第33話 遅咲きオメガ王子は大国の王太子妃になる2

「ほら、ちゃんと上着を着て。それからブローチは置いていくこと」

「……」

「ぶすっとしたままじゃ、せっかくの可愛い顔が台無しだぞ?」


 そう言うと、シエラが尖らせた口のまま少しだけ頬を赤くした。相変わらず僕に「可愛い」と言われるのが好きなシエラだが、可愛いはそろそろ卒業してもいいかもしれない。

 父親であるノアール殿下の造形美をしっかり受け継いだシエラは、五歳にしては驚くほど整った顔立ちをしている。まだまだ幼い体つきではあるものの、おそらく骨格も殿下そっくりに育っていくことだろう。僕のような貧弱な体格にならないようでよかったと心底ホッとしているところだ。


「ラン殿下は、また父上のことを考えています」

「どうしてそう思うんだ?」

「だって、顔が可愛くなるから」


 指摘されて頬が少しだけ熱くなった。


「僕よりもシエラのほうが可愛いからね。さぁ、上着を着たら父上のところに挨拶に行って、それから新しい部屋に引っ越しだ」

「……まだ、この部屋にいたいです」

「どうして?」

「だって……今日から一人の部屋なんて、嫌です」


 そう言って、また口を尖らせてしまった。

 この春、五歳の誕生日を迎えたシエラはαだと正式に確認された。そのため、今日から僕と暮らしていた部屋を出て一人部屋に移る。ビジュオール王国の王族としては普通のことらしいが、たしかに少し早い独り立ちだと思った。


(僕なんて、十二歳まで母上と同じ部屋で過ごしていたからなぁ)


 忙しい母上に代わって妹の面倒を見ていたからだが、五歳のシエラも僕をよく手伝ってくれてとても助かっている。

 それでもαとわかったら、Ωである僕と同じ部屋で過ごすことはできないらしい。ノアール殿下も、四歳のときにαだと確定してすぐに王妃の部屋を出たそうだ。それに倣ってシエラも僕の部屋を出て一人部屋に移ることになった。


「新しい部屋と言っても同じ後宮の中だし、いつでも会えるよ?」

「でも、僕の部屋は奥にあるからちょっと遠いです」

「まぁ、ここは後宮の出入り口にある部屋だからねぇ」


 出てすぐに王宮へ続く廊下と繋がっているこの部屋は、元は後宮の応接間だったらしい。後宮にいる姫君たちが家族と会うために作られた部屋だったそうだが、使われていなかったため僕用に整え直したのだと聞いた。

 ちなみに隣にある寝室も元は応接間で、間の壁に扉をつけて続き部屋にしたのだそうだ。そこに新しく浴室を作り、二部屋とも壁紙の張り替えや家財道具一式の運び込みなどを僕が到着するまでの短期間で終わらせたというのだから、さすが大金持ちの大国だと感心してしまう。


(まぁ、男の僕が本当にΩかどうか疑っていたからここに部屋を作ったんだろうけど)


 いまビジュオール王国には僕とペイルル殿、それに秘密ながらリュネイル様という三人の男のΩがいるが、これはほとんど奇跡のような状況だ。そのくらい珍しい男のΩだから、実際にやって来るまで僕が本当にΩなのか疑っていたのだろう。

 もし偽物だったら後宮の奥に入れるわけにはいかない。しかし王太子妃候補として呼ぶわけだから後宮に入れないわけにもいかない。そこで姫君たちの住まう場所からもっとも遠いこの部屋をあてがうことにしたのだ。


(ここなら姫君たちとの接触も回避できるだろうしな)


 顔を合わせないなら間違いが起きることもないだろうと考えたに違いない。予想に反して姫君たちのほうから僕に近づいてくることになったが、万が一を考えるならたしかにこの部屋は都合がよかった。


(それにしても、よく僕を突っ返さなかったな)


 後宮に来たとき、僕からはΩの香りが一切しなかったはずだ。本来はそれだけで「偽物だ」と言って追い返しても不思議ではない。それなのに僕を返さなかったのは、それだけこの国が切実にノアール殿下の子を求めていたからだろう。


(おかげで殿下の子を二人生んだ僕は、いまや王宮で人気者になってしまった)


 男のΩに否定的だった貴族や王族は右に倣えと言わんばかりに態度を変えた。厳しく当たられるよりはいいと思うが、あまりの変わりようにため息をつきたくなるときもある。


(ま、子どもたちが平和に暮らせるなら何でもいいか)


 僕のことよりもいまは子どもたちの幸せが一番だ。


「ラン殿下も、部屋を奥に移せばいいと思うんです」


 シエラの声に視線を落とすと、空色の目がじっと僕を見上げている。いつもと変わらないように見えるが、どこか寂しそうな雰囲気に感じられる。思わず「殿下に相談してみようかな」と思いかけて、慌てて考えを打ち消した。

 部屋替えは後宮で働く侍女たちにとって大仕事だ。だから簡単に部屋を移動したいなどと口にしてはいけない。これは大勢の姫君たちが後宮を去るときの話を聞いて肝に銘じたことだ。

 それに王宮に通うことが多い僕にとって王宮に近いこの部屋は何かと都合がいい。殿下と気持ちが通じあった場所という意味でも思い出深い部屋だ。「それに殿下の部屋も王宮の中だから近いほうがいいだろうし」と考え、ほんの少し顔が熱くなる。

 こほんと咳払いをした僕は、シエラと視線を合わせるようにしゃがんでから口を開いた。


「シエラ、僕はたくさんの絵を描くだろう? 僕が使う溶き油は臭くないけど、それでも匂いがするよね?」


 僕の言葉にシエラがこくりと頷く。


「ここは後宮の出入り口だから窓を開け放てば匂いは気にならなくなるけど、後宮の奥で同じことをしたら周りの部屋に匂いが広がってしまう。四六時中こんな匂いがしていたら嫌に感じる人もいるんじゃないかな? たとえば僕はシエラを妊娠していたとき、溶き油の匂いが駄目だった。瓶の蓋すら開けられなかった。そういう人たちが侍女や働いている人たちの中にいるかもしれないと考えたら、僕の部屋はここが一番いいと思うんだ」


「シエラはどう思う?」と尋ねると、尖らせた唇がゆっくりと元の形に戻っていった。


「わかりました」

「わかってくれてありがとう」


 溶き油の件が部屋を変えない大きな理由ではないが、まったく気にしていないわけでもない。実際に侍女のなかには絵の匂いを気にする者もいて、常に空気の入れ換えができる窓際を制作場所にしたくらいだ。


「それなら、代わりに僕が毎日遊びに来ます。それに、ブローチの作り方ももっと教えてほしいから」

「僕は専門外だけどね」

「ラン殿下に教えてもらうのが一番わかりやすいです」

「あはは、ありがとう」


 お礼を言いながら頭を撫でると、シエラが持っていた自作のブローチをそっと差し出した。それは子どもが作ったにしては本格的なもので、造形物を手がけない僕はただただ感心するしかない。


(っていうか、すっかり「ラン殿下」で定着してしまったな)


 シエラはなぜか最初から僕のことを「母上」とは呼ばなかった。男である僕に気を遣っているのかもしれないが、「りゃん」から始まった呼び方はいつの間にか「ラン殿下」で落ち着いている。

 最初は「ランシュ」と呼べなくて「ラン」なのかと思っていたが、殿下まで言えるようになったいまでも「ラン」のままだ。疑問に思って一度シエラに尋ねたことがあるが、「父上と一緒は嫌です」と頬を膨らませただけでよくわからなかった。最初はシエラが「ラン殿下」と呼ぶたびに厳しい表情を浮かべていたノアール殿下も、いまでは慣れたのか表情を変えることはない。


(というより、あの顔は諦めたっていうほうが近いか)


 そういえば、シエラがαとわかってから二人が無言で見つめ合う場面を何度か目にした。シエラが殿下を困らせているだとか、逆に殿下がシエラを叱っているといった感じではなかったが、妙に空気が張り詰めているように見えたのはなぜだろう。結局それもわからないままだ。


(もっとαに関する本を読まないとわからないことばかりだな)


 それにブローチの作り方についても学ばなくてはいけない。シエラが作ったブローチを見ながら「いつまで教えられるかなぁ」と考えているが、おそらく一年経たないうちに僕に教えられることはなくなるだろう。

 最初は絵を描いていたシエラだったが、一年くらい前から造形に興味を抱くようになった。画材工房に何度も連れて行った影響かもしれないが、いま一番力を入れているのがブローチ作りらしい。ブローチを選ぶところは、常にカメオを身につけているノアール殿下に似たんだろうなと口元がほころぶ。


「にーに」


 可愛らしい声に振り返ると、シエラの弟シュオーネがとてとてと近づいてくるところだった。そのままシエラの手をぎゅうっと握り、覗き込むように顔を見ている。途端にシエラが満面の笑みを浮かべ、それを見たシュオーネもニコニコと笑顔全開だ。


「ラン殿下が執務のときは、僕がシュオーネと一緒にいます」

「うん、ありがとう。助かるよ」


 照れくさそうに笑うシエラに、シュオーネが「にーに」と言って腰に抱きついた。すると、シエラがまだ小さい手でシュオーネの銀色の髪の部分を優しく撫で始める。

 シュオーネは黒髪だが、一房だけ僕に似た銀色の髪の毛が生えている。横髪だから編み込めば目立たなくなるだろうが、本人は銀色の部分を気に入っているのかよく指でいじっていた。シエラもお気に入りらしく、銀髪の部分をよく撫でている。


(それにしても、シュオーネの髪は相変わらずふわふわだな)


 生まれたときにふわふわだったシエラの髪は、成長するにつれて殿下のようにさらさらになった。ところがシュオーネはどんどんふわふわになってきていて、どうも僕の髪に似てしまったらしい。

 逆に、生まれたときは僕のように淡い色合いだった目はシエラそっくりの碧眼になった。造形美が過ぎるところも似ている。

 しかしあっという間に成長したシエラとは違い、少し前に四歳になったシュオーネは話す言葉の数も少ないままだ。赤ん坊のときからおとなしくのんびりだったから、成長もゆっくりなのかもしれない。

 代わりに絵を描く才能はシエラ以上だと思っている。描くのはもっぱら人物画で、とくにドレスや装飾品がお気に入りらしい。顔は適当なのに首から下をやけにしっかり描くということは、そういうことなのだろう。もしかして母上のように服や装飾品を作ることに興味を持つかもしれないなぁと思いながら見守っているところだ。


(そのうちシュオーネがデザイン画を描いてシエラが作って、なんてことになったら楽しそうだな)


 いや、それではビジュオール王国の未来を担う王族としてはあまりよくない。そういうことばかりが抜きん出たことで、アールエッティ王国は財政破綻寸前になったのだ。「あくまでも芸術は二番目だ」と自分に言い聞かせながらシエラと視線を合わせる。


「シュオーネのことばかりじゃなくて、王太子になるための勉強も疎かにしないようにな」

「はい」


 真面目な顔でこくんと頷く顔はやはり殿下に似ていた。これは間違いなく芸術の神に愛される美しさになるだろう。それに努力家の片鱗も見られるし、このまま成長すればノアール殿下のようなよい王太子になるに違いない。そんなシエラやシュオーネのために僕ができることは何だろうかと、日々思案するばかりだ。


「さぁ、父上に挨拶に行こう。そして今日からシエラは新しい生活の始まりだ」


 こうしてシエラとは五年以上、四年ほどはシュオーネが加わった三人で過ごしていた部屋からシエラが旅立った。旅立つなんて大袈裟な表現だが、僕の心情的にはそんな状態だった。




 シエラが部屋を出て九カ月ほどが経った。先月にはノアール殿下の誕生日を祝う盛大なパーティーが開かれ、初めてシュオーネも参加することになった。人の多さや賑やかさに驚くかと少し心配していたが、肝が据わっているのか終始ニコニコと笑顔だった。おかげでパーティー会場では一番人気になったくらいだ。

 そして来月には僕の三十一歳の誕生日がやって来る。

 ビジュオール王国に来たのは二十四歳の誕生日を過ぎた春で、翌年の誕生日はシエラを妊娠中だったこともあり誕生日どころではなかった。翌年もシュオーネがお腹にいたため静かな誕生日を過ごした。本格的に誕生日を楽しめるようになったのは二年前からで、昨年も家族四人で小さなパーティーを開いたところだ。

 ちなみに公式のパーティーは「子育て中だから」という理由で今年も行わないと殿下が話していた。


「そういえば、今年はシエラが何か用意してくれると言っていたな」


 詳細は当日のお楽しみだと言われたが、どうやらシュオーネもシエラを手伝っているらしい。先日こっそりシエラの部屋を見に行ったとき、二人が顔をつきあわせて話している後ろ姿を目撃した。シュオーネが何かをシエラに尋ねているようだったが、シエラが優しく教える様子に思わず駆け寄って抱きしめたくなったほどだ。


「シエラはますますお兄ちゃんらしくなってきたなぁ」


 二人の様子を思い出しながら自分の寝室をぐるりと見回す。この部屋にシエラのものは何も残されていない。僕のクローゼットの隣にはシエラ専用のクローゼットがあったが、新しい部屋に持っていったためぽかりと空いた場所があるだけだ。


「やっぱり少し寂しいな」


 時間が経てば経つほど寂しくなってくるのは僕が親だからだろうか。それに今夜はシュオーネもシエラの部屋に泊まりに行っているからか、やけに静かに感じてしまう。


「これもそのうちなくなるのか」


 殿下のクローゼットの隣にあるのはシュオーネ専用のクローゼットだ。これもいつか新しい部屋に移動させることになるのだろう。そう思うとますます寂しくなるが、それだけ子が成長しているのだと思えばうれしくもある。

 そんな考えにしみしみと耽っていた僕の鼻に、バニラの香りがふわりと入ってきた。


「そろそろ発情が来そうだな」


 ほんのわずかだが香りが強くなってきた。それでも発情まで数日はかかるだろう。そういうことも段々とわかるようになってきた。ただ、男のΩだからか僕が遅咲きだからか発情の間隔は安定しないままだ。


「念のため着けておくか」


 入浴を済ませた僕が着ている夜着は、普段の服より首周りが大きく開いている。これはΩの夜着としては一般的な作りらしく、香りが強く出る首をしっかり見せるのが目的なのだそうだ。

 噛み痕が薄くなったうなじを撫でながらクローゼットを開け、首飾りが入っている箱を取り出す。中には鮮やかな真紅色のものが五本並んでいるが、この色ばかりを選んでしまうのはノアール殿下が「ランシュの肌に映えそうだ」と言ったからだ。


「今回はこれにするか」


 手に取ったのは改良版の留め具を使った首飾りだ。見た目はΩ用と似ているが、のど仏側にはΩ用にはない小さな花の透かし模様が入っている。うなじ側にはかっちりした銀の留め具が光っているが、この留め具が今回最大の改良点だった。


「ここをこうして……うん、やはりちょっとしたコツが必要だな」


 元々は留め具の両側を持って上下にずらすと開くのだが、これは中央の青い石の部分を半回転させなくては動かない仕組みになっている。こうした簡単に外れない作りの留め具はαに勝手に外される可能性が低いと言うことで、近隣諸国のΩの姫君たちにも好評だと聞いた。おかげでビジュオール王国製の首飾りの取引は国外でも好調で、Ω用以外の首飾りも注目されていると聞いている。

 その留め具をさらに改良したのがこの首飾りで、ノアール殿下にもまだ見せていないものだ。


「そろそろ首飾りは必要ないかもしれないが……。いや、つぎの子はもう少し後のほうがいいからまだ必要だな」


 うなじを噛まれると子ができるというのが本当なのか、まだ確証はない。ヴィオレッティ殿下のところはそれで懐妊したのだと本人は話しているが、そもそも殿下の妃は二人とも女性だ。男の僕とは違い、うなじを噛まれなくてもいずれ子ができた可能性がある。それでも可能性が否定できない以上、首飾りは発情時の必須になっていた。


「そろそろ三人目をと言われてはいるが、それでは王太子妃の仕事ができないままになってしまうからなぁ」


 僕が懐妊にためらっているのは、そのことがずっと気になっているからだ。

 一年違いで生まれた二人の子育てで手一杯だったため、僕が王太子妃の仕事を満足にできた日はこの五年間でほとんどない。僕がいないとミルクすら飲まなかったシュオーネのために部屋を長時間離れることができず、会食やノアール殿下の謁見に立ち会うこともないままだ。

 しかし、子育てにもようやく目途がついた。一人部屋になったシエラは、この部屋を出るときに言っていたほど遊びには来ていない。逆に心配になった僕がこっそり覗きに行くくらいだ。

 そんなシエラに触発されたのか、シュオーネの成長も一気に加速してきた。話す言葉もどんどん増え、僕がそばにいないときは帝王学を学んでいるシエラの隣でおとなしく本を読んでいると聞いている。

 つまり、僕はようやく本来の王太子妃としての職務にまい進できるようになったということだ。


「まずは王太子妃としての執務を増やしながら学んで、それから画材工房の拡大計画も進めないとな」


 ビジュオール王国周辺の国々から画材を売ってほしいという話がちらほら届いている。それにあわせて工房の改築を進めているが、素材を輸入するアールエッティ王国との取引も広げる必要が出てくるだろう。

 残念ながら民たちに絵の魅力を十分伝えることはできていないままだが、子どもたちの間では色鉛筆がちょっとした人気になっていると聞いた。色鉛筆の値段だけでももう少し下げられないか、工房と話し合いを進めているところだ。


「そうだ、展示会の話も詰めておかないと」


 まだ細かいところは決まっていないが、アールエッティ王国初の国外展示会をビジュオール王国で行うという話も進んでいる。これも多くの王族や貴族がアールエッティ王国の絵に興味を持ち、ほかの芸術品にも興味を抱いてくれているおかげだ。


「そうなると、一番に恩を感じるべきはヴィオレッティ殿下か」


 帽子から始まった殿下の二人の妃の注文は、その後ドレスや首飾りなどの装飾品から日傘、靴に至るまで広がっている。ビジュオール王国では画一的な服装が好まれるようだが、東側ではあまり見ないアールエッティ王国のデザインは新鮮かつ衝撃的だったのだろう。二人の妃の出で立ちは他の王族や貴族たちの興味を存分に引いたようで、いまでは多くの人たちがアールエッティ王国の品を取り寄せるようになった。

 そういう下地があったからか、展示会の話にはノアール殿下だけでなく多くの王族や貴族が賛成してくれたと聞いている。おかげで国王からもあっさりと許可をいただくことができた。


「ビジュオール王国に祖国の芸術がどんなふうに映るのか、想像するだけで楽しみだ」


 絵画や服、装飾品に加えて、この間の芸術祭で話題を集めたというスイーツの展示会も行うつもりだ。楽団も呼び寄せてガーデンパーティーふうにしたいとも思っている。これから忙しくなるなと思いながら寝室を出ると、ちょうどノアール殿下が部屋に入ってくるところだった。

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