第8話:無双!
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横須賀港に停泊している世界最強米国海軍第七艦隊総旗艦“リンカーン”大会議室内に設置されている20インチモニターに映し出されている偵察衛星からの台湾沖映像を眺めていた『ロボス』司令官以下全員が無言状態及び画面にくぎ付けになっていた。
司令官が咥えていたパイプと手に持っていたコーヒーカップを落としたにも拘らず茫然としていた。
数分後、やっと司令官が口を開く。
「……あれは……一体何だ? 何事が起きたのだ!?」
司令官の言葉に誰もが口を閉ざしたままであったがやっと誰かが口を開く。
「SFの映画や物語……ですか? 現実でしょうか、これは?」
彼の言葉にやっと我に返った司令官は直ぐに客分として当艦を訪問しているノーベル物理学賞を授与した『ハルゼー』博士をここに来るように言う。
「ああっ! 例の潜水艦から再び光が!」
伊400から放たれた第二弾目の武御雷神の矛が発射されるとC国海軍の艦船10隻が消滅する。
「久しぶりに放ったが問題はなかったな」
司令塔内にて仁王立ちになって発射トリガーを握っていた日下は満足そうに頷くと橋本以下乗員達も大きく頷く。
「通信班に打合せ通りに伊400上空にホログラムを展開しろ! 勿論、この私が放送するのだがな」
「艦長、こういう事をするのは大体、魔王がする場面かと? お人が悪い」
西島航海長が苦り顔で笑みを浮かべると橋本もクックックと笑うとたまにはこういうのもいいではないか? と言うと確かにと西島も頷く。
一方、C国海軍艦艇はパニックになって伊400に向かってありとあらゆるミサイルを発射する。
「艦長! C国残存艦艇から対艦ミサイル55発が撃ちだされましたがいかがしますか?」
C国艦艇はミサイルを狂ったように撃ちだすと隊形をバラバラにして逃走していくが日下はそれを見逃す気はなかったのである。
「……丁度いい! 全弾、この伊400に命中させようではないか! この揺るぎない装甲の凄まじさを世界中に見せつけてやろう! その前に……対艦ミサイル発射だ! 魚雷発射管に装填しろ!」
伊400には魚雷型の対艦巡航ミサイルが備蓄されていて艦首魚雷口から発射されると海面に出た瞬間に翼が展開して一瞬でマッハ9の速度まで加速する。
「了解しました!」
CICから返答が来ると共に乗員が落ち着いた様子で喋る。
「対艦ミサイル着弾します」
55発の対艦ミサイルが次々と伊400に命中して爆発していく。
その様子を偵察衛星を経て映像を見ていた第七艦隊司令官『ロボス』は眉を潜めて呟く。
「……流石に轟沈したか?」
その数秒後、爆炎が晴れると再びロボスは茫然として立ちあがり叫ぶ。
「馬鹿な!? あれだけ命中して傷一つ付いていないだと!? ありえん! 一体全体、どうなっているのだ!?」
伊400は何事も無く海上に堂々とその船体を浮かべていたのである。
勿論、この一連の映像は日本でも総理以下自衛隊幕僚幹部総員で見ていたが誰もが映像に映し出された出来事に絶句していた。
「……私は幻を見ているのかしら? 直木大臣は?」
「どうやら幻ではありませんね、他の方々も呆けたような表情ですので」
総理達が見ている映像は米国偵察衛星から中継されていて各自衛隊基地でも衝撃的な映像を見て茫然としていたのである。
「……一年前に我が国に援助してくれたX潜水艦か……」
「おい! 海面からミサイルが出現したぞ!」
伊400から8発の対艦ミサイルが艦首口から一斉発射されると海面に出た瞬間、速度を上げてロックオンした艦船に次々と命中する。
六千トンもある大型艦が次々と被弾した直後、大爆発を起こして真二つに折れて轟沈する。
僅か数十秒で八隻の艦船が大爆発を起こして轟沈したのである。
日下は間髪入れずに第二弾・第三弾を発射させて遂に台湾沖に集結していたC国海軍全艦艇は海の底にその船体を没していったのである。
この一連の映像で真っ青になった人々がいたがそれは沖縄を始めとする諸島をC国に売り渡そうとしていた売国奴連中であった。
既に笠間総理の演説によって売国奴連中を捕縛して外患誘致罪で極刑に処すと報道していたので逃げ道は無かった。
「取り敢えず、逃げるが勝ちだ!」
売国奴の連中は急いで逃走を図ろうとしたが既に死神の鎌は近くまで来ていたがそれは今少し先の話である。
「よし、ミッション完了だな! 制海権を失ったC国は最早、恐れるに足りない!」
日下が満足そうに頷くと通信室からホログラムの準備が出来ましたとの連絡が入ると橋本に艦橋甲板に出るかと言い、艦橋ハッチから出て甲板にその姿を現す。
「艦長、船体全てに磁気シールド展開しましたので身の安全は保障しますよ」
吉田技術長が親指を立てて笑みを浮かべると日下も頷きながら親指を立てて外に出ていく。
「おい、誰かが出て来るぞ! 衛星角度を調整すると共に拡大アップだ!」
ロボスが叫ぶと“リンカーン”とリンクしている偵察衛星に信号を送る。
甲板上に出た人物は周囲を見渡しながら頷くと突然、世界中の空中にその人物が映し出される。
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