11、白蛇の怪物
まるで
人を丸呑み出来る程の巨大な
先程の巨大な揺れは、全て白蛇の暴れた
それは地獄のような光景だった。地獄としか言えない、まさしく地獄絵図だ。そんな地獄の中で、俺はただ
「……何だ、これは?」
思わず、思った事がそのまま言葉として
何だこれは?これは一体何の
いや、分かっている。これは夢ではない。これは
神野エリカは瞬間移動を繰り返し、白蛇を
ユキも無抵抗ではない。不可視の
戦闘能力の無い住民は、ヤスミチさんが
しかし、白蛇にとって嵐のような怒涛の猛攻も破格の防御能力も大したものではないらしい。その身一つで容易く
文字通り、大嵐を前にした赤子の
明確な絶望が、其処にはあった。しかし、誰も
だから、諦めるわけには絶対にいかない。それだけは、断じてするわけにはいかないのだ。
俺の中で、徐々に訳の分からない感情が
俺の中で渦を巻き荒れ狂うのは、純粋な怒りだ。分かっている、重要なのはその怒りの
その怒りは
『分かって、いるな?』
「ああ、分かっているさ」
俺の脳内に流れたアインの言葉、それに俺は小さく
逆だ、俺はこの理不尽を己の怒りで。己の力で打ち
この怒りを己の力に
そう決意した瞬間、俺の中で力がみなぎってきた。膨大な力が無尽蔵に湧き上がり全てを焼き尽くす
だから、俺は腰を
「ふっ‼‼」
刀を構え、抜刀した瞬間に俺は
白蛇の胴体から、真っ赤な鮮血が噴き出した。大地を鮮血の
「ぐ、ああああああああああああああああああああああああっっ‼‼」
白蛇が絶叫を上げる。どうやら
激しい怒りを、その白蛇へと向ける。
再び、抜刀の構えをとる。しかし、それを
「があああああああああああああああああああああっっ‼‼‼」
その
その咆哮により、俺の足が一瞬だけ止まる。その隙を白蛇は決して
しかし、今度の抜刀は姿勢が上手く整っていなかった為か白蛇の鱗を
しかし、決してそのような時間は
ユキの不可視の刃が、アキトの攻撃が、エリカの不規則な瞬間移動攻撃が、白蛇を打ち据え叩き付ける。
それにより、
刀を構え、腰を低く落として、撃つ‼
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ‼‼‼」
神速の抜刀に
「オロ、チ……様…………っ」
最期、白蛇は何事か呟いてそのまま息絶えた。
俺達の
・・・ ・・・ ・・・
しかし、勝利に
痛い程の沈黙が、場を
「……………………」
「そんな……こんな事って…………」
ユキの愕然とした声が響く。其処には
それは、確かに先程まで俺と話していた筈の人だった。
明影タツヤ。この旧日本において、御意見番ともオモイカネの長老とも呼ばれたほどの人物。其処には、ログハウスの残骸と共に
俺は静かに思い出す。彼は、タツヤさんは果たしてこの状況をよしと出来るのだろうか?いや、それともこれこそが彼の
こんな、
思い出す。彼の住処はほとんど何も無かった。彼が存在を許した物しか無かった。
逆を言えば、其処には彼が存在を許した物で満たされていたのではなかったか?
あの空間は、彼の思い出がそのままの形で
そして、その日常の象徴が
いや、それ以上の考察は
彼の遺体に手を合わせる。せめて、死後くらいは
せめて、その
・・・ ・・・ ・・・
「ふんっ、死後の世界というのも中々に
ぼやける視界の中、タツヤはそう呟いた。
「そんな事もありませんよ?住めば
ほがらかな声。その声に、タツヤは一瞬だけ
その姿に、一瞬だけ
「住めば都、か。確かに、お前と一緒ならどこだって
そう言い、そっと明影タツヤは手を
今度こそ、もうその手を
「一緒に
「ええ、何処までも。貴方と
そう言って、二人はその永い
より永い。永い旅を……新たな
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