第4話噂③


「栞取り敢えず最新の失踪場所は把握した。次はここから1番近い失踪した生徒が最後に目撃された場所に行くぞ案内しろ。

 私の想像が確かな場合少々気分の良くない事件の可能性がある。早急に法則なりなんなりを見つけないと被害が広がる」


「ちょっと店長、鑑識の魔法とか使えます?」


「鑑識ぃ??」


いやまぁ、使えはするが……魔力より集中しないといけないのが苦手なんだよ

膨大な量の知識と対象物との照らし合わせの作業がぁぁぁぁぁ!!!!


「そんなに嫌な顔します?」


「苦手な作業なんだから嫌な顔の1つもする」


「どうでもいいですけどここに被害者の毛髪等のDNAが検出出来る物が有ればこのまま僕らで独自捜査に完全移行が出来ます」


「それは私達も比較出来る物を所持し更にこの場所に毛髪らがあればだろう?」


「逆に考えればいいんです。ここでランダムな毛髪類を回収、提出して結果が分かるまで待ちます。結果が分かればそれらを持ち運び易いに加工して所持、そして結果が分かる前に僕達は現場を見て回るので法則があるかどうか考える事が出来る」


「法則が分かれば次に襲われそうな場所を予測し」


「待ち構える事が出来る」


なるほどなそれなら納得が出来る。

だが加工するとはいえDNAが検出出来る物を持ち歩くのは少し嫌だな。


「あ、そう言えば噂の新種のモンスターを仕留めたかどうかの報告が上がってないか聞いておけ。

 そして死体を丸々持ち帰った例があれば全身くまなくしておくのも忘れるなと」


「なら今スマホで連絡入れるので毛髪に限定してこの周辺に無いか調べて下さい。もし毛髪が検出された場合この……ピンセットで取ってこの試験管にそれぞれ分けて入れて下さい」


「準備が良いな」


合計20超の細長くかなり割れ難いと思われるビンを背負っていたバッグから取り出した。

渋い顔をしながら私はそれらを受け取ると魔法を使い宙に浮かし自動で着いてくる機能を付与した。


「栞は奥を調べろ」


「はい」


小さな広場出て奥に進んだのを確認すると私は魔法を発動させ人間の毛髪がないか鑑識の魔法で調査する。


……これは猫の毛


これも猫


これは人間の毛かマークを付けておこう。


ん?これは……ん??まぁいいこれにもマークを付けておくか


これと……これと……これもマーク


時間にして3分間鑑識の魔法で調べ人間の毛髪に該当する物にマークを付ける。

そしてそれら全てをピンセットで取り試験管に入れていく。


当然この場に物も試験管の中に入れる。

もしかしたらが鑑識されると騒がれるかも知れないな?



栞が帰って来るとそのまま次の現場に向かった。





私と栞は失踪した生徒が最後に目撃された場所を夜の9時まで時間をかけて回った。

流石に歩き詰めは精神的に疲れ、今は暗い公園で椅子に腰掛けている。


「この結果をどう見る栞?」


「本職である警察の方なら直ぐに気付いたはずですよ?こんなに違和感のある目撃現場は」


「必ず細い道とその先にほんの少しの広場……か?殆どの場所が同じ条件だからこれはもう確定して良いだろう。条件を絞りに絞って確度を上げた魔法による誘拐。

 狙う対象、場所を固定更に現場から……詳しくは分からないが仮に半径50mとしよう、その中に人が条件に該当する人物がいる事かつその人物以外の人がいない場合に限り……かな?」


「そこまで条件絞るとかどけだけバレたくないんですか……」


「そりゃあ堂々の犯罪だからだ」


「ごもっとも……です」


「だが栞よお前まだ違和感に気付かないか?」


「違和感?」


「なら問題だ」


私ばっかり考えてはこの子の成長の機会が奪われるだけだ。

さぁ栞考えろ無辜の民を救いたいのなら


「何故目撃現場があの現場だけだ?そしてぇ!何故必ずがいる?」


「っ?!」


「犯罪をするのならばバレたくない、目撃されたくない、必ず成功したいと願ってしまうのが犯罪を犯す者の心情。

 なのに何故!全てにいる?!」


衝撃を受けたようで栞の顔はいつになく冷静さを欠いた表情になった。


「確かにここまで条件を絞るなら目撃者もいないように出来そうなもの……更に店長が言った条件、仮だとしても一定範囲にたった1人しかいない事の条件、なのに目撃者がいる。

 ……しかも目撃現場は通りから入ったこの裏路地で距離はどれだけ長く見積もっても精々が20m。もっと言えば広場の場所での目撃」


「明らかに?」


「誘拐役として1人以上現場にいた可能性が高い?」


「良い回答だ。今日はもう遅い帰るぞ」


立ち上がり歩き出す。

なのに栞は立ち上がらず座ったままぶつぶつ呟いていた。


「おい栞早く帰るぞ───」


「もしかしてその目撃者は彼女達が言っていたヤの付く人達の可能性が?」


その瞬間思わず笑みが溢れた。

推測の範疇に過ぎない考察とはいえ私の考える推理に追いついた。

楽しい、後身が目に見えて育つ様は心躍る!


「そう、学生の誘拐にヤクザ者が関わっていると見て良い」


ティロン!ティロン!


栞のスマホからか?


「…………上司から連絡です。今来てくれと」


「要件は?」


「新種のモンスターの件です」


「面白くなりそうなら歓迎だ!すぐ向かうと伝えろ!」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る