第3話 服、露出多すぎ!

「ファルヴァント様!朝です!起きてください!そして部屋から出てきてください!」


 あーもう!うるさーい!起きろ起きろって言うけど俺は起きてんの!で、無駄に防音結界が張ってあるから中で大声出しても気付いてくれないの!


 かと言って部屋の鍵を開けたら入ってきて世話をされる。それが嫌だから開けない。


 流石にこのまま部屋から出られないでしょ?だってさ、なんか知らないけど俺の寝る時の服はめっちゃ露出多いんだもん!誰だよこんな服選んだの!クロムだよ、趣味悪いんだよ。次からは自分で選ぶ!ではなく自分で作る!これを作ったのはクロムで、持ってきたのもクロムだ。優しい、優しいけど趣味悪い!


 外に出るための礼服だけがまともだ。早くこれに着替えて外に出ないと外で扉をバンバン叩いてるから壊れそうだ。勿論扉を叩いているのはクロムだ。


 扉を出たら俺は魔王として生活しなければならない。口調も変えないとだし、結構精神攻撃が……


「クロムなんだ?朝からうるさいぞ。そんなに叩かれずとも起きておる。それと、部屋に張ってある防音結界を解除してくれないか?あれのせいで返事をしても聞こえておらぬではないか!」


「それは無理です。大人の事情というものがありますから」


「じゃあ俺が大人になったらもう一回貼ってくれる?」


「魔王様でないと解除できない挙句もう一度張るには何百年もかかりますよ?」


 それじゃあ無理だ。諦めよ。そのかわり扉を叩かないことを約束してもらわねば。


「じゃあ、自分で起きてくるから扉を叩かないでくれ。さっきももう起きて支度をしていた最中だったのだ」


「起きて来なかったら困るので」


「起きてくるから、起きて来なかったら魔王の名に誓ってお前の言うことを一つだけ聞くから許してくれ」


「仕方ないのででは6時までには起きてきてくださいね」


「了解だ」


 めんどくせー。なんで6時なの?仕事全部終わればいいじゃない!


「では、朝食から」


「わかっている」


 今日の朝食は、サラダ、パン、トマトスープ、ヨーグルト、何故か豆腐。豆腐は日本出身の俺からすると嬉しい。パンとかスープとかのメニューなのに豆腐は最初驚いた。しかもみんなトーフーって言うんだもん、最初聞いた時はマジで笑い堪えるのに必死だった。今となれば慣れた。と言ってもまだ2日目だけど……


「では書類仕事を」


「……」


 いやー、やりたくなーい!って思うことは早く終われせてしまおう!


「今日の書類は」


「こちらでございます」


 ドンっと音がしそうな程の量がある書類が机に置かれる。昨日の倍はあるぞ。もう萎えたーやーだーもうやーだー10歳の子供にこの量の仕事はねえ。精神年齢は18歳とだけ言っておく。魔界の言語は日本語、人間界の言語は英語。俺、英語は無理=人間と喋れない。終わってる。


 全く英語が喋れないんじゃなくて日常会話くらいなら大丈夫だけど、ちょっと遠回しに伝えられたら最後。俺には伝わらない!だって、地球の日本人&魔界人だから。


「早く始めてください」


ムカッ


 お前も仕事しろ!俺だけ働かせるとかお前は鬼か!口には出しません。一応冷酷魔王様なので。自分の中では!ウザいと言うオーラは纏わせてるけど。


「ねえ、部下のクロムに命令していい?」


「なんでもお申し付けくださいませ」


「言ったな?じゃあ、ファルヴァントが命じる!俺の仕事を手伝え!」


「あらまあ気づかれました?部下が仕事してないのはおかしいと」


 分かっててやってたのかよ!お前はおかしいぞ!


「とりあえず半分だ」


「はい」


 そう言って静かに仕事をし始める。魔王領の問題が資料になってるからそれの解決策を考えろと、国語が得意な俺には朝飯前だぜ!


 カリカリ、カリカリ


 部屋にペンの音が響く。この音がなんとも心地よい。日本ではなかなか羊皮紙に羽ペンで書くことは叶わなかったから興奮している。


 この調子で仕事をすれば5時までには終わるだろう!


 ファイトー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る