黒狐の過去

時代は飛鳥時代まで遡る。

当時の黒狐は狐界では階級が低い小僧だった。

「黒。稲荷はどこだ?」

狐界の最上神である九尾は問う。

「また人里に降りてます」

「またか?奴は本家の狐としての自覚はないのか」

「私の監督不責任です。すぐに連れ戻します」

九尾は少し間を置いて問いかける。

「輪廻に巻き込まれなければよいが……」

黒狐は本堂から数キロ程にある村に足を向ける。

しかし、彼は人間たちに無残に殺された稲荷の亡骸が転がっている。

黒狐はさらに稲荷の魂がないことに気付き、人間に対して憎悪を燃やす。

「稲荷、だから人里には近づくなと……わしは必ずお主を何百年かかったとしても見つけて取り戻してやる!」

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