たわいのないはなし

菜の花のおしたし

第18話 梅と桜

今年も梅と桜の季節がやってくる。


白い梅の花を見ると、祇園の芸妓さんを連想する。

島田髪に鼈甲の櫛ひとつ。

黒い着物にお太鼓帯をしめて、裾引きをの褄を持ち上げて、下駄を履いて歩く姿は

芸で生きる女のしゃんとした覚悟を教えてくれる。


桜の花は、舞妓さん。半玉の修行中。

丸髷に季節の花簪を咲かせて、淡い桃や若草色の長振袖にだらりの帯をゆらゆらと。

おこぼを履いて歩く姿は愛らしい。

その愛らしさで人は集まる。


舞妓さんの盛りは五年。

ぱぁと咲いて、散っていく。

ホンマに桜のよう。


その後に梅になれるかどうかは、芯が

あるか、どうか。


そう思うと梅と言うのは、女としての

生き様を感じさせるよう。




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