【二次創作】長門有希の再会

鈴木雨丸

プロローグ

 季節は呼びもしないのにやってきて、人間たちを翻弄したあげく、知らん顔で勝手に去っていく。

 そんなポエムめいたことを思いついたのは、大学の就活の面接のために東京に来て、雪がひとひら舞い落ちるのを、偶然目にしてしまったからだろう。

 あるいは、今年で高校3年生になった妹から、ひさしぶりにメッセージがスマホに到着したからかもしれない。

『キョンくん、元気ー? 今度おうち行くから!』

 我が妹はいまだに二親等以内の年上の自分の家族のことを、『お兄ちゃん』とは呼んでくれない。

 というか、家に来るなら日時くらい打て。

 俺は大学に入ってから、一人暮らしをしていた。

 ハルヒ? なんだ、その頭にカチューシャと一緒に千本桜を咲かせてそうな女の名前は?

 ……いや、悪かった。もちろん、俺がこうして受けたくもない就活の面接を無事受けられるということは、地球は相変わらず太陽と月に二股をかけているということだ。

 今日がすぎれば明日が来る。明日がすぎればあさってが来る。世界が終わることはない。


 ーーそう、思っていた時期もあったさ。


 全てが終わった、いや、始まった今、確信していることがある。

 一人の人間の世界は、ささいなことで、簡単に終わってしまうことがある、と。

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