秋雨と再会
茅川 百々花
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シンプルで、悪く言えば無機質な何一つ飾られていない部屋で
「____嫌だ。ずっとこうしていたいよ。」
そう吐き捨て、ギュッと私の体から離れてくれない彼女
「分かるよ、その気持ちは。」
____だけど離れなきゃとは呟かず、彼女を向こう側へと優しく突き放す
長髪がふわりと揺れ、それと共に彼女の匂いも遠くなった
お互い俯いたまま言葉を交わさない
空間に鳴り響くのは、一定なリズムで刻まれる機械音
窓からは、滴り落ちる雨がちらついてるのが見えた
□
後日、彼女が亡くなったと病院の方から連絡がきた
2年に渡る闘病期間、末期癌だったらしい
あの綺麗な長髪はウィッグだったのか
透き通った瞳も、もう見ることは許されないのか
頭の中でいろんな思考がぐるぐると張り巡らされる
叶うのなら学生の頃の彼女にもう一度出会いたい
病の怖さも知らず、能天気に私の元へ走ってくる彼女に
そんなことを願う私は我儘だろうか
瞼から筋を引いて涙が零れる
「病室で再会なんてしなきゃ良かった」
秋雨と再会 茅川 百々花 @manmaru_oO
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