足の話

一足目

それはいつも現れるわけではなかった。


宿直、見回りの時間、月明かりもない練習フロアでそれは音もなくステップを踏み続けているのだった。


細い細い脚に酷く明るい色のトゥシューズ。


多分オデット姫。


脚だけのこの白鳥は、いつかここから飛び立てるのだろうか。



朝はまだ遠い。


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