龍雲、來る。
物部がたり
龍雲、來る。
龍が怒つてゐる。
分厚い嵐雲が空を覆い、雨と雷を降らせてゐる。れいは
かといつて走つて歸れば
傘を持って
れいは昔、不思議な雨雲を見たことがあつた。細長い雨雲が空を滑るやうにして動いてゐた。雨雲の下には雨と雷が降り、瞬く
今になつて考えると、
龍は居るのだと信じて空を見上げるの
海を泳いでいると、海の底には
あの雲の中にはきつと何かが居たのだと、自分を信じさせるのも面白ひと、れいは思つた。
そんなふうに思い出にふけつていても、雨と雷は治まつてはくれなかつた。このままここにいても仕方がなひので、れいは豪雨の中を走って歸る決意を固めた。雨降る空の下に出ると、分厚い曇天の切れ目から巨大な目玉が覗ひてゐた。龍なのかわからなゐ――。
龍雲、來る。 物部がたり @113970
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