The Backrooms 呪いの部屋
時雨 莎祺
第1話 Noclip
カビ臭い。
耳障りなブーンという音。
俺は起き上がった。
「なんだ…ここ……どこだよ…」
どうやら気絶していたようだ。おそらく何かの衝撃で、だと思う。
しかしなんだ、この全部が黄色い部屋は。
このようなところに来た覚えは全くない。
記憶を探り始める。
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「君、明日から来なくて良いよ。」
「え…?今…なんと……」
「いやだから、明日から君はここに来なくて良いって言ってんの。」
「何故です⁉︎まだ居させてください!!」
「いや、上からそう来てるから。はい、解雇通知書ね。」
「2037年…11月13日をもって…貴方を解雇いたします…」
「あと1時間半でここから出てってもらうからね。」
「………分かり…まし…た……」
(1時間半後)
本当に追い出された。
未だにこれが現実か信じられない。
何故俺は解雇された?
あのクソ上司が…
怒りを覚えても仕方がない。俺は解雇されたのだから。
あぁ、自由だぁ!!!!!
「ははははははははははは…」
久しぶりに外へ出たせいで街の様子が変だということに気がついた。
「信号機が薄い…?」
なんだあの光は。俺の見ていた信号と違う…
確かここの信号は…あれ?ここに信号なんてあったか?
…無かった気がする。
でもあの妙な光は一度も見た事がないぞ!
…ブゥン
「うわぁっ!?」
車が横を通り過ぎただけだ。
近くに来るまで、全く気づかなかった。
車の音も聞こえて来ない。これまでに車は今のしか通り過ぎていない。
そもそもの交通量が減ったのか…?
いや、そうだ、今は夜の0時だ。人がいるわけないだろう。
誰ともすれ違っていないため、もっと寂寥を感じてしまう。
「とりあえず…家へ帰ろう。」
待てよ、家ってどこだ?
ていうか、家ってなんだったっけ?
たしか、自分の居場所的な物だった気がする。よく分からないが。
「2時間かかった…」
自分のものが置いてある所まで、2時間もかかった。
さて、中へ入ろう…
うっ、立ちくらみが…
鞄を落としてしまった。
体のバランスが保てない…倒れるっ…
目の前のドアがぐにゃんと曲がり、意識が飛びそうになる。いや、
もう半分くらい飛んでい……………
目の前が真っ暗になり、白目を剥く。
反射で手を前に出してしまい、ドアに倒れかかる…その刹那。
ふわっ…としたような感覚がした。
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その後は何も覚えていない…
とにかく、ここはどこか調べなければ。
身体には何も違和感はない。
後ろに手をついて起き上がる。
辺りを見回してみても、特に変わったものはない。
「誰かいるのか…?」
とりあえず呼んでみる。
反応はない。
部屋が連なっているので、先の部屋に行ってみる。
おや、何かが落ちている?
拾いに行くと、それは懐中電灯だった。
電池も入っており、ちゃんと着く。
ひとまずそれを持って進むことにしよう。
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