女の子の友達とキスをするということ

烏目 ヒツキ

蜜に塗れる

友の蜜

 真夜中の校舎に忍び込んで、私は友達とキスをしていた。


 海とは違って、プールの水面は波一つなく、とても静か。

 明かりはなくて、真っ暗。

 風はなくて、耳鳴りがするほど静か。


 僅かに聞こえる水の跳ねる音が、静寂に小さく響いている。


「ぷふっ」


 口を離し、友達の小野おのシイナが笑う。


「なんだか、……お口で、えっちしてるみたい」

「そうゆうこと言わない。恥ずかしいってば」

「でも、ユズキちゃんと一緒にいれて、すっごい幸せ」


 シイナが笑うと、暗闇の中から湿った吐息が吹いてくる。


「あちひ、ね。ユズキといる時、どうしても気持ち抑えれなくて」

「知ってる」

「どうしても、……え、えっちになっちゃうんだよね」

「はいはい。全部、知ってる」


 そして、私たちは再び、舌からキスを始めていく。


 これは、私たちの最後の夏だ。

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