スペースアドベンチャー

@iiiiiiiiiiop

第1話 旅の始まり

 ぼくは田舎に住む高校二年生だ。平日は遅刻ギリギリの時間に起きて学校へ通い、土日は近くの湖に行って一人で泳いでいる。その時間だけはいつもの日常から離れられるような気がするからだ。

 

 

 ある朝、目覚ましが鳴って僕の目をあけろと命令する。いつもは目覚ましよりも早く目が覚めるのだが、今日は目覚ましに負けてしまった。昨日ネットフリックスを朝の5時まで見ていたからだろう。これで今年に入ってから目覚ましに負けた回数は12回、勝った回数は247回だ。気分は最悪で眠気と自己嫌悪が僕を攻めてくる。昨日はたいして面白くないドラマを一気見してしまった。学校に行こうと思ったが今日はそんな気分ではなかった。たいていの高校生は親が学校を休むことを許さないかもしれないが、ぼくはおじいちゃんと二人で暮らしているおかげか、おじいちゃんは学校のことに一切関与してこない。だから学校に行こうが行かないが関係ない。とてもありがたいことだ。

 さっそくぼくは携帯の目覚ましを止めて携帯を放り投げた。そしてもう一度目を閉じようとしたそのとき、突然また僕の携帯が鳴り始めた。こんな時間にぼくに電話をかけてくる人はいない。間違い電話だろうからうっぷん晴らしに電話に出て怒ってやろうと思い電話に出た。するとどうやら電話をかけてきたやつは僕に用があるようで、声は僕と同じかちょっと年上ぐらいの若い女だった。そして奇妙なことにその女の声の後ろでかすかに今まで聞いたことがないような高い音が鳴っていた。電話に出ると若い女は「あの、、」「すみません突然電話しちゃって、」と言った。しかしそれきり若い女から何かを言うことはなく無言でいる。ぼくのさっきのイライラはすっかりなくなっていて、冷静に「何か用ですか」と聞いた。若い女は「えっと、」「頼みごとがあって、、」と話す。「頼み事って何ですか」と聞くと、女は「いつも行ってる湖あるでしょ、、?」「そこに来てほしいの、」「会って渡したいものがあるから、」と言って食い気味に電話は切られた。混乱した。なぜぼくがひそかに行っている湖のことを知っているのか、この女は誰なのか、なんで電話をかけてきたのか、渡したいものとは何なのか。わからないことが多すぎてこのもやもやは当分解決しそうになかった。せっかくまた寝ようと思っていた木曜日の朝に何なのだろうか。まあ湖のことを知っているということはここら辺に住んでいる人物なのだろう。とりあえず会って確かめようと思い、さっそく黒ダウンに着替えて部屋を出た。玄関のドアを開けると居間にいるおじいちゃんが「いってらっしゃい」といった。

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