第4話 冒険者ギルドへ
「おじい様のこと、お悔やみ申し上げます…あの冒険者達は特定できてますのでライセンスを廃止します…」
ライセンスを廃止したところで彼らはもうこの世にはいないのだが。
「あはは、まぁ断捨離だと思えば…」
とにかく、冒険者登録を済ませて稼ぎを得たい。
そうでもしなければ生活が危ないのだ。
「とりあえず、この記入用紙に職業、所持スキルや会得している魔術などをお書きください」
「わかりました。そのあとはどうすれば?」
「簡単な魔力測定をいたしますのでそのままお待ちください」
そう言われ記入用紙に必要事項を書き始める。
「アルター・エルマイト、年齢は17っと」
職業はどうしようか。
核術師は失われた職業でそれで納得してもらえるとも思い難い。
とりあえず職業は魔術師にしておこう。
魔術に関しても、さすがに
固有スキルはかなり珍しいとのことなので伏せておく。
しかし、魔力測定の時はどうしようか。
『案ずるな、私が適当に辻褄を合わせてやる』
との一言。
これは安心できる。
じゃあとにかく全てのスキルと魔術を一段階下げておくことにするか。
「記入、終わりました」
「はい、それではこのプレートに触れてください」
俺がそのプレートに触れると赤、青、黄3色の光の紋様が浮かび上がる。
「属性3個…!それに火炎と流水の属性魔術は中級!?とんでもない逸材…!」
「これってそんなにすごいことなんですかね?」
「すごいも何も!3属性扱える魔術師なんてこんな街にはいませんよ!いや、王都にだっているかどうか…」
なんかすごいらしいが知ったこっちゃない。
こちらとしては生きていくのに十分な収入があれば問題ないのだから。
「こんなステータスを持っておきながら今まで部屋にこもって研究なんて、どんだけ研究好きなんですか!」
まあ、核を取り込んでこの前一瞬で手に入れたスキルだし…
今まで冒険者やってなくて当たり前だよね…
それはそれとして、登録が完了したようだった。
「まあ、ギルドの規則で2属性以上扱える魔術師の方はEランクからとなります。よろしくお願いしますね!」
ギルドでは、冒険者見習いの仮ライセンスであるG、そして本ライセンスのF〜Sとランクが分けられている。
そうして俺はEランクの青銅でできたライセンスを受け取った。
「今ご紹介できる依頼は、薬草採取だけとなっております」
基本的に人気の依頼は朝から並んでいる冒険者達に取られてしまう。
そのためあまり報酬も高くないが危険度も低いローリスクローリターンの依頼が多く残る。
今はもうお昼前なので人気の依頼は根こそぎない。
ライセンスによっても受けられる依頼のレベルが変わるためそのせいもあるだろう。
基本的にこの街には高ランクの冒険者が少ないため高ランク依頼の需要と供給が合っていない。
ということは高ランクに上がることで収入をかなり増やすことができるということだ!
「それならその依頼を受けます」
そうして依頼を受けた俺は街の眼前にある草原へと向かった。
◆◆◆
草原で薬草採取をするのはかなり効率が悪い。
もう他の冒険者達がほとんど取ってしまっているからだ。
そんなわけで草原からは早々に切り上げ森にやってきた。
道中ではスキルの熟練度を上げるために身体強化をかけてきた。
「案の定、ここには薬草がたくさん自生しているな」
と、目の前にスライムが現れた。
「スライムか!とりあえず核が欲しいな。でもここは森だし火炎魔術は使えない。それじゃあこれだ!」
そうして俺は右手を前に出し反動に備えながら、
「【
そう唱えるとスライムは一瞬で蒸発し、核だけが残った。
「いやぁ、これもちょっと威力が高いな…」
『そうか、じゃあ基本的な火力を全体的に制限するぞ』
そうメフィストが言った。
細かい調整はこれからメフィストに任せようと思う。
そしてスライムの核を拾う。
しかしスキルや魔術は記憶されていなかった。
スライムの外部器官は破壊しているので核から蘇ることはないだろう。
そもそも核というのは魔物における、生命維持の最重要器官だ。
人間で言う心臓である。
しかし魔物達は血液の代わりに魔力を生命の維持に利用する。
人間が魔術を使えるのは別の魔力操作器官があり自然に存在する魔力を操れるからであるが、魔物は体内の魔力を利用するため威力が人間のものより高くなる。
しかし、魔力が減るにつれ命の危機も高まるためリスクは存在している。
そのため、強い魔物というのは魔力貯蔵のキャパシティが大きい魔物のことを言うのだ。
とまあ、解説はここらでやめておく。
そのあとは必要量の薬草を採取し、ギルドに報告をしに向かった。
◆◆◆
「【
周辺一帯に雷鳴が響き渡る。
「なんという威力…!これは早急に調査して報告せねば!」
あの少年は一体何者であるのか、若いながらもあの練度の魔術を使えるとは相当な才能の持ち主であることには変わりない。
早く帰ってこのことを報告する必要がある。
急いで帰途につかなくては。
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