君に、『ありがとう』を伝えたくて

ザイン

サンちゃんへ

貴女との出逢いは職場でしたね。


美人だけど物静かで、どこかミステリアスで………そんな貴女のことが僕は気になっていました。


仕事の合間に談笑することはあったけど、2人で面と向かって話したことなんてなくてただ時間だけが過ぎて…………。


そんな時に職場の先輩のノリでひょんなことから連絡先を交換しましたね。


どうやって誘えばいいか、随分悩んだのが昨日の事のようです。


喫茶店にお誘いし心良く承諾してくれて嬉しいと同時に何を話せばいいのか?それだけがただただ不安でした。


初めてしっかりと見た貴女の私服姿。結構ボーイッシュで驚いた事を覚えています。


そして貴女と初めて2人きりで会話…………気がつけば半日近く話し込んでましたね。まさかそんなに夢中になって会話が続くとは思っていませんでした。


クールな容姿に相反してアニメキャラクターが好きというギャップがアニメ好きな自分の心に刺さったのを覚えています。


お開きになった際迷わず僕は次にまた2人でお会い出来る日を作りたくてお誘いしましたね。


二つ返事でOKしてくれた時。僕は必ず貴女に告白すると決めました。


その日は仕事が遅くなり貴女を待たせてしまい申し訳無かったです。


場所も貴女の大好きだという焼肉から閉店時間の都合で側の中華料理店に………


告白すると決意した日になんだか雲行き怪しいスタートでしだか


気づけばそのお店の最後のお客さんでした。


そしていざ決意の時…………


そのお店の駐車場というなんとも味気無い場所になったのは今でも後悔しています。


ごめんなさい。


帰り際に僕が貴女を呼び止めて、察してくれた貴女はじっとその言葉を僕が伝えるのを待ってくれましたよね。


どう告白しよう…··…事前に頭の中で予習したはずなのに結局は


「僕と付き合ってください!」


………なんの捻りもないシンプルな告白になりました。


「私でよければ不束者ですが、よろしくお願いします。」


人生初の告白が見事に成功。嬉しかった。貴女のような美人を彼女と呼べる事。貴女が僕の気持ちに応えてくれた事


何より人生初めての彼女が出来た事。それが凄く嬉しかった。


こうして僕の見た事のない世界が開けました。


それでも道程はなかなか厳士かったですね。僕は貴女に1分1秒でも貴女と一緒の時間を共有したくて毎日メッセージを送っていましたね。


そんな重さに貴女が疲れて早速危機が訪れました。でも貴女は僕の想いを精一杯受け止めようと僕との距離感を一緒に探してくれましたね。


お会いすることは暫く出来なくなって寂しかったけど、あの時暴走気味の僕の想いを抑えるのに適切な期間だったなと今では思います。


そんな中迎えたクリスマス。


そんな不信感を持ちながらもプレゼントを受け取ってくれて、次にお会いした時にプレゼントしたマフラーをしてくれたのを見て、言葉にしてなかったけど、とても似合ってました。マフラーしてくれて嬉しかったです。ありがとう。


年末年始に祖父の家への挨拶に葛藤しながらも一緒に来てくれてありがとう。


僕にバラ色の話しが舞い込んでこないことに僕以上に心配してくれていた祖父を安心させることが出来て良かったです。


パワフルな祖父に応えようとしてくれてありがとう。


祖父の心底嬉しかったとわかる笑顔を貴女のお陰で拝むことが出来たよ。本当にありがとう。


そういえば!僕の誕生日に手紙をくれたよね。


僕の想いが伝わったのか


「貴方との将来を少し考えるようになった私がいます。」


と書きしたためてくれて、僕の想いが伝わって良かったって想いと僕も貴女と将来を共にしたいとより強く思うようになってたよ。


一緒にショッピングをした時の貴女の無邪気な姿。職場では見られない姿だったから。なんだか染み染みしてたよ。


こんな姿を見せてくれるまで信頼を勝ち得たんだと思ったら。内心涙が止まらなかった。


そして偶然が重なって。付き合って半年。同居生活が始まったね。


朝目覚めたら貴女が同じ空間にいる毎日が夢物語だった。独り暮らしが結構続いていたからか『おはよう』や『おやすみ』、『ただいま』や『お帰り』って伝え合う日々がとても愛おしかった。


一緒に暮らし始めてから更に魅力的な貴女に出会えたよ。


どんなことにも全力で真っ直ぐで、でも全てを背負おうとするから重圧押し潰されそうでにいっぱいいっぱいどこか脆くて。


そんな貴女だからこそ僕は『貴女の人生の手助けがしたい』そう思うようになってた。


でもその僕の想いは貴女の負担になって、生活スタイルや価値観の違いから次第に口数も減って。そして…………


付き合って1年とちょっとした時、貴女の申し出で僕達の関係は終わりを迎えました。


貴女の力になりたかったはずなのに、貴女の負担になっていたことが辛く悔しかった。


その日から3ヶ月くらい、何をやってもダメだった。


僕にとっての貴女の存在の大きさを痛感した苦しい時期だったよ。



あれから2年。貴女は元気に自分の夢に向かって進んでいるのだろうか。僕は最早貴女への想いを伝える事が貴女にとって負担になるような気がして言葉をかけられない。


でもこれだけは言わせて欲しい。




『ありがとう。』



貴女のお陰で実はあの頃僕は実家で起きてた家庭問題を前に進めようと思い、行動することが出来たんだ。


実家と疎遠になりかけていた弟との仲を少しでも縮めようと動くようになった。それまでなら、『好き勝手やるなら勝手にしな』と見放していた。でも貴女との将来を考えた時、貴女に僕の弟も『家族』として紹介したかったから。だから向き合おうと思って動いて少し前に進めたんだ。


貴女にはなんの関係も無い話しだけど、キッカケをくれたのは間違いなく貴女だ。だからありがとう。


そして僕に再び『夢』を与えてくれてありがとう。


社会の荒波に呑まれて、ただ生きていく為に働いていた無気力な僕に、貴女の真っ直ぐ『夢』に向かう姿勢は眩しかった。


やがて『貴女と将来を共に生きたい』『貴女の人生の支えになりたい』そんな『夢』が僕に生まれて生きる原動力になってた。


結果は叶わなかった。でも『今日よりより良い明日』を目指す力を貴女から貰って。僕は今も『今日より良い明日』を目指して生きる事が出来てるんだ。


それはなにかしら目標を持って生きたいと苦悩していた僕にとって『希望の光』だった。


その『希望の光』を貴女と共に過ごすことで取り戻すことが出来たんだ。



『ありがとう。』



長々と未練タラタラな文章になってしまったけど最後に




僕と付き合ってくれてありがとう。




僕は今でも貴女の幸せを願っています。

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