第8話 同級生との出会い

鍛冶屋を出て、王都に転移した。

その後王都の目の前にある草原でスライム狩りを始めた。

魔物を狩ることで身体能力が上がる。

その分強くなるということだ。

俺は強くなって依頼をこなし、ランクを上げてお金を稼いで核の研究を再開したいと思っている。

でも魔物を倒せば核は実質無料だとメフィストに言われたことがあるので、そんなに回りくどいことをしないで強さを魔物の討伐に生かすことにしようと思う。

そんなことを思いながらスライムを討伐していると急に空から大きな鳥が襲いかかってくる。


『あれはワイルドホークか、山岳地帯に生息しているはずだが…』


「とりあえず倒すか。【火球ファイアーボール】」


しかしその大きな翼で起こした風で火球をかき消されてしまう。


「こりゃ弱ったな。どうしたもんか」


『魔術を使う時にイメージに鋭さを加えろ。それがコツだ。今に新しい魔術の使い方がわかる』


そう言われ、神経を研ぎ澄ませてイメージする。

鋭く、大きな翼をも貫けるもの。

そのイメージは、勝手に口から出ていた。


「【炎槍フレイムランス】!」


大きな炎の槍はそのままワイルドホークの翼を貫く。


『コツは掴めたようだな。それが火炎魔術の中級に位置するフレイム系の魔術だ』


と、メフィストに声をかけられる。

火炎魔術に限らず、魔術はランクによって系統が変わるという。

火炎魔術の場合、初級はファイア系、中級はフレイム系、上級は豪炎ブレイズ系、最上位の超級は獄炎インフェルノ系となっているらしい。


『まあその調子ならすぐ豪炎ブレイズだって使えるだろうな』


その後、ワイルドホークを解体して核を取り出す。

そこに刻まれていたのは、鷹の目(固有)というスキルだった。


「鷹の目?なんかそのまんまだな」


『取り込んで使ってみるといい。見える世界がかなり変わるぞ』


核を取り込みスキルを発動すると…

特に何も変わらなかった。


「どうなってんだ?これ」


『しっかりと目を凝らせ。ほら、あの森の方を見ろ』


「え?」


そう言って近くの大きな森の方を見ようとすると、


「うわぁっ!!!」


急に森の前で戦っている冒険者にズームインした。


「なんだこれ!!」


『それがそのスキルの能力だ。倍率が自在の望遠鏡みたいなものだな』


確かに目に集中すると自由に倍率を変えることができた。

もっと簡単に扱えるようになるにはしばらくかかりそうだな。

ちなみにその奥になんだかゴブリンにいじめられてる少女がいるのだが…

助けに行ってみるか。

そう思って身体強化を使ってダッシュで森に向かった。


◆◆◆


「きゃー!やめてくださーい!痛いですー!」


「うん、全然痛くなさそうなんだが」


なぜか少女はゴブリンにぺちぺちされている。

ゴブリンはもっと凶暴で、あんな少女なんかバラバラにしてしまうような種族かと思っていたが。


『よし、【核読み】と鷹の目の複合の新たな能力を教えてやろう。あの少女の核を読んでみろ』


「え、読むって言ったってありゃ人間…」


『どうだ?』


「読める…。なんで読めるんだよ!」


『それが新しい能力。人間の核、つまりは心に刻まれたスキルや魔法を見ることができるんだ』


あの状況を生み出している要因が見つかった。

スキル和平領域ピースフルゾーン(固有)のおかげだった。

その能力は自分への悪意を向けた攻撃の威力の99%を削り、相手の凶暴性を抑えることができるというものだった。


「なんだあれ…ほぼ無敵じゃねえか…」


『面白いスキルだな、取り込むか』


「やめろやめろ!人は流石にやめてくれ!」


そう言ってからゴブリンたちを追い払う。

流石に目の前で血飛沫が舞ったら可哀想である。


「助けていただきありがとうございます!私、魔術学校1年…あっ、2年になったんだった。2年のクレア・メルサイトです!よろしくお願いしますね!」


「え、まさか同級生か…!」


「え?私はあなたと会ったの初めてですよ?」


「悪い悪い、俺は今年から編入になったアルター・エルマイトだ。アルトとでも呼んでくれ」


そうして初めての同級生の友達は、思わぬ形でできたのだった。

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