我楽多の花はユメを詠う。
緋川ミカゲ
エピソード1.木五倍子の夢
木五倍子 美晴・主人公
葵 傑・キゾクの生き残り
藤宮 紗希・傑の執事
竜胆 ほのか・傑のメイド
片栗 舞宙・元魔法使い、現ホスト
もあてゃ(もあちゃん)・傑のオタク
匂わせてほしい恋愛感情
藤宮→傑
舞宙→もあちゃん
台本中に具体的なセリフや展開はないので、
セリフの言い方や声などの演技でほのめかせてほしいです。
出はけ
上手
・空き家
・ラズベリー
・大学の扉
下手
・樹海
・屋敷
・花屋(美晴の家)
(主人公が歴史の授業を受けている。もあちゃん役の人が教授として舞台に立ってボードか何かを使って説明する。)
チャイムの音
教「えー、皆さんも知っての通り、世界は古来より『キゾク』と呼ばれる特権階級の人々が統治してきました。ですが、今から約百八十年前、一般庶民がその統治への怒りを爆発させ、革命を起こしました。この革命は世界中に広まり、ほとんどのキゾクがこの世から姿を消し、家系も滅んだと言われています」
美「あの、教授」
教「はい、木五倍子さん」
美「キゾクはもう生き残っていないんでしたよね?」
教「えぇ。今はもう、みんな土の下だねぇ。っていうのにも、ちゃんと理由があってね」
ボードをひっ繰り返してまた解説を始める
↓教授が説明中、キゾクと庶民と政府役の人が出てきて寸劇を行う。
教「この大革命が起きた後でも、まだ生き残りはちらほらいたそうです。ですが、今から八十年前、生き残っていた外国のキゾクが『我らキゾクの屈辱、今果たさん。我らは鷹だ。弱きを貪り、強きに立ち向かう。我らこそ国家の上に立つものとしてふさわしい』と『王公貴人』を掲げ、庶民を虐殺し、国家への反乱を起こしてしまったんです。身分はキゾクであっても、もう戦前のような権力はなく…それを取り戻そうとしたんですね。でもそれは失敗に終わりました」
また別の資料を見せながら説明をする
教「この一連の事件をきっかけに、世界からキゾクという人間が危険視されるようになりました。そこで政府は、こう命令を下したんです」
一呼吸置いて言う
教「キゾクの生き残りを完全処分せよ、と。つまりは、罪のない、ただ平和に暮らしていただけのキゾクも全員、処刑が決まったんです。そしてそれはなんの滞りもなく進み、キゾク全員が命を落としました」
ジリリリリリ
ここで授業終了のチャイムが鳴る
教「はーい、じゃあ今日はここまで。さよならぁー」
美「教授!」
美晴、荷物をまとめて席を立ち、教授に駆け寄る
教「どうしたの?」
美「キゾクたちのことで…」
教「あぁ、木五倍子さんはここら辺の時代好きだったよね」
美「はい!!キゾクたちの運命が儚くて…」
教「確かにファン結構いるよね〜。聖地巡礼とかしてる人よく見るもん」
美「私もしました!聖地に行くたびに思うんですよねぇ、タイムスリップしてキゾクに会いたいー!!って」
教「まぁそれは歴史好きにはよくある衝動だよね。にしても木五倍子さん、本当にキゾクが好きだね」
美「はい!だってキゾクの生き残りって日本にはたった一人しかいなかったって話じゃないですか!たった一人の生き残り、しかもその儚い運命…最高です…!」
教「そんな儚げな歴史残してくれちゃうと勝手にイメージが美化されちゃうよね〜」
美「どんな人だったんだろう…会ってみたいな…あわよくば助けられたりなんて…ふふふ」
教「 タイムスリップが実現できる世の中に早くなって欲しいね」
美「ほんとにその通りです…」
教「じゃ私そろそろ行くね、また今度」
美「あ、私も行きます!」
教授、美晴、上手にはける
下手から鼻歌を歌いながら花を抱えた花屋(舞宙)登場
舞台後方で花を並べている
美晴登場、花屋から仏花を買う
美「すみません、これください!」
花「仏花ですね。六百円になります」
美晴、お金を払う仕草
花「六百円ちょうどお預かりします!ありがとうございました!」
花屋、仏花を美晴に渡す
美「よし、花も買ったし後は…」
美晴、ふと足を止める
美「キゾクさんもどっかに眠ってるのかなぁ…でも埋葬されてないんだろうな。処刑だし…。あー助けに行きたいなぁ!魔法族に知り合いがいたらタイムスリップとか頼めないかな…私がキゾクの救世主、なんちゃってっ〜〜!!」
花屋、↑の独り言の間美晴のことをチラ見している
二人、目が合う
美「え、あ…ですよねっ!!!!!」
花「え!?あぁそうですねぇ!?!?」
美「あ、あぁすみませんすみません…!」
花「いえいえ、キゾクお好きなんです?」
美「はい!もうあの儚い運命が最高っていうか〜〜…」
一人で喋り始める
キゾクの好きなところを早口で喋りまくる
ここは美晴役の役者のアドリブで
花「あはは、お嬢さん本当にキゾクがお好きなんですね。熱意が伝わってきましたよ」
美「あ、すみませんまた…!」
花「あの、お嬢さん」
美「はい?」
花「一つ、貴女にお願いがあるのですが…」
美「え、な、なんでしょう」
花屋、↓言いながらエプロンを脱ぐ
花「もしよろしければ、私と共に来ていただけませんか?」
美「え?」
花「今から80年前…西暦2023年の世界で、キゾクを助けてみません?」
美「え、それタイムスリップってことですか?そんなの魔法族でもないとできないんじゃ…」
花屋、↓言いながらローブを羽織る
花「魔法族の者だと言ったらどうす…」
上に被せて
美「行きます」
?「え」
美「あ、でも大学が…うちの店も…いやでも!!行きます!!行きたい!!」
?「あ、ありがとうございます。では、私に近づいてくださいますか」
美晴、謎の人物に近づく
?「これに触れてください。今から時を越える術を使います。絶対に手を離さないでくださいね」
美「はい!!」
?「では…レ・モンターレ・トーン!!」
(照明がチカチカする)
それと同時に綺麗な音を鳴らす
間を置いてから
?「さぁ、着きましたよ」
美「え…?そんな変わりがないように見えますけど…」
見えますけど、に被せる感じで
?「私はこれで失礼いたします。…では、また」
言いながら上手にはけて行く
美「え、あ、ちょっと!!」
美晴が追いかけようとすると盛大な音楽が流れる
美晴、振り返る
執事(藤宮)、メイド(竜胆)、派手な男(傑)が下手から登場
傑「さぁさぁ!!このElegantなボクが通るのだよ!!諸君、盛大な拍手を!!」
無音
少し間を置いて
傑「はぁ…全く…ここの民たちは皆シャイでいけないね…紗希クン」
紗希クン、と呼んだ後できれば指を鳴らす
執事(藤宮)、スマホから変な音を流す
傑「ノォォォン!!!!」
藤「あ、すいません間違えました」
歓声のような音を流す
傑「wonderful!!!ボクの登場はこう華やかでなくては!」
メイド(竜胆)『最高です♡』
竜胆は声が出ない。
スケッチブックに書いている↑
執事(藤宮)、盛大なため息
美「え、なに…」
傑「う〜〜〜ン??なんだかボクのことを見ている女性がいるね」
傑、美晴に近づく
傑「そこのキミ!!もしかして、いや絶対に!!ボクのファンだね!?うんうんそうだろう!!」
美「え、は、ちょ」
藤「主様!?」
傑「キミ、一体ボクの何にそんなに見惚れていたんだね?美貌かい?スタイルかい?それともこの溢れ出るオ〜〜ラ!?」
↑竜胆、悪ノリでシャララララーンという音を流す
オーラのところは巻き舌で言えたらいい
藤「初対面の女性にいきなり何をしていらっしゃるんですか!!」
藤宮、傑を後ろから羽交い締めにする
傑「紗希クン!離したまえ!!ボクはこの女性に話が!!」
美「こわ…」
竜胆、美晴に駆け寄る
『急にごめんなさい!でもアヤシイ人じゃないので!!』
美「え?めちゃくちゃ怖いし怪しいんですけど」
傑「ところでそこのキミ!花の匂いがするが、どこの香水をつけているんだい?」
藤「急に匂いの話とかセクハラですよ」
美「こ、香水…?つけてませんよ?」
藤宮、羽交い締めを解く
傑「ンンン?だがしかし確実に花の香が…」
美「あ!それじゃ…本当の花の匂いかもしれないです」
傑「本当の…?ん、おや、鞄の中のそれは…」
美「あぁ、これですか?」
傑「仏花ではないか!とても立派で美しい花たちなのだよ。この店はさぞ花の管理がいいのだろうね」
美「む、うちの花も負けてませんし」
傑「ふむ。と、言うと?」
美「うち、家が花屋なんです」
傑「なんと!!それは実にAmazing!!!」
美「…もしかして花に興味ありますか?」
傑「もちろんさ!!!!花は美しい!愛らしい!!生涯愛でていたいものなのだよっ!!」
美「じゃ、じゃあぜひうちの店に!ってあれ…うちって八十年前もあったっけ…?」
傑「八十年前?急にどうしたんだい」
美「あ、な、なんでもないです!!また今度紹介させてもらいますね〜…アハハハ」
傑「そうなのかい?それは残念だね…まぁいい!それよりもボクは、キミが気に入った!」
美「え?」
傑「キミ、名前は?」
藤「主様、ご自分から名乗るのが礼儀ですよ」
傑「む、そうか、すっかりもう知っているものと思っていたのだよ。では改めて名乗ろう。ボクは葵傑。この国唯一のキゾクさ!!」
美「え…?あ、葵…傑?貴方が?あの?え、えぇぇぇ!?!?」
傑「はっはっは!!そんなに驚くことかい?」
美「え、そ、そうですよ、だってキゾクってすごい憧れなのに…貴方がなんて…」
傑「ん??」
藤「主様、これ完全に失望されてま/
/傑「そしてこっちはボクの執事の藤宮紗希クン、メイドの竜胆ほのかクンだ!!」
藤「…ど、どうも」
竜『よろしくお願いしますね♡』
美「よろしくお願いします!!」
傑「すごくテンションが違うねボク泣いてしまうよ?」
藤「自業自得です主様」
傑「くっ…ゴホン、ではキミの名を教えてもらってもいいかい?」
美「美晴です、木五倍子美晴」
傑「美晴クン!!いい名ではないか!覚えておこう」
美「あ、ありがとうございます…?」
傑「生憎、今日はこれから予定があるのでね。ボクたちはこれで失礼する。またどこかで必ず会おう☆」
会おうを強調する
藤「失礼します、木五倍子様」
竜『失礼します♡』
美「あ、はい…どうもぉ…」
傑、藤宮、竜胆、上手にはける
美「…って、私これからどうすればいいの??なんか怖いし!あの黒いマントの人どこ!?」
あたりをキョロキョロする
美「…なんか、なんも変わってない気がするけど…でもほんとにキゾクさんがいた…あんなんだとは思わなかったけど」
あんなん〜から少し早口で
頭を抱えて
美「あ〜〜ほんとにタイムスリップしちゃったのかぁ〜〜!っていうか家ないじゃんどうしよ…。」
動きを止める
「………一回、家あった場所、行ってみようかな。花屋の前ってなんだったのか気になるし…よし…」
美晴、はける
あくびをしながらホスト(舞宙)が登場
まだジャケットは着ていない
舞「ふぁ〜あ…ねっむ…気合い入れていかないとなっとぉ…」
舞宙が体を伸ばしていると、美晴が走って登場
美「うっわ、え、なんもない…更地か…。っていうかなんかこんな…なんか…お店が並んでたんだ…今じゃ住宅街なのに…」
舞宙は眠そうにしながら後ろで掃除している。
美晴、何度か舞宙をチラ見するがなかなか話しかけられない
美「あ、あ、あの」
舞「ん、はぁーい、どうかしました?」
美「あの、この更地って…何が建つか分かりますか?」
舞「あぁ…すいません、分かんないですね…」
美「あ、そうですよね」
舞「更地がどうかしたんです?」
美「いえ、なんでもないです…」
舞「はぁ…にしても珍しいですね、どこの店もやってない時間にこんな所にいるなんて」
美「え、やってないんですか?」
舞「あ、知らずに来た感じですか?この地域の店はほとんど夜からの営業ですよ」
美「そうなんですね…!ところでここら辺ってなんのお店なんですか?あ!あのお店とかオシャレそう…」
舞「お嬢さんお目が高いですね!そこはうちの店なんですよ。ほら看板がここに」
ホ、看板を指差す(エアー看板)
美晴、看板を読むため少し歩いて
美「あ、ほんとだ…えっと…て、え…!?」
美晴、震える
舞「ふふ、うちは女性とお酒を嗜む店、ラズベリー。つまり…ホストクラブですよ、お嬢さん♪」
美「ほ、ほすと……」
舞「ここら一体はホストやキャバがほとんどですよ。カラオケとかも結構ありますけどね」
美「あ、あの、ごめんなさい私そういうの全然わかんないし来たのだってそういう意味じゃ…!!」
舞「あぁそれなら大丈夫ですよ。分かってますんで」
美「あ、ありがとうございます!!」
舞「この辺の店はもうそろ営業始まりますんで、来店目的じゃないなら早めに帰ったほうがいいですよ。ナンパとか多いから」
美「わかりました…あ、でも私家…あの!!」
舞「はい?」
美「こ、この辺に空き家とかってあったりします??」
ホ「え、空き家?…あ、お嬢さんもしかして」
美「い、家はありますよ!でもちょっと…アハハ…」
舞「あぁ…それなら近くに一軒あったはずだから案内しますよ。着いてきて」
美「ほんとですか!?ありがとうございます!!」
二、三歩歩いて立ち止まる
舞「あの、俺が言うのもなんですけど…そうやって初対面の男、しかもホスト相手にホイホイ着いてくの…どうかと思いますよ?」
美「え、あ、そうですよね…って言うことは貴方もしかして私を…!?」
舞「いやいやそうじゃなくて!」
まだ怯える美晴。
舞「………。がおー!!」
美「ぎゃー!!!!!」
ホ「あっははは!…この辺はヤバい男がいっぱいいますから、気をつけてくださいね」
美「は、はい」
二人ではけようとすると、そこから葵三人衆が登場。
舞宙、傑とぶつかる
舞「うわ、すみませ…って、傑…!?」
傑「ま、舞宙!?」
美「あ、キゾクさん!」
傑「キミは…美晴クン…!?」
藤「木五倍子様」
竜『こんばんは!』
舞「え、何二人知り合いな/
/傑「おい舞宙!!!お前一体彼女に何をした?」
舞「は?」
藤宮と竜胆、美晴を守るように囲む
竜『何をした!』
傑「ホストであるお前がなぜ美晴クンと歩いているのかと聞いているんだ!お前のその格好からして仕事として共にいるわけではないんだろう?」
舞「いや道案内してただけだけど…何君たちこわ…」
傑「道、案内?」
美「そ、そうです!私がうろうろしてたらこの方が助けてくれて!」
傑「うろうろ?夜の店がはびこる地域でかい?」
美「あ…いやそれは知らなくて…」
傑「知らない…?よほどの世間知らずでもない限り有り得ないと思うが…まぁいい、美晴クンの無事は分かった。お前を許す」
舞「いやだからなんで俺??(ため息)もぉ…二人が知り合いなら俺いいかな。さすがに店戻らなきゃだから」
傑「あぁ」
舞「お嬢さん、真っ直ぐ行った右にある青い屋根の家だから」
美「はい!ありがとうございました!!」
舞「うちの店、今度は昼じゃなくて夜に立ち寄ってみて。初回来店はサービス付きですよ」
舞宙、言いながら美晴の頬を撫でてはける
美「あ、はい!いつか機会があれば…!」
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