叫んだ。


「マオー。……やってくれましたねー。これじゃあ、祭りどころじゃないじゃないですかー」


 カニスが頭痛をこらえるように、額に手を当てて天を仰ぐ。


「にゃー。すまんにゃー」


 マオが耳をヘタらせてうなだれた。


「……えっと、そんなに大事おおごとかな? スニークスネークって確かそんなに強いモンスターじゃなかったはずだけど」


 深刻な様子の二人に、俺は声をかける。


 頻繁に遭遇するモンスターじゃなかったからあまり良く覚えていないけど、ゲーム時代では、プレイを始めて数日の初心者でも倒せるような雑魚だった気がする。


 獣人たちがカロンファンタジアのキャラクターとしての能力が低いことを考慮しても、さほど脅威になるような敵には思えない。


「確かに、スニークスネークの戦闘能力はそれほど高くはありませんしー、毒もないので蛇系のモンスターにしてはマシな方ですけどー、繁殖力がものすごいのが厄介なんですよー」


「しかも、あいつらはめちゃくちゃ警戒心が強いのにゃ。人がいる気配を察知したらすぐに逃げるし、罠にもかかりにくいから、完全に駆除するのは困難なのにゃ」


「ですねー。このままじゃ農作物とかに被害が出ますしー、早々に山狩りを行って、スニークスネークが繁殖する前に徹底的に駆逐することを進言しますー。幼体が繁殖可能になるまでー、一週間くらいしかありませんからー」


 カニスが眉をひそめて言う。


「なるほど。そういうことなら、確かに一刻も早く対処した方がいいな。残念だけど、祭りは中止するしかないか……」


 俺は頷いて言う。


 図らずも王としての初仕事が舞い込んできたという訳だ。


「はいー。幸いー、今は人がたくさん集まっているのでー、山狩りするには好都合ですねー」


 カニスが戴冠式のために集まった一同を見渡して言う。


「お願いにゃ! みんな力を貸してにゃ!」


 マオが懇願するようにそう呼びかけた。


「にゃー! じゃあ、ごちそうはなしにゃ!?」


「それじゃあなんのために来たのかわからないにゃー!」


「軽率なアコニ族のせいで王の晴れ舞台に泥を塗ることとなったのであーる」


「このような思慮の浅い者たちとまつりごとを共にして本当に大丈夫なのだろうか」


 アコニ族とエシュ族双方から不満の声が上がる。


 場の雰囲気が一気に険悪になった。


(うーん。困ったなー)


 俺は腕組みをして考え込む。


 いい解決策が思いつかない。


「みんな! 静かにしてよ! まだ、戴冠のお祝いは終わってないっしょ!」


 その時、集団の一番後ろから、凛とした声が響いた。


 瀬成だ。


「そうです! 私たちだって、兄さんにお祝いをちゃんと用意してきたんですから!」


 由比が両手を挙げて、自己主張するように言う。


「道を空けてください。ご主人様に捧げるものがあります」


 礫ちゃんの言葉に、獣人たちが左右に寄る。


「みんな……」


 俺は万感の思いで、こちらにやってくる仲間たちを見つめた。


 根拠もなく安心する。


 ロックさんの言っていた通り、俺は無意識に彼女たちを頼りにしていたらしい。


「大和。おめでとう」


 瀬成がはにかみながら告げる。


「庶民から王様に成り上がるなんて、さすが兄さんですね! さす兄!」


 由比が手を叩いて言った。


「おめでとうございます。ご主人様」


 礫ちゃんが淡泊に述べて、一礼する。


「うん。ありがとう。……それで、お祝いの品はまだかな?」


 俺は冗談めかして尋ねた。


 初対面の獣人たちには、こんな傲慢に見えるような軽口は叩けないけど、気心の知れた三人には言える。


「ふふふ、なんでしょうー。当ててみてください。正解したらボーナスに私の初めてを――」


「もう、今はふざけてる場合じゃないっしょ!」


 瀬成がおどける由比の頭を軽く叩いてツッコむ。


「ご主人様。私たちがご主人様の戴冠のお祝いに捧げるのは、勝利です」


 礫ちゃんが唐突に呟く。


「あっ。ちょっとこのメイド娘! 抜け駆けしないでください!」


「一番良いところをもってかれたし」


 由比と瀬成が悔しそうに呟いた。


「勝利? ……一体、どういうことかな?」


 俺は三人の顔を見渡して問う。


「私たちに、ご主人様の悩みを解決する策があります」


 礫ちゃんが間髪入れずに答える。


「どうせ今から、お祭りの会場のセッティングに、数時間はかかりますよね? その間に逃げ出したスニークスネークを駆逐できますよ。ですよね? 瀬成さん」


 由比が確信に満ちた声で言った。


「うん。ウチらと大和。後はマオが協力すれば、必ず」


 瀬成がまっすぐに俺の方を見て頷く。


 それ以上質問を重ねる必要はなかった。


 プドロティスとの戦いの時、三人は躊躇なく俺に命を預けてくれた。


 それに比べれば、今回のような生命の危険がない状況で、彼女たちの言葉を信頼するのは、俺にとってひどく簡単な決断だった。


「わかった。――そういうことだから、カニスは予定通り、祭りの準備を始めてくれていいよ。スニークスネークの件はマオと、俺たちで対処するから」


 俺はマオとカニスに視線を遣り、一方的に告げた。


「ですが……」


「本当に大丈夫かにゃ?」


 マオとカニスが心配そうに瞳を揺らす。


「責任は王の俺が取るから。それじゃだめかな?」


「わかったにゃ。王がそこまでおっしゃるなら、よろしく頼むにゃ。力を貸してくれにゃ」


 マオが拝むように手を合わせた。


「くれぐれもー、よろしくお願いしますー」


 カニスが頭を下げる。


「うん。――さあ、みんなしばらくくつろいで待機していてくれ。日が沈む頃には、俺は献上品と共に、初めての勝利を諸君と分かち合いたいと思う。あなたたちを庇護すると言った言葉が口だけでないことを、そして、異なる世界で生まれた私たちが力を合わせることの意義を、証明してみせよう!」


 俺は居並ぶ群衆に向けて、力強くそう宣言した。


「王様は自信満々にゃー」


「本当にできたらすごいにゃー」


「幸運を」


「お手並み拝見といくのであーる」


 群衆は、様子見半分といった感じで一応の納得をみせ、三々五々それぞれの待合場所へとはけていく。


「じゃあ詳しく作戦を聞く前に、とりあえず場所を移そうか。神聖な玉座の上で立ち話をするのもなんだし」


 俺はそう言うと、玉座から立ち上がり、王ではないただの鶴岡大和に戻って瀬成たちと向かい合った。

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