第16話 仕事はボランティアじゃないから
私は怒っている。
昨日の日帰り旅行の件だ。
今回の担当は日帰り旅行担当は3年目と
四年目の女性職員。ふたりとも初めての担当。
うちの中堅は全く頼りにならない58歳の
男性職員と36歳にもなるのに甘ったるい声で
いつも主任以上に頼ることしか🧠がないのか!
と思う女性職員。一応副主任の肩書き。
高度行動障害のふたりの若い利用者さんについては外出と言う通常と違う環境なので衝動的行動が起こりやすい。
安全性確保のために、男性主任が其々に
張り付く。
所長は年齢と共に、イラつき他者と行動できなくなっている人にはりつくことになっていた。
私は基礎疾患のある人達のフォロー。
担当者からの現地説明があったのは出発
3日前。
現地ではスロープはあるが非常に急勾配になっており、そこの上にレストランがあること。
しかも、一般客と紛れての食事なので
テーブル配置がバラバラになると言う。
急勾配での車椅子操作は危険であるけど
できるの??
「何とかします。」の返事。
つまり、行き当たりばったり。
また、バスは一時間で現地につくからトイレ休憩はしない。
これ、大丈夫なの??( ´Д`)y━・~~
グループ編成をみる。
何故に私のところへ高齢の歩行がおぼつかない利用者さんが固められているのだ。
すでに転倒骨折の常習者。
しかも、組むパートさんは最近入って慣れてない。ど天然な人。トイレ介助もある人達ばかり。
言っておくが、私は看護師である。
しかも短時間パートである。
ボーナスもなんにもない!!
利用者さんのお世話はするが、慣れないパートさんの面倒なんか見ないぞと思う。
中堅職員のグループを見る。
なんじゃ?これは、、。
たった二人の利用者さん担当、しかもお世話が要らない、、。自立度が高い人ばかりじゃん。そこにベテランのパートさんが配置??
思わず、どうしてなの?
ここって職員ひとりでいいんじゃない!
いや、あの、頼りにならないからと主任から言われてまして、、。
しっかりしたパートさん配置になりました。
唖然。
もう、いい。いつもこうだ。
朝、バスが到着。
後部座席から乗り込まないと利用者さんは
戸惑うからとバスの配置を確認して
大声で後部座席の人から移動しようねーっと
言ってる矢先から副主任の天然職員は何人かを連れてさっさと出ていく。
あれ?おかしくない?彼女のグループじゃ無い人の手をつなぎ、連れていかなきゃなんない人置いてってるーー!!
慌てて、ほっとかれた人を連れて走る💨。
「あー、やだぁ、ついてきてると思ってましたぁ〜。」副主任の天然ちゃん。
いつもこう、、。
私は車椅子二台と歩行器をバスに入れ込む人もいないので、それを引きずって往復する。
あれだけ後部座席から乗った方がいいと言ったのに、めちゃくちゃに乗り込ませるから
渋滞。
はぁ、、、。
バスに乗り込み、整理する。
はい、そこのパートさんはとりあえず補助席は最後なんですから空いてる座席に座ってください!!
通路を開けてください!
私がしきりますから!!
ようやく座席に着いた。やれやれ。
そしたら渋滞である。
去年も渋滞に巻き込まれたとパートさん達は
言っていたのに、、。
45分遅れ。
トイレ休憩無し。
案の定、失禁ふたり。(男性利用者さん)
ふたりとも介助無しでは更衣は無理。
パートの動きの早い男性がさっとトイレへ連れて行く。
ふたりとも手引き誘導が必要なのだから
当然、男性職員が着替えの入ったリュックは
持っていくだろうと思う。
私は私で女性の車椅子利用者のトイレ介助に入るし、そのあと、ふたりの利用者さんの
血糖値測定とインスリン注射をしなければならない。
のにのに、リュックを持ったまんま何故?
ぼーっとバスの前で立ってるんだ??
もう、知らない!!
私は救護室に車椅子で二人を連れていき
血糖値とインスリンしなきゃなんないんだし。
グループホームからの応援のガタイのいい
老人介護経験者が応援に来てくれてたから
助かった。
つーと言えばかーで動いてくれる。
私も両手が開くように自分のリュックを背負い、血糖値、インスリンの荷物を肩に掛けて
いるので身動きがしにくい。
彼はそれを察知して、先にドアを開けてくれたりする。さすがだわ。
処置が終わり、とにかくトイレに自分も行きたいし、利用者さんもしなきゃ。
まずは利用者さんのトイレを誘導して安全確認。
その後、車椅子に腰掛けて待っててもらうのだが、何かあるといけないので、自分のトイレのドアを半開きにして利用者さんが見えるようにして用をたす。
小学生が入ってきて、みんながみるーー!
仕方ないじゃんかよーー!と言いたいわ。
トイレを出て、いざレストランへ。
えええええー!
なによ、このスロープの急勾配。しかも長い距離。
覚悟を決めて登るしかない。誰もいないのだから。
必死で踏ん張りながら何とか半分まで来たところでにっちもさっちも上がれない。
ダメだ、このままだと後ろにずり落ちる、、。
私も後方転倒しそうだし、車椅子も横倒しになるーー。
深呼吸して、とにかく、スーパーサイヤ人なんだーと思いこんで、やーっと力を入れて
汗だくで登る。
何とか、レフトランへ。
息があがって苦しい。
レストランの中に入ると、すでに食べている。
席は取ってあり、そこにカツカレーどーん!
車椅子でくるのに、椅子がぎっちり並んでる。
椅子を片付けてスペースを作りらないとと
「ごめんね、待っててね。」と声を利用者さんにかけて椅子を片付けようとしたら、パートさんが気がついて走ってきてくれた。
「おしたしさん、あのスロープ一人だったんですか?大変じゃなかったですか?」
「うん、なんとかねーー。歳だわね。
力無くなっわ。おーほほほ。」と笑って誤魔化す。
座席についた。
カツカレー、、。
とんかつがデカい。この利用者さんは高齢で歯も悪い。切ってよ!!
「キッチンハサミは誰が持ってますか?」と
叫ぶ。
職員は食べるのに夢中なのか反応なし。
仕方ない、スプーンで切るか、、。
そこへベテランパートさんがキッチンハサミを走って持って来てくれる。
「やっぱりねぇ、私さ、切らなくていいの?って何回も職員さんに聞いたのよ。
誰も無視なのよね。」
「そうだったんだ。さすが、すみこさん。
ありがとうございます。」
さあ、いただきましょうと思ったら水も無い。
ここまで来るのに日差しがキツく、水分を取ってない。
急いで、ウォーターサーバーに行く。
パートさんが紙コップに水を何個も入れている。
「あ、おしたしさん、大丈夫だった??」
「悪いんだけど、水分を取らせたいの、
先に彼女の分を貰えない?」
「そうだよね。これ、持てるだけ持ってって。」
と渡してくれた。
利用者さんは待っててくれたので、まずはお水飲みましょうと勧める。
カツカレーを食べ初めたところで、あちこちに分散しているテーブルを回る。
変わったところは無いか?を見回りする。
カツカレーなんて食ってる暇ねーから。
なんだよ、職員達は!
自分が食べるのに必死じゃんかよー!
誰も全体把握してない、、、。
透析してる利用者さんは胃の具合が悪く
このところお粥なのにカツカレー。
「カレーはきついなら残してね。その分
アイスクリームとかあとで食べていいから。」
と声をかける。
ムセのある人もいるし、てんかんの発作を頻発してる人もいるから、一口食べては立ち上がり
あちこちを観察する。
イルカショーの場所までの移動は、案の定、
てんかん持ちの60歳の利用者さんが
「えらいわ、歩けるかなぁ、、、。なんかめまいがする。」と言い出す。
仕方ないので、側湾がきつくて背中が変形してる人は車椅子をやめて歩行器にしてもらう。
これも、気がつくパートさんにブレーキの操作などを急遽説明してお願いする。
このパートさんは勘がいいのと忍耐強いので
大丈夫だなと思う。
私はてんかん持ちの人を車椅子に乗せて
転倒常習者のものすごーくゆっくりしか歩けない人と慣れないパートさんを引き連れて移動。
途中、あまりの歩きの遅さにパートさんが背中を無理やりおすので、
「押さないでくださいね。この方は自分のペースで歩かないと転んでしまいますから。
それで骨折何度もしてますからーー!」と
叫ぶ。
今度は下り坂。こうした場合には、車椅子は逆方向へ向ける。
つまり、自分が進行方向側になるのだ。
でないと、前のめりで前方から落ちたりする危険性があるから。
これも急勾配過ぎて、力で滑り落ちそうになるのを必死でとめながら移動。
何とかイルカショーには間に合う。
すでにみんなは座っている。
おまけに、天然副主任は最前列にカッパを着て
楽しそうにしてる。
あー、呑気だな、この人。
一体、なにをしにきてんだろ。
車椅子マークのところで、車椅子の人と歩行器の人と合流。
みんな汗だく。
「暑かったです。 さすがに坂がきつくて。」
みんな同じだね。
呑気な正職員さん、イルカショー楽しいでしょうね。
こんな調子で一日が終わり、帰りのバス。
降りる時にも
「まずは、前例がおりてから動いてください!
焦る必要ありませんから。
とにかく、後列は動かないでください!」
と叫ぶ。
やっと施設に辿り着き、私はトイレに行った。
ほっとする。
もう、口も聞きたくない。
本日の記録を黙々とやりこなす。
「お疲れ様でしたぁ〜。
つかれちゃったねぇ〜〜。
担当さん、ほんとうにおつかれぇ〜〜。」
天然副主任
無視、ガン無視。
私、普段から意見は言いますよ、でも
それは当たり前だと思う。
言いっぱなしでは無くて、代案も提示するのも
責任だと考えてるし。
しかし、本当に嫌になると喋らない。
今後、たぶん、やる気の無い職員ふたりとは
喋らないと思う。
仕事はボランティアじゃないもん。
その覚悟無い人とは一線引くしか無いもの。
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