15,エリカとアキト
「いや、あれはそもそも姉さんが
「
「はぁ、
「面倒って何よ‼」
まだアキトが10歳、エリカが11歳だった頃。その頃の二人は仲が悪く、何時も喧嘩ばかりしているような間柄だった。
今回も、二人は朝から喧嘩をしていた。喧嘩の
そして、結局この日も最終的にユキが間に入って
喧嘩は何時も
二人ともヒートアップした頭を
「何時も何時も、姉さんは
「なっ、アキト君だって
「何だよ‼」
「何よ‼」
「あーもうっ!二人ともいい
結果、ユキが二人を無理矢理引き剥がした事により喧嘩は強制的に終了した。
無理矢理引き剥がされ、そのまま互いに別の場所へと連れていかれる。
そんな中、ユキは互いに睨み合い
そもそも、何故二人は其処まで
いや、或いは……
一つ、
・・・ ・・・ ・・・
まず、ユキが
「ねえ、少し
「何よ、ユキもアキト君みたいに私が悪いって言うの?
「
ユキはそっと、エリカの
やはり、何だかんだ言ってそれがユキらしいと自分自身思うからだ。
「ねえ、そもそも何でエリカはアキト君の望遠鏡を勝手に持ち出したの?」
「それは……私も、
徐々に尻すぼみになってゆく言葉。その言葉に、ユキは直感的にそれだけではないと見抜く。エリカが逸らした視線に、彼女の
なので、ユキはもう少しだけ
「ねえ、
「それだけって?」
「本当に、エリカは
「……………………」
黙り込むエリカ。しかし、その
そう思い、ユキは更に
「エリカの
「…………ったから」
「ん?」
「アキト君と、もっと話したかったから…………」
そう、それこそがエリカがアキトと喧嘩していた原因。エリカは本当は心の中では弟のアキトと
それを知り、ユキはようやく
さて、その上でユキにはもう一つ
「じゃあ、私はアキト君から話を聞きにいく事にするよ。エリカの本心も聞けた事だし次はアキト君の本心を聞く事にするよ」
「……アキト君と、もっと仲良くなれるかな?」
「なれるよ、きっと」
そう言って、ユキはそのまま立ち
やがて、しばらく考え込んだ後。何かを
・・・ ・・・ ・・・
続いて、ユキはアキトの居る場所へ向かった。
アキトはむすっとした表情のまま近付いてきたユキを黙って
思わず、ユキは苦笑してしまう。
「何だよ、ユキも俺の方が
「別に、そんな事は思っていないよ」
「俺は悪くない。悪いのは姉さんの方だ。姉さんが、姉さんが俺の望遠鏡を勝手に持ち出したから……」
「本当に、そう思っている?」
ユキは、アキトの本心を聞き出す為に敢えてエリカと同じ
本当にそう思っているのかと。本当に、アキトはエリカの事を
「何が言いたいんだよ」
「思ったんだけど、アキト君はエリカが
「……違うよ。それに、何時も何時も姉さんは鬱陶しいんだ。
「……ねえ、エリカはアキト君の望遠鏡を持ち出した事。本当はアキト君ともっと話したかったからって言っているよ?」
「
「思っているよ。だって、本人から直接聞いたんだから」
「嘘だよ。そんな事、絶対に嘘だ」
嘘だ。そんな事、とずっと上の空のように
「
「「っ⁉」」
外れにある
金獅子ジンライ……この集落の外れにある花園に生息する
だが、危険度が小さいというのはあくまでなわばりを離れないという性質ゆえ。なわばりを荒らす者は容赦なくその強靭な爪や牙により引き
「どうして、そんな
「い、いや……
「っ」
どうやら、止めようとしたけど
しかし、驚いたのは何もユキだけではない。他でもないアキトが驚愕していた。
「何、で……」
「何でと言われても、エリカは仲直りするためとか。言、って…………」
「っ、あの
瞬間、文字通りの意味でアキトは放たれた
何て
そんな使い方をすれば、自身の異能により身体が巨大な圧力で
その
そう、アキト自身エリカともっと
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