第27話 私が好きな部屋

家事で苦手なもの。

それは、片付け。


若い頃で独身だった時の一人暮らしは

公団の二間にトイレとお風呂があった。


パイプベットに布団。

ブラウン管のテレビの小さなの。

冷蔵庫も小さなの。

ガスコンロに炊飯器とフライパン、包丁なんぞ。


それだけ。

今ならミニマニストだと思う。


夏は扇風機、冬はコタツ。

さみしい部屋だった記憶しかない。


今は雑多な物が溢れてる。


娘んちは婿殿が潔癖症なので、とにかくモノが無い!

婿殿はパジャマさえ無い。

冬でも半袖でいるのだ。

娘はあつがりの寒がりだから、ちゃんちゃんこを持たせたら、こんなもの持ってきて!と言ってたのに、婿殿はずっと着ている。

「あったかいねーー。」だって。


娘の家はモデルルームかと思う。

あたしゃ、こうした家は苦手なんよね。

気が休まらない。


ゴミ屋敷は嫌よ。

でも人間が暮らしてるって言う、あったかさが欲しいのね。


娘は先日まで私んちに泊まってたんだけど、

ほっとする。

ひとりで、あの部屋にいると不安が襲ってくるもん。と言う。

綺麗な部屋もそりぁ、運が来るとか言うけれど

そこそこだと思う。


ほら、子供って狭くて、おかしな所で埋まってると安心しなかった?

丸見えってやだな。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る