悪魔×事件×ティータイム
鐘成
第1話 プロローグ
粛々と
粛々と
粛々と
私の魔法により動けなくなった化け物と称される存在の首を斬り落として行く。
「……流石に疲れるわね。ただ殺すだけなら幾らか楽だなのだけれど、こうも動き回る相手には拘束手段が最適なのも事実」
ぼやきながらまだ私の魔法によって拘束されている存在を一目見ると顔が歪む。
まだ鈍重だが私でさえ確殺出来る火力特化の存在なら用意だったのだ。攻撃を避け私の一撃を叩き込めば良いだけなのだから。
「拘束している間もお前達の事を魔法でしっかり認識しないといけない特性上些か脳に負担が大きい。故に即時死んで貰うとしよう」
私を中心に魔力が数千に及ぶ化け物共まで広がり認識、拘束の魔法が掛かると同時に魔法陣が空に現れた。
「ぐっ!!頭が痛いからこれで終わると良いがな!!」
頭痛に耐え、槍のように持ち手が長い剣を地面に刺す
「
空に出来た魔法陣から魔力が溢れると化け物共に向かい降下して行く。
属性魔法を使えない私にはこのような少々脳筋染みた戦法しか取れないのが不満ではある。
だが障害を取り除く手段としては不満は無い。
「
溢れた魔力が化け物共を押し潰し空間を揺らす。
数瞬遅れて爆風が駆け巡った。
爆風に伴い私の銀色の髪も激しく揺れ動く。
周りの建物のガラスが次々と割れ破片となって行くのを見て即座に次の魔法を発動させる。
「
割れて行くガラス、既に破片となったガラスが私の目の前に蓄積されて行く。
数分の
それでも破片の回収は終わらない。
「このまま放置していれば勝手に掃除は終わるか」
集まって行くガラス破片をただひたすらぼんやりと眺める
…………遠くから複数の足跡が聞こえる、どうやらこの国のお偉いさん含めた
「我らもこの原因を探っているとはいえ流石に疲れたぞ?召喚者共」
「……っ!申し訳ありません、戦力の不足は国の責任であると理解しております!しかしまず私共の嘘偽りの無い礼を受け取って頂きたい!」
超人達に囲まれたその目を見る。
政治を司る者にしては純粋過ぎると思わなくもない。
だが心音等から考えてもその言葉は本物。
ここで礼を受け取らないのは無粋か……
「はぁ〜〜まぁ良い、礼を受け取ろう
「重ね重ね感謝いたします。……そして」
「何だ」
「私達と交わした契約はこれで終わりです。このまま元の世界に帰ってしまわれるのでしょうか?」
「それかそれについてなのだがこの世界と私のいた世界をこういう風に繋げた馬鹿の存在を探さなければいけないのだ。だからしばらくの間この世界に留まろうと思う」
「な、ならば!」
緊張した様子で言葉を紡ぐ
「私……いえ!我が国と契約して下さい!その代わり我々は衣食住全ての提供と共に貴女様の手の届かない場所の情報収集の手伝いをします」
「ふむ」
確かに情報収集は1人では限界がある。
更に衣食住が確約されているとなれば魔力の回復や精神的な面での安全な回復も見込めるとすれば契約する他ない。
だがしかし今まで魔法に触れてこなかったこの世界の人間、しかし魔法があると分かれば事が落ち着くと同時に熱気に包まれてもおかしくはない。
そうなった時私の悪魔族という存在が公になれば行動が制限されてしまう事は必至
だが足を引っ張られる可能性もあるのも一理
ならば
「ここは2つ、条件を飲んで貰うとしよう」
ここは2つ、条件を飲んで貰うとしよう!
総理大臣の目が真剣なものになったな
☆
カランカラン
夏に相応しい涼しげな音が鳴る
「おや?珍しいねこんな人気の無い喫茶店に来る客なんて」
「いや〜言葉に困る挨拶辞めてくださいよ店長〜!僕ここの従業員じゃないですか〜!」
「あのなぁ私としては
「いいじゃあ無いですかぁ!これが無いと僕は没個性なんですよ!」
「そのキャラクター性を持ち合わせて没個性と言うのならば世の中の大半は没個性どころか無個性だろうよ」
「でしょぉ〜〜!」
「勝ち誇ったような顔になるな鬱陶しい!!」
額にデコピンを喰らわせると厨房に入りケーキとコーヒーを2人分用意する。
「いって〜!暴力反対!乱暴な店長だから人1人来ないんだ〜!!」
「私としてはこの店にうるさい子供がいる評判なのが客の来ない原因だと推察しているのだがね」
「失礼します」
「旅館か!あと、お前がお淑やかになるな気持ち悪い」
「今度は暴言?!もっと人が来なくなるぞー!」
目の前の存在が元気過ぎて私の力が抜けて行くのを感じる
「どうせ客の来ない店だと私は当に割り切っている。そして食べ物は腐らせるよりわr、私達で食べた方が良い……食べなさい」
「店の人が営業中に堂々とサボるの良くないと思う」
「お前もその恩恵に預かれているのだから文句は無いはずだろう?ほれ、そのケーキをせっせと口に運んでいる右手は何だ?」
「あ"!これがベアートラップっ!」
「自分を熊と称して悲しくないのか……」
「それより僕を名前で呼んで下さい!会話に僕の名前が流れないと違和感です!」
「分かったよ栞」
カランカラン
栞に呆れていると店の扉が開く
即座に食べていたケーキだけは客に見えない位置に隠す。
「いらっしゃい」
「へぇ〜こんな所に喫茶店があったんだ」
「凄いオシャレ……」
「だけど装飾は華美じゃないね」
キャッキャウフフとした女子の集団が店に入って来る。
好きな席に座れと案内すると即座に栞が人数分の水を出す。
うるさいくせにこういう仕事は丁寧かつ迅速だから私も本気の文句が言えないのが不満だな!
「ご注文は決まりましたら声を掛けて下さい」
「あっオススメあります?」
「えっ!あぁオススメはシンプルにコーヒーと苺ケーキです。お客さんが来ない時はそれが貰えるので
「ふふふ面白い店員さんね」
「この感じは決定かしらね。私達全員に店員の言うオススメのコーヒーとケーキ下さい」
「かしこまりました!」
「店長〜!ケーキとコーヒー3人分注文入った〜!」
馬鹿みたいな元気の良さ愚痴を溢したいが客のいる手前心の中に仕舞う。
注文の入ったケーキ、コーヒーを用意すると栞と手分けして運ぶと楽しそうに客が笑っていた。
「でね〜最近その地域の子達が何人か連れ去られちゃったんだって!」
「怖いわね……」
「それ私も聞いた事あるけどどうやらその……こっち系の人達も関わってるみたいだよ?」
「「えぇ〜嘘ぉ」」
1人が小指を斬り落とす仕草をしていた。
あれは確かこの国特有の……ヤクザという組織を表しているのだったか?
「はいどうぞ」
「おまち〜!」
「栞戻ってなさい」
「……はーい」
「お客さん面白い話をしているね」
椅子を一個近くの席から持って来ると彼女達の席の横に置き座る。
その際私の
「私もこう見えて都市伝説や十数年前に出来た
「え!お姉さんもそういう話好きなんだ!全然歓迎です!話しましょう!」
「あぁ楽しみだよ」
久しぶりのきな臭い話が楽しみで私は……笑っていた
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