第8話 魔銃の種類
孤児は王国騎士団に入隊するので、14歳になると孤児院から魔銃が支給される。学校でも授業で魔銃の取り扱いを学ぶが、学校専用の魔銃なので自分専用の魔銃を持っている者は多くはない。
魔銃の知識と技術は、学校での5年間と孤児院での1年間で、最低限は得る事はできる。しかし、実戦と授業では全くの別物なので、即戦力として活躍するのは難しい。
私が孤児院から支給された魔銃はもちろんルージュ(ショットガン)である。ルージュには3種類あり、私のルージュは【エタンセル】という女の私でも片手で簡単に扱うことが出来る軽量の小型のルージュで大きさは30㎝。ルージュは最前線で絶えず動き回るので、エタンセルは最適だ。しかし、他のルージュに比べ魔弾の威力が弱い。装弾数は4+1であり魔弾が無くなると、再装填するのに30秒必要である。その30秒間は射撃が出来ないので防御に徹することになる。
※魔銃の魔弾は魔力なので、30秒間魔銃を握りしめていると装填される。魔力が尽きると魔力が回復するまでは魔銃は使えない。
※ ルージュの残りの2つを紹介します。
【フラム】は大きさは40㎝。片手で持つことも可能であるが、エタンセルはリコイル(反動)はないが、フラムはリコイルが大きいので射撃後には少しバランスを崩すしてしまうので両手で持つ者も多い。。魔弾の威力は強めであり装弾数は8+1である。再装填には40秒かかる。安定した火力に総弾数も多いので一番人気のルージュである。しかし、値段が高いので誰でも簡単に入手できるわけではない。
【エクスプロシオン】は大きさは50㎝。片手で持つには重いので両手で持つのが基本である。威力は強烈だがリコイルが大きいので、射撃後はかなり体制を崩してしまうので扱いが難しい。装弾数は5+1で再装填には1分かかる。エクスプロシオンは魔力をたくさん必要とするので装填するのに時間が必要。扱いが難しいので初心者はエタンセルまたはフラムを使う事になる。
※魔銃はアタッチメントを付けて改造することが出来るので、自分のオリジナルの魔銃に仕上げる事も可能である。
『冒険者登録はしていないけど、デピュタンの依頼を毎日受けていたわ。私もノルマルの昇格試験を受ける資格はあるはずね』
私は、デピュタンの依頼を受けた気になっているが、実際はデピュタンの依頼現場に出没して、勝手に見学をしているだけである。しかし、解体作業、調理作業、馬車の運転など、多種多様の依頼現場に同行してはメモを取り、孤児院の物置小屋に戻るとイメトレをして、完璧に習得したつもりでいる。
私は冒険者登録をしていないので、ノルマルに昇格することは出来ないのだが、冒険者ギルドの昇格試験の受付へ向かった。
「昇格試験を受けさせてください」
「冒険者証を確認してもよろしいでしょうか?」
「わかりました」
元気で明るい声が冒険者ギルド内に響く。もちろん、この元気で大きな声を発している人物は私ではない。
受付職員が冒険者証をスキャンする。すると、モニターに冒険者の今までの依頼履歴、達成履歴、依頼満足度などが映し出される。
「サミュエルさん、週に2回以上デピュタンの依頼を受けていますね。依頼者からのクレームもなく高評価ばかりです。昇格試験を受ける資格はあります」
「わかりました」
サミュエルは嬉しそうに返事をする。
「次は私もお願いします」
「俺もだ」
「僕も」
『私も・・・』
ギルド内にある昇格受付には男女4人のでデピュタンがいた。最初に受付を済ませたのがサミュエル(茶髪の短めのツーブロック、大きな赤い瞳の15歳のイケメン男子)。次に受付をしたのがレア(赤髪のショートボブ、金色の瞳の透き通るような肌の美しい15歳の女性)。3人目はポール(茶髪のくせ毛のミディアムロング、黒の瞳の15歳の男性)。4人目はオレリアン(金髪のオールバック。茶色の瞳のいかつい顔の15歳の男性)。そして、5人目は私である。きちんと列に並んでいたが、冒険者証を持っていないうえに姿が認識されないので、受付職員からはスルーされる。
「レアさんも、依頼先からは高評価ばかりですね。昇格試験を受ける資格はあります」
「はい!」
レアはにこやかな笑顔で返事をした。
「ポールさんは、依頼先からの評価は普通ばかりですね。ノルマルの試験を受ける資格は6か月間週に2回依頼を受ける事ですので問題はありません」
「よかったぁ~」
ポールは胸をなでおろした。
「オレリアンさんは、たびたび依頼先と揉めているようですね」
「うるせぇ!ちゃんと依頼は達成してるから問題はないだろ」
「確かに、依頼は達成していますが、低評価ばかりなので気を付けてくださいね」
「お前には関係ない事だ!」
オレリアンは拳を握りしめてイライラを隠せず落ち着きがない。
「オレリアン、クロエさんに失礼でしょ!ちゃんと謝りなさい」
※クロエとは受付職員の女性の名前である。
レアが顔を真っ赤にしてオレリアンに注意する。
『そうよ。そんな口の利き方をしたらダメよ』
私もオレリアンの失礼な態度に怒りが込み上げてきた。
「え!俺がか?俺は何も悪くないぞ」
「依頼先でも何度も注意したでしょ。私たち冒険者は礼節をもって行動しないといけないのよ」
「ふっ、冒険者なんて横暴な奴らばっかりだぜ」
レアの言葉にオレリアンは鼻で笑う。
「そんなダメな冒険者を見習ったらダメよ!私たちは礼節をもった良き冒険者になるのよ」
「冒険者は力が全てだ!礼節など魔獣の前では役に立たない」
オレリアンはレアを睨みつける。
「オレリアン、君の言いたいことは理解できるが、俺はレアの意見に賛成だ。俺たちとパーティーを組むつもりなら、レアの意見に従ってほしい」
2人の言い争いに見兼ねたサミュエルが割って入って来た。
「・・・」
オレリアンが黙り込む。
「サミュエル、ごめんね。私がちゃんと言い聞かせるからね」
「こんな所でケンカは良くないよ。オレリアン君、僕は君とパーティーを組めることは光栄な事だと思っているんだ。冒険者には力も必要だし礼節も必要だと思う、君だって本当はわかっているはずだよ」
黙り込んだオレリアンにポールが声をかける。
「謝罪など必要ありません。4人とも昇格試験を受ける資格はありますので今から射撃場へ向かいましょう」
受付職員はノルマルの昇格試験を受ける前に、このようにディピタンでの依頼履歴の総評を告げる事になっているので、オレリアンのように反抗的な態度をとる者も多いので、全く気にしていない。
「はい、わかりました」
4人は受付職員に案内されて、ギルドの内にある射撃場に向かった。もちろん、呼ばれてもいない私だが、最後尾に並んで付いて行く。
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