第20話 もう限界だ
次々に冒険者が怪我をして運ばれてくる。
手当を受けてまた出て行く人、出血し過ぎて貧血状態の人、心が折れちゃってる人。
せっかくチート持ってるのにやれる事がない。
せめて何か食べ物を出したいけど、味が良過ぎて大問題になるって言われてるから下手に出せない。
せめて10歳超えてて冒険者になれてたら外に出れて戦えたのに。
いよいよワイバーンが外壁近くまで迫って来た。
高位ランク達はまだ探知に引っかかってるから無事・・・生きてる。
ジャックは他のおっちゃん達と外に出ていって。
・・・ミクが俺を迎えに来た。
ヒョウガが慌てて止めるのに俺を抱き上げて外壁のすぐ側まで引っ張っていってそこにエイミー達3人が倒れていた。
「・・・エイミー達助けて・・・」
簡易結界を作動させてるけどいつ突破されるかわからない状況だ。
クララとララァは鉤爪で背中や腕をやられて出血が酷い。エイミーは腹が裂かれて正直生きているのが奇跡なくらい凄惨だ。
「・・・」
『コイツら他に状況見られたか?』
ミクは声の主がヒョウガだとは思わずキョロキョロしているが、
「見られてない・思う」
ちゃんと答えた。
『少しの間だけ外部と遮断して見えないようにヒールを使え』
おお、さすがエンファスさまの加護!!
『特例だぞ。コイツらはツバサをリックの元に連れてってくれたからな。さっさとやれ』
わかった。
「エクストラヒール!!」
だったよな?呪文よく知らんけどイメージで何とかなれ!!
クララもララァも傷が綺麗に塞がった。
エイミーは少し時間がかかったけど何とかなった!
エイミーだけは血を失い過ぎているから顔色が良く無いけど、息はしてる。
栄養剤とかはすぐに効かないから意味ないよな?
さっきギルドで作ったポーションでもいけるのか?
「ツバサ!!結界が持たない。逃げてくれ!
」
そばで応戦しているリドルが叫んでる。あちこちキズを作っててだいぶキレが落ちてる気がする。
「ヒョウガ!ここ他に人がいないんだろ!?少しだけ戦わせてくれ!」
『魔力を感知されたらバレるんだぞ?』
「こんな緊急時に一発入れたくらいでバレんの!?」
マーダードッグが結界ににぶち当たってくる。ミクも応戦してるが体力が限界に近そうだ。
「グルぅおぅううう!!!」
ここにいる誰か死んじゃうくらいならもうバレても良いんじゃねぇかな?
良くしてくれるエイミー達やリドルやミクを見捨てたらいくら10歳に慣れても冒険者になんてなれねぇだろ!?
『ツバサ!!』
「失敗したらクネクネしばけるしもういいだろ!?」
俺はエイミー達に簡易結界を掛けて、マーダードッグと対峙しようと思った。
群れで居るから厄介なだけで一頭単体は雑魚だ!
「サンダー・・・あ・・・」
指先に魔力を込めて放とうとした瞬間、
「ツバサ!!待たせた!」
リックが俺を抱えてマーダードッグを両断した。
サイラスもクリスもルランもいる。
ハートもガルムも帰ってきた!
一気に周りにいた魔物が倒されていく。
エイミー達を抱えてみんなで町に入って途中入り込んでいた雑魚も瞬殺して棲家へ移動だ。
クリスが手際よく結界を調整したみたいだ。
「ツバサが外に出てたのは後で聞くからな」
リックが早速お説教親父になった。
「帰ってきたら牛丼くれ」
「俺はカツカレー」
「じゃ味噌ラーメンがいい」
「・・・ナポレオンパイとバタークッキー」
みんなは言いたいこと言ってワイバーン倒しに出ていった。
リドル達も行こうとしたからとりあえず止めた。あんなあっさりマーダードッグを倒せるリック達に体力が限界な二人がついて行っても足手纏いだ。
棲家に置いてあるポーションを飲ませて、肉を食わせる。
エイミー達は雑魚寝になってるけど、毛布だけ掛けといた。
外はまだ騒がしいけど、さっきまであった不安感は払拭された。
リック達がいる。もう大丈夫だ。
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