45、芽生える友情と葛藤
ヴォーパルと友達になってそろそろ一週間の時が
「……………………」
「どうした?僕の顔に何か付いているのか?」
レンは、自分の中に奇妙な
しかし、レンは
「いや、何でも無いよ。少し
「そうか?何だか
「はははっ、別に悩みなんて無いさ」
とは言ったものの、流石に無いと言い切れる
そもそも、レン自身にもこの感情の
少し、一人になった時にでもゆっくりと考える必要があるのかも知れない。そうレンは考えていた。
「まあ、でもありがとう。
「うん、僕も友達が出来て少しばかり
ちくり―――
またもや、レンの胸の奥に何かが
その、筈なのに……
レンは、思わずはっとした。一体今何を考えていたんだろうか?今、何を
分からない。分からない。レンは何も分からなかった。
「……レン?やっぱり何か悩みを隠しているんじゃないか?」
「そんな事は、無いよ……」
言っていて、自分でも
この
レンには理解出来なかった。だが、それをレンは何とか
「今日もなかなか
「うん、僕もだ。また
「おうっ」
そう言って、その日はヴォーパルと
・・・ ・・・ ・・・
そうして家に
「……まあ、少し
ぽつりと誰にともなく呟いて
「レン、どうしたの?」
「うん、少し相談があってね」
「相談?何かあったの?」
シンシアは僅かに表情を
ともかく、レンは彼女に近況を
分からないまでも、それでもヒントくらいは分かるかもしれないと
「…………それ、って」
「うん?何か分かったのか?」
「いや、何でもないよ。うん、何でもない」
そう言って、シンシアは
分からないなら、やはり
「……………………」
どうしてだろうか?シンシアがレンを
……そう思っていたのだが。
家でのんびりと
ドアを開くと、其処にはシンシアの父親が
「えっと、どうしました?何か用事でも?」
「それどころではない!シンシアが、娘が一人で
「っ‼」
考えるより前に、真っ先に家を
家を飛び出し、集落の外に出て、そしてヴォーパルの
ちくり、と。再び胸が
「シンシア!ヴォーパル!」
「っ、レン!?」
「ん?おお、レン‼」
シンシアとヴォーパルが、同時にレンを見た。まだ、どちらも傷一つ
真っ直ぐ、息を
「シンシア、どうしてこんな事を……」
「う、うぅっ……ううぅうっ……」
問われて、彼女は
その姿に、レンは思わず
「えっと、シンシア?」
「全部、全部この大兎が悪いんだからっ!全て、レンが
「……どういう、事だ?」
レンの問いに、シンシアはぽつりぽつりと話し始める。
ヴォーパルも、
「レンは、ずっと私と
「……………………」
その言葉は、ヴォーパルにとって衝撃的な
それくらいに、レンとヴォーパルはとても
ありていに言えば、二人は深い
思わずレンの方を見る、レンは僅かにうつむいて
「別に、レンが
「それは、どういう事?」
思わずシンシアに問いかけるヴォーパル。しかし、シンシアの方は一瞬ヴォーパルを睨みつけた。
まるで、親の
「けど、レンに初めて友達が出来た。人間以外だったけど、
「それ、は……」
「レン、は……その友達を最終的に兵器開発の
シンシアはまるで
そう、レンにとっては初めての友達だった。人生で初めて友達が出来た。
きっと、それこそが全てだったのだろう。レンの中で、ようやく
ああ、なるほど?そういう事か。だから、ずっと自分の中に
そう、自身の
安堵の理由に納得した。もやもやの理由にも納得出来た。
そうだ、これは……
「レンは、大兎に対して。怪物種に対して本気で
「それ、は……」
ヴォーパルは、レンに確認するようにその
そう、レンはヴォーパルに対して本気で友情を抱いていた。だからこそ、そんな彼に対して一種の
そして、シンシアはその
「全部、
「何故、そんなにシンシアが?」
僕の事で
レンのその疑問に対し、シンシアは
「……ずっと、レンの事が
ああ、そうか。レンはようやく納得した。
つまり、シンシアはずっと
シンシアから
だからこそ、レンがヴォーパルとの友情に戸惑い思い悩んでいるその責任をヴォーパル自身に向け、
要は、簡単な
「それは
「……え?」
「僕は、本当は
「それ、は……」
けど、とレンは
「けど、その
「っ!?」
シンシアの表情が
今度こそ、レンは彼女に
「ずっと、シンシアの事が
けど、
「それでも、僕に友達が出来た。
「…………」
きっと、レンは
けど、それで良いとレンは思っていた。自分はそれで良いと。
「僕は、その友達が出来て何よりも
「……っ」
「シンシアは、そんな僕を
問いかける。レンは少しだけ不安に思っていた。此処でシンシアに
けど、それでもレンは本音を語った。シンシアに
そんなレンに、シンシアは首を
シンシアは真っ直ぐレンの目を見て薄い
「ずるいよ、そんな
「かも知れない。ごめん」
「うん、私の方こそごめんなさい。少しばかり
そして、レンはヴォーパルの方へ改めて
「ヴォーパルも、ごめん。君を何れ
「ああ、もちろんだよ」
そう言って、僕たちは笑い合った。しかし、それはまだ
そう、本当の嵐はもう少しだけ後だ。
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