空き部屋

これは私稲荷があるアパートの空き部屋を訪れた時だ。

ワンルームの片隅に一人の若い女性がいる。

「ここにいたのね?」

(あなたは誰?)

「私は怪談を探しに来たの。あなたは浮遊霊ね?」

(私死んだの?)

「死んだことも分からないのね。こんな所にいないで私と一緒に来ない?」

(どこに?)


フフッ、あなたの居場所よ!


稲荷はそう言うと女性に手を差し出す。

(私の居場所……私はどうなるの?)


私は稲荷。よろしくね!


二人は空き家を去る。

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