その腕に抱く人

茅川 百々花

その腕に抱く人

ここから見える景色は、花弁の大半が散り落ちて、残骸のようになってしまった桜並木だけだ


屋上に備えられてるベンチに座り、それを2人で見つめ、残念そうに私より先にため息をつく隣のクラスメイト、私の恋人だ



びっしり生え揃ってある長いまつ毛に透き通るような白い肌

水面下にいるように思わせる冷たい目つき

私はそんな彼女の事が好きで、何より大切だった。


「あーあ、昨日の大雨でやられちゃったかー」


足をじたばたさせつつ、私の方を横目見てくる


「……。そうみたいだね。」


「ねぇねぇ!愛しの恋人さんよ!1つ提案があるんだけど!」


ぐいと顔を近づけてくる彼女、すかさず腰に手を回す私


「わわ!ちょっと〜、がっつき過ぎだよ!」


「いーよ。このまま聞かせて。」


彼女から聞かされた提案


彼女の為にはなるが、私にはかなり耐えれない内容だった


話を聞きながら、この2年間の間の彼女の喜怒哀楽全ての表情が頭に浮かんでくる


その翌日、私たちは、またこの屋上に向かっていた



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る