第4話 ウェキ村の災難(1)

心の中に抱いている願いは、結局実現するのか?

——例えば、俺の最後の期待?

必ず実現するだろう。

単純に思ったことがある。

努力さえすればいい……。

しかし、間違っていた……。

今ここに横たわっていて、何もない……。


……ちょっと待って。

——死は意外にも俺を回復させた。

顔からそよ風を感じたようで、青草の息吹が混じっていた。

また一人の鼻息が顔にそっと噴き出しているのを感じて、すぐにまた消えてしまった。

目を覚た。

地獄にいるのか、死神が鎌を振り回して迎えてくれている……。


目を大きく開けてこの世界をよく観察した。日本の田舎にいるように、草原に横たわっていて、草の先が風に揺れていた。

遠くにはまばらに茅葺きの小屋がいくつかあり、煙突には炊事の煙が立ち上っている。

「大丈夫ですか……」

地獄の世界がこんなに素晴らしいと驚いていたところ、後ろから突然優しい声が聞こえてきた。

びっくりして、急いで振り返って見た。

少女がそばに立っているのを見て、関心の目が俺の腕を見つめていた。

それは白い衣を着た、俺と同じ年齢の少女だった。

彼女の手には杖があり、先端にはめ込まれたエメラルドが光っている。

彼女が俺を見ていることに気づき、突然死の前の血生臭いシーンを思い出し、急いで腕を上げて検査した。

腕に刻まれていた傷が消えた。

今は擦り傷があるだけで、かすかに血が滲む。

「俺、大丈夫……」

彼女に言った。

しかし話の途中で急に止まった。

——はっきりと意識して、1種の日本語と全く異なる言語を言い出していた!

この言語は生まれながらにして身につけたようなもので、今では少しも苦労していない。

「……無事でよかった」

少女はほっとしたように言った。

「私の職業しょくぎょう治癒師ちゆ しです。先日『共同登録委員会きょうどうとうろくいいんかい』で獲得した職業ですが、でもこれは少しの擦り傷で、私はまだ治せると思います」

「治癒師?共同登録委員会?」

心の中に思わず疑問が浮かんだ。

「これは何ですか」

少女は俺の目を見て、まるで俺が大きな冗談を言っているようだ。

「これらのものがどういう意味か分からないことはないでしょうか」

知っていた。ゲームでしか見たことがないことも知っていた。

俺が迷って頭を振っているのを見て、少女は続けて言った。

「ワダラニと申します。さっきこの近くで、滑って倒れて動かなくなったのを見て、様子を見に来ました」

「迷子にならないでしょう?それとも記憶喪失?」

彼女はまた心配そうに一言付け加えた。

「いいえ、俺は記憶を失ってない」

急いで地上から立ち上がって、強情に彼女に言った。

そこで俺の状況を詳しく彼女に話した。

「日本…?私の記憶では、この世界にはこの国はなかった」

少女は言いながら、何かを考えて首を横に振った。

「そして、君の名前は涛堂…何だっけ…どうせ私たちの国にはこのようなタイプの名前が出たことがない」

「ではこの世界は…なんていう名前…?」

打診的に尋ねたが、心の中では最悪の計画ができていた。

「神聖バンダラ」

彼女は何も考えずに言った、俺を記憶喪失患者と見なす決心をしたようだ。

神聖バンダラ…か…

一生懸命いっしょうけんめいこの言葉を思い出して、突然黒い男のささやき声が頭に浮かんだ。

「…神聖バンダラが創造した極楽の世界の中で永遠の命を得る…」

——そうだ。

俺はいつのまにか異世界に移っていた。

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