第12話 第4節
第4節成績
創●vs鋼○
獣●vs海○
地●vs炎○
空●vs邪○
聖●vs氷○
ついに全勝が消えた。空の陣営は魔水晶を建ててない分、後半失速するというのが俺や海のマスターの予想であり、海のマスターがまだ優勝が目指せると考えた最大の理由だ。魔水晶は置いとくだけで魔物を生み出し成長させてくれる超便利アイテムだ。それが無いということは魔物の数が増えづらいというのもあるが他の魔水晶が置いてあるダンジョンと比べて魔物の成長が遅いことになる。つまり、最初のBランク1体分のアドバンテージがどこかで力負けして覆されるようになるのだ。海のマスターも水中の魔物が無力化されなければ個々では押し勝てそうだったと感じていたらしいし、徐々にレベル差は出てきているのだろう。
「これで空は脱落していきそうだな。」
海に勝てたのが相性差によるところがでかいのだとしたら、他のダンジョンとはこれからどんどん厳しくなっていく。
「そうね、レベル差があればあるほど同じランクでも勝つのは難しくなって行くわ。ところで創のマスター、あんたのところのドライアドのレベルがおかしいのだけど?」
実は海のマスターに渡したドライアドは海のダンジョンと戦ったときのドライアドではなくそのときのトレントが進化した個体だ。そして、トレントも同様に最近進化した個体なので個体が違うことがバレたのかのと思ったのだが。
「何あれ。うちの魔物より全然強いんだけど。相手のBランクの魔物にタイマンで勝ってたし。地のマスターに聞いたらドライアドはどちらかと言えば補助型で単体の性能はそこまで高くないって言ってたし。」
地のダンジョンにもドライアドは存在しており、そのことは俺も海のマスターも戦っているので知っている。俺のダンジョンはSランクの魔物が2体に魔水晶が3つ、しかもヴァルの能力で魔水晶の効果が上がっている。これだけで他のダンジョンの倍以上の恩恵を受けれるのだがドライアドには他の植物系の魔物の成長を促進させる能力があるのでその効率はとんでもないことになっている。おかげで初期に地のマスターと交換したグロウウィードは5体が進化しており、残りも時間の問題で進化するだろう。
「そのためにスライムを交換してもらったりしたからな。」
ルイスの情報は伏せておきたい俺はあくまでの方針の成果だと主張する。
「それにしては成長しすぎ。トレントもすごいレベルだしこれもしかして進化個体?あんた、初日にわたしと話した後に地のマスターとも話してたわよね。」
同じ交渉をしていればグロウウィードを俺が入手してるのも想像に難くないだろう。ドライアドの能力を確認して地のマスターとDランクの魔物同士を交換しててもおかしくないし、彼女たちには交流もあるのだから。
「まあ、想像にお任せするよ。」
とはいえ、素直に話す必要も無いのではぐらかすのだが。
「そういえばあなたのところにコピースライムもいたわよね。あれもわたしがあげたスライムが進化した姿だったりする?でも、Bランクに初戦の時点で進化してるってよっぽどの何かしてなければ。まさか、あなたのところにSランクがいないのと何か関係があったりする?」
海のマスターが核心に迫ってきているのではぐらかさないとな。
「下の魔物を育ててエースが不在になるんじゃ本末転倒じゃないか。さすがに俺もそこまでバカじゃないさ。」
「あなたをそこまでバカな相手だと思ったことは無いわ。可能性の話よ。でも、Sランクが不在な事とあなたが何か企んでることにはきっと何か関係がある。それだけは確信してるわ。」
海のマスターはそう断言した。まあ、その通りなんだけども。また、適当に誤魔化して今回は乗り切った。
切羽詰まるとなりふり構っていられなくなるのは珍しい話じゃない。
「やあ、君は成績が振るってないみたいだね。良かったら僕とBランク同士のカードの交換をしないかい?」
おそらく、他のダンジョンマスターに現状1位という理由で交換を避けられたであろう空のマスターは開口一番そう言った。しかし、俺は向こうが焦っているのを知っているので足下を見ることにする。
「こっちはすでに4連敗なもんでね。首位の君たちとは既に3試合差、プレーオフ圏内までも2試合差。残り5試合でひっくり返すのは少し厳しくなってきたと感じていたところだよ。現状トップ争いをしてるそっちとは違ってね。」
こちらは上位進出を諦めるから無理にトレードをする必要は無いと強調する。
「たぶん、そちらは即戦力を求めてるだろうからそっちのドラフト指名権とこちらのB2枚なら交換に応じるよ。」
そして、完全に将来の芽を摘むトレード。魔水晶の無い空のマスターにはこれに応じたら将来すら怪しくなる。一応、リーグ戦で1位になれば魔水晶分のDPが報酬で貰えるのだが同じ条件でAのカードを持ってる炎や実質B2枚分以上のトレードをしてる海がいる以上、ここでトレードに応じても1位の可能性は無いに等しい。これに応じてくれればリーグ戦から実質1人を排除できる。
「ふざけんな、僕を完全に下に見やがって。」
空のマスターの少年は下に見られたことにぶち切れる。
「俺だって来シーズン以降厳しい戦いになるのは間違いないんだ。来シーズン以降、絶対にAランクの召喚は必要なんだ。わかるだろ?」
上位に入れなかった時のリスクは空のマスターも理解しているはずだ。上位に進めない。Aランクも召喚できないでは次のシーズンも勝てないのが決定してしまう。
「Bランク1枚だったらせめて追加でC2枚は欲しい。」
こちらもこれ以上は妥協できないと対価を求める。
「そうするとこちらが召喚できなくなってしまう。出せてC1枚までだ。」
もちろん、空のダンジョンのポイント事情はわかっている。
「そうだな、それならそちらの魔物次第だが追加でそっちのDランクの魔物を4体なら考えてもいい。」
トカゲなのは知っているがこの情報をこちらが持っていることを空のマスターは知らない。
「ギタイトカゲという魔物だ。繁殖力は低いが戦闘力は他のDランクより高いはずだ。それでよければこちらは構わないが。」
初めて聞いたように少し時間をおいて回答する。
「一応、オスメス2体ずつ欲しい。役に立つかはわからんが。」
俺の要求に空のマスターが応じて俺は初めてBランクのカードを手に入れた。
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