秋雨と再会

茅川 百々花

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シンプルで、悪く言えば無機質な何一つ飾られていない部屋で


「____嫌だ。ずっとこうしていたいよ。」


そう吐き捨て、ギュッと私の体から離れてくれない彼女


「分かるよ、その気持ちは。」


____だけど離れなきゃとは呟かず、彼女を向こう側へと優しく突き放す


長髪がふわりと揺れ、それと共に彼女の匂いも遠くなった


お互い俯いたまま言葉を交わさない


空間に鳴り響くのは、一定なリズムで刻まれる機械音


窓からは、滴り落ちる雨がちらついてるのが見えた




後日、彼女が亡くなったと病院の方から連絡がきた


2年に渡る闘病期間、末期癌だったらしい


あの綺麗な長髪はウィッグだったのか


透き通った瞳も、もう見ることは許されないのか


頭の中でいろんな思考がぐるぐると張り巡らされる


叶うのなら学生の頃の彼女にもう一度出会いたい


病の怖さも知らず、能天気に私の元へ走ってくる彼女に


そんなことを願う私は我儘だろうか


瞼から筋を引いて涙が零れる


「病室で再会なんてしなきゃ良かった」

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秋雨と再会 茅川 百々花 @manmaru_oO

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