承諾(続編)
林風(@hayashifu)
第1話
承諾(続編)
三年の月日が流れた。武の仕事も順調だ。産まれた子は彼方(かなた)という名をつけた。ずいぶんと言葉を覚え、最近ではもっぱら、なにかにつけ、なんで、なんで、としつもんする。
太陽は、どうしてまぶしいの?雨は、どうして降るの?
答えられない質問ばかりだ。そういう時、彩子が、太陽は昔、偉いひとが、自分は太陽になって、昼間、わたしたちが、お外へ出してくれるようにしたの、とか、雨は、神様が、わたしたちに飲み物を、飲めるようにしてくださったの、などと、おとぎ話をしていた。好奇心旺盛な子に育ったと、武は感心している。ときどき、パパ、本当?と聞かれると、ママはうそつかないよ、というようにしていた。
武たちはよく、三人で、デパートや、公園に行くようにしていた。
会社の飲み会があった。実樹が、結婚退職するというので、送別会が開かれた。
春の暖かい兆しが見え始めた頃だった。
「えー、このたび、山本実樹さんが、結婚退職されるそうです。みんな、拍手!」
「おめでとう!」
一斉に声があがった。
少人数の飲み会であったが、武も参加していた。
飲み会仲間は、みんな口々に会話していた。武は実樹が気になって、しょうがない。実樹が輝いて見えて仕方なかった。
「みなさんには、いろいろお世話になって感謝しております」
実樹が挨拶をした。実樹の友達の紹介で、二人、仲良くなったという。
みなそれぞれに注文したいものを頼んだ。
武は結構、酒を飲んで、もう出来上がっていた。
最後に、一人ずつ、実樹から、短い手紙とクッキーをもらった。
それには、こう書いてあった。
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