ものくさ太郎の育児日記
ねむねむ
第1話 ものくさ太郎
いついかなる時代にも、ものぐさと言われる奴はいるものだ。
もちろん、この現代にも。
彼、ものくさ太郎もまたその一人である。
風呂に入るのも面倒くさい、働くのも、掃除するのも、しまいには飯を食うのも面倒くさいと言い出す。
よって、体は痩せて、顔は少し青白く、髪の毛はフケだらけ、不潔極まりない。
だが此奴、頭は悪くなかった。
働くのが面倒、だが賭け事は儲からん。
よって彼が行ったのは―――
株、である。
そう、これはものくさ太郎がこの現代に生まれたからできる所業であって、少し昔じゃ彼はニートのまま、親の脛を齧り続けるところだった。
世間には株の講座なるものがありふれているが、それを受講するのは面倒くさい。
なんら知識もなしに始めた株は、最初こそ損ばかりだった。が、しかし。
……再度言おう。
彼は、頭は悪くないのである。
むしろ、優秀と呼ばれる部類に入ると言える。
天才とまではいかないが、秀でている。
だから、段々と株で成功を掴むコツを抑えていった。
論理的に思考するのは面倒くさい。彼は感覚を掴むことを第一としているのである。
そして、これから成長する「ベンチャー企業」の見分けを可能とし、株で大きな成功を収め続けている。
では、なぜ彼はこんなにも不潔なのか。
人を雇ったりして、身の回りの世話をしてもらわないのか。
それは、雇う手続きが面倒だからである。
全くどこまでも面倒くさがり。ものぐさの鏡である。
だが、その風貌やだらしなさのおかげで、周りにお金持ちだとバレず、たかられることもなく、それこそ『面倒くさい』やりとりから逃れられている。
臭うのは近所迷惑だが、まぁ社会に溶け込めていなくもない。
だが、それでもバレるものはバレる。
金持ちの匂いを見分ける輩はいる。
――――しかもそれが常人でなければ、なおさらである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます