夕飯

 父たちが戻ってきた頃には外も暗くなっていて

 スマブラで熱い戦いを終えた俺と木葉姉さんはすっかり打ち解けていた。

「お父さんが知らない間に何があったんだ?」

 父はいつの間にか打ち解けたことを疑問に思って首を傾げていた。

「あらあら、いいことじゃないの」

 幸子さんは嬉しそうに微笑む。

 ”ジュー”

 唐揚げの焼き上がる音と香ばしい匂いが部屋全体に広がる。

「おお、晩飯は唐揚げか!十三も喜ぶな!」

 父は嬉しそうな顔をする。

「美味しそうな匂いがする!」

 唐揚げの匂いに気がついた木葉姉さんは、すぐさまキッチンの方に向かった。

「ん〜!美味しそう!食べてみてもいい?」

「いいけど、弟にいいところ見せるんじゃなかったの?」

 からかうように幸子さんは言った。

「あっ……!もう!お母さん!!」

 俺がここにいることを思い出したようで頬を赤く染める。

 ほう、俺にいいところを見せようとしてくれていたのか!ボコボコにしちゃったけど……

「そういや木葉姉さんって学校はどうするの?」

 別々に学校に行くのか一緒の学校に行くのかどっちだろ?

「お父さんも気になるぞー」

 お前も知らなかったんかい!?

「あら、そういえば言ってなかったわね、十三くんの学校に転校させる予定よ」

 幸子さんが答えてくれた。おお!一緒の学校なのか!

「んー!そうそう!お姉さんが十三くんの先輩になるの!」

 木葉姉さんは頼ってくれと言いたげに胸を張った。

 なんとなく先輩というよりかは後輩みたいだな。

「あ、十三くんの高校は学食でしょ?お母さんが作ってあげるわよ」

「ありがとうございま……ありがとう!」

 まだ敬語の癖が抜けない……

 幸子さんはふふっと笑った。

「もうそろそろご飯できるわよ」


 そうして家族全員で一緒に食事をした。

 幸子さんの作った唐揚げは店でも出せると思えるほど美味しかった。

 でも、何より家族揃って賑やかに食事できることが俺にとって嬉しかった!

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