第2話 遭遇

「ん?、知らない天井だ」

 青空の下で、空を仰ぎながら1人で呟く。今まで目が覚めたら別の場所にってことなんか一度もなかったから言えなかったけど、今は絶賛目覚めたら知らない場所にいるんだ。


 と、ふざけるのはここまでにして。とりあえず状況把握だ。


 確かウキウキしながら家に向かってたらおっさんに絡まれてる女の子がいて、それを助けて警察に通報している途中で辺り一面が光って起きたら1人で青空の下と...。


 光は明らかに女の子の足元を中心に放たれていた、これってもしかしてちまたで話題の巻き込まれ召喚ってやつ?


「よっしゃぁぁあああ!!!!」

 森に囲まれ、日光が届かないことによって普通は背の高い草の生えない場所で、背の高い草に囲まれた現実ではあり得ない場所の中心のちょっとだけ開けた場所で、天に向かって咆哮を上げる。


 ここが剣と魔法の世界だとしたら、刀を振るい敵を倒すことができる。稽古で戦ったことは多々あるが、稽古はあくまでも稽古であり実践では無い。明確な敵がいるのなら刀の技量をどんどん伸ばせるかもしれない。

 この世界が剣と魔法の世界であると確定したわけでは無いが、胸の中を熱いものが満たしていく。


 早る思いを少し抑え、手っ取り早く確認を行うことにする。剣と魔法の世界といえばまずはこれだよな!


「ステータスオープン!」

 抑えようにも抑えきれ無い興奮を胸に、透明な板が浮かび上がるのを待つ。


 30秒ほど待ったが、何も起きなかった。ラノベで掛け声が違いステータスを表示することが出来なかったというのを見たことがあり、ならばと他の掛け声を試していく。


「あれ?何も起きないぞ?なら、こっちかな?ステータス!ステータスウィンドウ!…etc」



・・・・5分後・・・・



「どれもダメかぁ、もしかしてこの世界にはステータスの概念がないのかぁ」


 ラノベの中では、ステータスがある世界や、無い世界など分かれていた。だからこの世界はステータスのない世界なのかもしれない。


 ある程度考えをまとめると興奮がある程度収まり物事を冷静に考えれるくらいにはなった。

 冷静になることでとある考えが頭をよぎる。目が覚めたとき違う場所にいたからと興奮し、すぐに異世界であると考えたが、もしかしたらここは日本でモニタ◯ングだったりするのかもしれない。

 もしそうなのだとしたら、めっちゃ恥ずかしいところみられたんだが...。

 心の中で「はっっず!!!」と叫びながらも、モニタリングだったらもうでてきてもおかくないと思いとりあえず声をかけてみることにする。


「モニタ◯ングですか〜?カメラさん出てきて下さ〜い!」

 呼びかけながらも恥ずかしすぎて顔が赤くなっていくのを自覚する。


ガサッ


「やっと出て来たんですk..」

 草が掻き分けられる音がし、そっちの方を向くと日本ではあり得ないものが目に入った。


「グギャツ!」


 草より背が高いため見ることができたが。

 30mほど離れた草むらからとんがった耳と大きな鼻を持つ、黒色の150程の大きさで、40cmほどの棍棒を持つ細マッチョなゴブリンみたいなのがでてきた。


「このリアルさ絶対本物じゃん...」


 漫画やアニメでみるようなゴブリンとは少し違うが、身体的特徴は漫画やアニメそのままだ。

 もしかしたらこのゴブリンが進化した後なのかもしれないが。


「この状況、どうする...。」

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