第10話うねり⑤


「やはりまずかったか」


「えぇ前に旅行した時はこんな注目はされませんでしたからね」


厄介なファンに私が栞の母親と伝えて数十分後

明らかに人の視線が増えているのが分かる。

栞も少し機嫌が悪くなって来てるな。


「店長のせいですからね」


「わ、私の気分転換旅行は無しにして栞の気分転換旅行に切り替えようか?!流石にそこまで顰めっ面の栞はあまり好きではないからな!」


「原因は店長何ですけどね」


「ぐっ」


棘がある。

確かに私がスマホを使わないせいもアリSNSの重要性をいまいち理解出来ていなかったのが問題とはいえ……キツいぃ


喫茶店に入ろうとしてもごそごそと離れた位置で移動する集団。

迷惑だ!

私が原因だがな!!


駄目だ落ち込む


「聞いても良いか?」


「何?」


棘っ


「栞はテレビの露出が恐ろしいほど少ないのに知ってる人いるんだな?」


「あぁ、その事ですか。確かにはメディア露出が皆無に等しいですが4年前は多少出ましたしこれでも一応最上位のSランクに名を連ねていますからコアなファンなら知ってて当然レベルかと」


あかん本当に怒ってる。

外面向きの僕口調でこのテンションはふつうに怒っている!

ど、どうすれば機嫌を直してくれるんだ!

美味しいご飯……幾らでも用意出来るから効果は薄い!男、駄目だ私が許さん殺す。

え〜と、え〜〜っと……

えぇい!何が良いと言うんだっ!!


「どうしたら機嫌を直してくれるんだ栞」


「さぁ?無闇矢鱈と口を開くその口開かなければいいんじゃないかな」


「おぐぁあ!!」


か、過去最大級の一撃っ

今まで17年間栞を育てて来たが今が1番辛い!!

これが世に聞くは、反抗期?!


かくなる上は!!


「…………旅行から帰ったら一緒に風呂入ろうな?」


「……アリ」


勝ったあぁぁぁ!!!!!

神を名乗るあの役立たず共も今この瞬間ばかりは感謝してやるぅ!!


何とか機嫌が良くなった栞と歩いていると街並みが少し変わる。


「んー?ここは少しだけテレビで見た事あるな」


「テレビで少し話題になっな駅ですからね。ここから東京までの移動がかなり楽になりましたから」


「どれほど掛かる?」


「昔はここは車でしか東京までの移動が無理でしたが工事に工事を重ねてやっと駅が出来ました。おかげで時間も2時間から1時間掛からない程度に」


「ほ〜便利だからとそこまでするか」


「その恩恵をあずかってるんですよ」


「違いない」


ここに来るまでも電車に乗って来た事を思い出し頷く。


「お?おい見ろ栞あのアイス美味そうだぞ」


「あまり食べ過ぎるとお腹壊しますよ」


「私を良く知っているだろう?壊さない壊さない」


「全く羨ましい。それで何を食べるんですか?私はチョコと……苺味のを頼む予定ですが」


「そうだなぁ、折角ならあまり食べた事のない味を経験したい。…………そうだなミントと本格抹茶味だな」


「ちぐはぐな組み合わせすぎません?」


少し私の望む注文に微妙な顔をしながらも決済を済ませそれぞれのアイスを受け取った。


「おぉ、これはまた変わった色合いと言うか」


「私は好きなんでオススメですよ」


「ほー!なら楽しみだ!まずは本格抹茶を味わうとしよう!!」


あむっ!

これは!!!……甘さ控えめか


「確かにあむ……この甘さの控えめな味はあむ……とてもあむっあっ頭いたっ〜〜〜〜!ふぅー何とかなった。

 それでだがこの甘さ控えめの味はとても食べやすいな次の一口はとても軽く行ける。おかげで頭も痛くなってしまった」


「大満足してますね。ならば次はミントです!ミントは私の大好物!きっと満足しますよ!」


栞が言うのなら間違いないか

さて、一口!


「ん〜…………」


「あれ?どうしましたか?」


「これどっかで味わった事があるような……?」


「もしかして既にミントは経験済みでしたか?それは意外────」


「歯磨きk「それ以上言ったら今晩のご飯は豆一粒ですよ」


「はい……」


何か踏み抜いては行けない地雷を見た気がする。

8年前アメリカに要請されビルほどもあるモンスターの駆除に向かったが場所が場所故が地雷が何故か沢山仕掛けられていたな!

おかげで当時の一張羅が駄目になった記憶があるよ!!

それより危険だとすると……家出か?


駄目だ絶対阻止だ!!

家出はシャレにならん!

何か分からんはそこだけは死守しなければ行けない気がする!


そこから私は抹茶を褒める事とミント味について触れない事を努めた。



呑気に食べ歩きをしていたが泊まったホテルで翌日栞に叩き起こされスマホを見ろと言われ見た時に思わぬ事を目にした事で気分転換の旅行が本格的に駄目になりそうになるとは思いもしなかった

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